寄生虫部会   10.06.27

寄生虫についての概論 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−鹿児島大学安田先生

1. 感染経路
2. 寄生虫一覧
3. 日本住血吸虫:感染、症状、
現在もネズミなどで感染が起こっていると、牛や人に感染する可能性もあるし
  いったん、発生すると昔のように農薬を使ったり出来ないので
  注意が必要。
4、肝てつ;人にも感染するので注意
  急性の肝てつ症:関節炎がひどく廃用、腹水、肝臓の肥厚、
  急性の場合、成虫になってないので卵は検査ででない。
  慢性の場合、肝硬変
  人体への感染;胆石の原因になる
5、膵てつ:離島から導入した牛は要注意
  薬はあるが高い。
  糞便中のトリプシンがあるかどうかで診断する。
6. 平腹双口吸虫
7. 線虫
オステルダ−グ胃中はほとんどの牛に寄生している。
新生子牛における糸状虫の脳脊髄移行;神経症状
8.バンクロフト糸状虫:人の糸状虫
9. アニサキスに注意、明太、サバ、イカ
10. たまごの中の鶏回虫




北海道での牛の 寄生虫予防協議会の話題 −−−−−−−−−−−−宮大 堀井先生

@4胃の寄生虫が牛の健康に関係する。
糞便中の卵の数が少ない場合にも駆虫をすると効果あり。
5月入牧し毎月アイボメックトピカルにて駆虫すると
ピロの感染低下、Htが正常値
DG 駆虫群 940g 対照 750g

繁殖への効果:空胎期間
初産牛へ投与 投与群 88.8日 非投与群 120日
経産 牛 94.2日非投与群 146日
千葉の試験では空胎期間が30日短縮
   体細胞の低下、繁殖成績の向上、ピロの感染低下
   EPGの低い牛に投与しても効果あり
   これは、まだ、産卵していない子虫が多いからだろう。

オーストラリアから輸入牛の肝てつが多い。:10%ほどの寄生
日本での定着が心配。
有機栽培、農薬の使用の減少で中間宿主が増加している可能性がある。
その為、肝てつなどが増加している農家がある。

コクシのオーシスト数をどう評価するか?
オーシストが出るからといって下痢はしない
血便をしていてもオーシストは出ない。
EPGで評価できない時もある。

農家が駆虫を続けるにはどうしたら良いのか。
  駆虫コストと効果の評価




       伊佐地区における消化管内寄生虫性下痢への取り組み  
        どうしたら寄生虫性下痢を予防できるか?
                         NOSAI中部   渕上 新蔵

 私たちの地区では、1986年ごろから子牛の寄生虫よる下痢が多くなり、寄生状況を調査するために糞便検査を実施するようなりました。その検査結果が表のとおりです。しかし、発症時に駆虫しても子牛の下痢は一向に減少せず、逆に最近は、農家の多頭化やオガクズ等の敷料使用で増加の傾向にあります。それでは、どうしたら減少或いは予防できるか、いろいろ思考錯誤した事を話題提供として話します。 


寄生虫の種類と寄生率 86.11−87.10

種類 寄生率
コクシジウム 85.1%
乳頭糞線虫 60.2%
鞭虫 4.7%
他の線虫 19.3%
条虫 1.5%
コクシ+乳頭糞線虫 47.1%
検査頭数 388





寄生虫性下痢が多い4農家の予防への取り組み
4農家でのアイボメック注母牛投与における駆虫データ

分娩前に母牛にアイボメックを投与して寄生虫の虫卵検出%を調査した。


投与前〔母牛) 分娩時〔母牛) 子牛21日目 子牛28日目 子牛60日目 子牛90日目

コクシ 線虫 コクシ 線虫 コクシ 線虫 コクシ 線虫 コクシ 線虫 コクシ 線虫
O農家 22% 52% 29% 0% 71% 4% 75% 45 78% 35% 91% 48%
I農家 48% 67% 33% 0% 11% 11% 6% 6% 50% 38% 94% 31%
K農家 29% 57% 40% 0% 0% 0% 50% 25% 100% 0% 75% 50%
Y農家 14% 71% 67% 0% 17% 0% 83% 0% 83% 17% 80% 20%
全体 31% 60% 57% 0% 38% 6% 51% 6% 71% 31% 92% 40%



予防の1思案
1)農家の寄生状況の把握 2)群単位での一斉駆除 3)飼養管理の改善 4)定期的検査および駆虫                                  

寄生虫の種類と寄生率 86.11−87.10

種類 寄生率
コクシジウム 85.1%
乳頭糞線虫 60.2%
鞭虫 4.7%
他の線虫 19.3%
条虫 1.5%
コクシ+乳頭糞線虫 47.1%
検査頭数 388






尿石症多発農家での発生状況と調査(2500頭飼育)−−−−−−−−NOSAI揖宿  祝迫正樹

尿石症の多発
  平成10年1月より多発
  導入後5から17ケ月に出る。
平成10年4月よりルーメンアシドーシス多発
  治癒4頭、死亡2頭

平成9年10月より配合飼料を変更
   自動給餌機導入のため導入から仕上げまで同一飼料
   DCP11,0、TDN73.1、Cfi4.9、ADF6.8
   DM 87.4、Ca 0.2、P 0.3、VA 700iu

繊維不足 ― ルーメンアシドーシス ー アンモニア過剰 ― BUN上昇
粗繊維不足なのでビール粕を追加
水の問題:ウオーターカップの管径をふとくしたら良いのではないか。
食塩の添加:1頭20g
導入時4から5ケ月は粗飼料中心の管理をすべき。
ルーメンの状態をよくして、濃厚飼料を与えるべきである。
前期から粗飼料3か4kg与える。



子牛の股関節脱臼 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  伊佐地区農業共済組合  佐藤

生後2ケ月の黒毛和種子牛。
テーピングテープによる屈曲固定により治癒できた。
3本足で起立できるならこの治療法が可能。
はずれてからの時間、はずれた後の状態、はまった後の状態
はまると音がする。
いい音がするときれいにはまる、再びはずれることはない。
関節に入ると、蹴る力がでる。
少し音が悪いときは関節に脂肪組織がはいりこんでいる。
入った後、関節が動かないようにする。
円靭帯が切れているときは、すぐまたはずれる。



長期不受胎牛への過剰排卵−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−鹿児島大学 上村先生

17才の高齢長期不受胎牛に過剰排卵処置を行い
採卵を行った。 

正常な授精卵を回収出来なかった。変性卵が多い。
卵巣機能は動きだしている

ETを経済的に行う場合、供卵牛は健康で若い牛でないといい卵はとれない。

赤目と盲目について−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−鹿児島大学 大石先生

タペタムの色の違いにより、眼の色が違ってくる。
赤眼はタペタムの青の部分が狭く、脈絡膜の血管がうきでて
赤く見える。

赤眼の牛の好酸球顆粒の巨大化=チェジャックヒガシ症候群
こらは、色素系編成の一つの病態
 
盲目について
ビタミン欠乏
視神経乳頭ばやけて大きい。これはうっ血性の乳頭浮腫が起こっている。
ノンタペタム領域が白いま




     牛の肥育用ホルモン剤の畜産物中における残留と安全性

                     デンカ製薬株式会社
 EC(∃−ロッパ共同体)は肉用牛における肥育ホルモン剤使用禁止指令を1988年1月 (英国では1989年)から実施することを決議した。これに対して、USAはECの措置は科学的根拠がまったくないものとGATTに提訴し、英国はEC裁判所に禁止令の無効を訴えた。その結果ECはアメリカ産の食肉に対して1989年1月1日まで延長する例外措置をとってきた。
 一方、我国においては、肥育用ホルモン剤を投与した牛の畜産物を摂取すると、人に対する安全性に疑問があるという記事が科学的根拠を示すことなく、1部の報道機関で発表されている。
 肥育用ホルモン剤の人に対する安全性については、種々誤解があるようなので、今までに発表された資料を基に、現在日本で承認されている天然型の性ステロイドホルモン剤を、牛の肥育に用いた場合の畜産物中における残留と安全性について述べると、次のとおりである。

1.牛の肥育ホルモン剤の種類
 牛の肥育用ホルモン剤には、卵胞ホルモン類、黄体ホルモン類及び男性ホルモン類を単独あるいはこれらを組み合わせた処方の6種類がある(表1)その殆どの化学構造式がステロイド核からなるか、ステロイドに類似の骨格を有し(図1)人や勣物の体内で生成されるホルモンと同じものを天然型、異なるものを非天然型としている。
 これらのホルモンはいずれも本来の特異的な性腺系への作用の他、尿中への窒素排泄を減少させて窒素出納を正の方向に向かわせ、生体の蛋白合成を促進させる作用を共通に有しているので、蛋白同化ステロイドホルモンとも言われ、牛の肥育用剤として用いられている。
 なお、ステロイド骨格を有しない卵胞ホルモン類にジエチルスチルベストロール(DES)(図1)の合成発情物質があり、過去に牛と鶏の肥育剤として多くの国で用いられたことがあった。DESは注射でも経口投与でも吸収されるので、我が国においては1950(昭和25)年代から1960(昭和35)年代にかけてDES及びその誘導体が始めは鶏用のへレット移植剤(と場で力ット,廃棄される雄ヒナの頭部後の皮下に移植)、次いで肉用去勢牛用の注射剤、経口投与剤が用いられた。
 しかし、その後DESは医薬品として発癌性の確認により、FDA(米国、食品医薬品局)で製造禁止(1979年)し、肥育剤としての用途が断たれた。我国においては、DES製剤は当局の指導で16年前の1973(昭和48)年6月末に製造を中止し、1974(昭和49)年2月12日付の農水省畜産局通達で禁止された。 従って、現在DES製剤は、日本及び世界各国でまったく使用されていない。

2,我国で承認・市販されている牛の肥育用ホルモン剤
 我国で現在使用されている牛の肥育用ホルモン剤はエストラジオール+プロゲステロン (天然型女性ホルモン)のペレット移植剤であり、当社のフトラックス・エスと輸入品 (米国)シノベックス・Sの2品目がある,
 このホルモンは、肉用去勢牛の耳翼外側の皮下に移植すると、有効成分が約3〜4ヵ月にかけて徐々に吸収され、蛋白同化作用と共に牛の下垂体前葉を剰激して、内因性の成長ホルモン分泌を促進して、増体率が10〜20%向上し、飼料効率を改善し、肉質については悪い影響を与えることはない。使用に際レでは、要指示薬であるので獣医師の処方せん・指示により用いる。有効成分の両ホルモンは家畜や人の体内で生成・分泌されるホルモンと全く同一のものである。
 本剤を用いた牛でも、そうでない牛でも、牛の耳はと場でカット・廃棄されるので、人の食用に供されることはない。

3.天然型女性ホルモン(ストラジオール+プロゲステロン)を去勢牛に用いた場合の畜産物における残留と人に対する安全性の検討に関する種々の要因
 ここでは、現在我国で承認・市販されているエストラジオール・プロゲステロンの天然型女性ホルモン剤のペレットを肉用去勢牛の耳翼皮下に移植した場合、その食肉中に微量含まれる両ホルモンの人に対する安全性について検討する。

3.1 エストラジオールとプロゲステロンの吸収

3,2 性ステロイドホルモンの分析法の進歩
 生体内に測定できない位に微量に存在する性ステロイドホルモンについては、従来の生物学的測定法ではその動態、分布の詳細を判別することができなかった。しかし、近年免疫学的測定法の研究が進展して、ラジオイムノアッセイ(RIA)やエンザイムイムノアッセイ(EIA)法の超微量分析法が開発され、プロゲステロンについてはppb(1ナノグラム(ng)/g、1/10億(例えば1,000kg中に含まれる0.001gのものを分析測定する感度〕、エストラジオールについてはppt〔1ビコグラム(pg)/g,1/兆)の感度で測定できるようになり、性ステロイドホルモンの生体内分布が明らかになってきた。
 ここでは、単位をナノグラム(ng)に統一して、エストラジオールとプロゲステロンの含量について記述する。

3.3 農畜産物に微量に存在する両ホルモンの含量
 エストラジオール、プロゲステロンの女性ホルモンは人の女性のみならず男性の体内でも分泌され(表3)、また牛においては、雌だけでなく雄牛、去勢牛でも生成されている。
 従って、これらの女性ホルモンは、牛においては雌牛のみならず雄牛そして肥育ホルモン剤を使用しない去勢牛の可食部中にも微量(生物学的ホルモン作用量よりもはるかに少ない量)存在し、また、自然食品の農畜産物の麦芽・大豆油・キャベツ・鶏卵等には食肉等に含まれる量より多い卵胞ホルモンが含まれており、人の母乳中にも当然含まれている (表2)。しかし、これらのホルモン量は子供にも作用しない僅かの量であり、専門的にはホルモン無作用量の範囲にある。

3,4  天然型肥育ホルモン剤処置去勢牛の食肉中に含まれる女性ホルモン

 1)ホルモン処置去勢牛の食肉中には極く微量の女性ホルモンが含まれているが、その量
工ストラジオール(卵胞ホルモン)
            鶏卵の約1/1300、キャベツの約1/1090、大豆油より1/90万低く、
            人母乳よりやや低い(表2.6)
  プロゲステロン :無処置去勢牛よりやや高く、雌牛より低く、牛乳の約1/30、人  (黄体ホルモン)
            母乳よりやや低い(表2,6),

2)自然の状態で飼育されている牛の生体内に含まれる女性ホルモン量から、FDAが定
 めた牛の残留基準値(表5)と比較すると、ホルモン処置去勢牛の食肉中女性ホルモン量は、エストラジオールについては約1/5、プロゲステロンについては約1/6である(表6),

3)次に、ホルモン処置去勢牛の肉を人が摂取した場合のホルモン量を、人の体内生産日量(表3)とFDAの摂取許容量(表4)と比べると、日本人の1人当たり平均牛肉消費日量の16.2gを摂取した場合には、人の体内生産日量の1/500万(エストラジオール)〜1/123万(プロゲステロン)、許容摂取量の1-168(エストラジオ−ル) 〜1/3,000(プロゲステロン)に相当する僅かな量である(表7).
  ビーフステーキ200gを摂取した場合には、人の体内生産日量の1/8.1万(エストラジオール)〜1/10万(プロゲステロン)、許容摂取量の1/13(エストラジオ―ル)〜1/15 (プロゲステロン)に相当する(表7)。
  なお、前述したように、これらのホルモンを経口的に摂取した場合には、約1/10しか吸収されないので、上記の摂取ホルモン量のさらに1/10低い数値になる。

3.5 アメリカのFDA(食品医薬品局)における肥育ホルモン剤の安全性についての考え方
 1)食品からの性ステロイドホルモンの許容摂取量の設定
  性成熟前の女性・男性の体内性ステロイドホルモンの平均生産日量の1%を、食品からのホルモン摂取許容量とし、エストラジオールについては60ng、プロゲステロンについては1500ngと定めている(表4)。
 2)牛における肥育ホルモン剤の残留基準値の設定
  天然型ホルモンに関しては、自然の状態の牛の生体内にも微量の性ステロイドホルモンを含んでいるので、牛における残留基準値(表5)を設け、休薬期間を0日としている。

  一方、非天然型ホルモンについては、残留等の種々の試験成績から、残留基準値と休薬期間をそれぞれ設定している。
 3)肥育用ホルモンを処置した牛の食用組織に極く微量のホルモンが検出されるが、その量は自然の農畜産物中に含まれる量より少なく、また自然条件における人体内外における性ステロイドホルモンとの関係を検討して、肥育用ホルモンの応用は人に対して安全 であるとしている。

4)EC自身の科学委員会が、少なくとも天然型の肥育ホルモン剤の応用による人体への危険性は何らないと証明しているにもかかわらず(Lammingレポート)数年にわたるホルモン論争の後、肥育ホルモン剤の禁止をECが決議したことについては、非科学的であり、政治的な意図によるもので不公正貿易慣行にあたると米国は抗議し、報復措置としてECからの食料品7品目に100%の輸入関税をかけると発表した。
 なお、本件については、ECと米国の間で今なお係争中である。

3.5 FAO/WHOにおける見解
  肥育ホルモンの安全性については、専門家で構成されるFAO/WHO合同食品添加物専門委員会において、許容残留基準など、それを摂取する入に対する安全性が検討されている。その結果によると、現在までのところ、人体内にも存在する天然型ホルモン については許容摂取量や許容残留量を設定する必要はなく、安全性に問題はないとしている。
3,6 日本の農林水産省畜産局衛生課の見解(1989/10月)
  我国で用いられている肥育用ホルモン剤は、家畜や人の体内に存在するホルモンと全く同一の天然型ホルモンである。ラット、ウサギ、牛を用いた毒性試験において副作用等特記すべき所見は認められない。
  本剤投与後の牛筋肉中のホルモン景は極めて微量であり、この量は天然型ホルモンを使用していない雌牛の筋肉・牛乳・乳製品及び人母乳中に天然に含まれている濃度の数分の1である。
  我国の1人当たり平均牛肉消費日量(16.2g)をすべて本剤投与肉を摂取したと仮定しても、エストラジオールの量は人生産日量の約100万分の1以下であり、この傾向はプロゲステロンについても同様であることを考えると、我国で、ホルモン処理により生産される牛肉はとくに問題はないと考えられる。FAO/WH0委員会でも安全性に問題はないとされている。
  なお、現在厚生省においては、ホルモンの検査法も含め、基準値作りを検討中である。


4.まとめ

1)我国で現在用いられている牛の肥育用ホルモン剤は、家畜や人の体内に存在するホルモンと全く同一の天然型女性ホルモンのエストラジオールとプロゲステロンである,

2)その製剤はペレット移植剤になっており、と場で廃棄される耳の皮下に移植されるので、ホルモンペレットが人の食用に供される心配はない。

3)自然の状態で飼育されている牛の畜産物や農産物にも極めて微量(ホルモン無作用量よりはるかに少ない量)の女性ホルモンが含まれている。ホルモン処置をした去勢牛の食肉中には、微量の女性ホルモンが検出されるが、その量は無処置去勢牛より若干多い が、自然条件下で飼育されている雌牛の可食組幟、牛乳、乳製品あるいは人母乳等より少なく、大豆油・胚芽・キャベツ等の農産物に含まれている量よりもはるかに少ない。

4)我国の1人当たり平均牛肉消費日量(16.2g)を本剤投与牛の肉で摂取した場合のホルモソ量は、人が生理的に分泌するホルモン生産日量の1/100万〜1/123万であり、また、これらのホルモンは経口的に摂取した場合には、約1/10しか吸収されない,
  さらに、これらのホルモン量は、FDAが定めた基準と比較すると、食品からの許容摂取量の1/168〜1/3,000、牛における残留基準値の1/5〜1/6に相当する,

5)これらのことから、天然型肥育用ホルモン剤を牛に用いても、食肉を通しての人への安全性については、とくに問題はないものと考えられる。

質疑:

シノベックスは過去に男の中学生の乳房が大きくなった、肥育牛の肉質が水っぽくなったといわれたことがあったが、その件に付いてはどうか?使い方は?

各地の試験場の試験では、肉質への影響はなかった。
中学生の問題は、ちょうど思春期のための反応ではないのかと思う。
生後6ケ付き以上の牛の耳の後ろの皮下にいれる。効果が3から4ケ付きあるので、4ケ月ごとに使う。

繁殖関係のホルモンの残留についてはどうか?

GnrHは筋肉中のタンパク分解酵素で分解される。
FSH,HCG,PMSは糖タンパクとアミノ酸がつながったもので、FSHは1日から1日半、PMSは7日から10日血中に残るが組織中には残らない。タンパク分解酵素、炭水化物分解酵素で不活化されるので問題なし。

意見
シノベックスは過去に使って、はじめのうちは増体がよくてそれなりに値段がしたが、尾根部が陥没しているのでホルモンを使った牛とわかり次第に値段がしなくなった。さらに、数回移植する必要があるので、めんどうでだんだんしなくなった。


受精卵移植事業についての討論

移植した牛によく発育不良の子牛が生まれる。農家の収入増にならない事も多く、移植が広がらない。
これは、ホルスタイン種の子牛に比べて、黒毛和種の子牛は抗病性が低い。そのため、酪農家にとって育てにくい。

ETを広げるためには、ET周辺技術(母牛、子牛の分娩前後の飼養管理など)をしっかりしないと普及しない。

地元に評判のいい種雄牛が居る場合、受精卵をするより AI の方が収入になっているので、受精卵の希望者が少ない。

受精卵事業で行政や農協からの補助がある場合ひろがっているが、補助がなくなったら
個人でも金を出してもいいと思っている人しか続かない。