熱帯獣医臨床の現況

...................C.J.Siame(元ザンビア大学) 

サハラ以南の人口は現在年率3.1%の割合で増加している。そのうち、現在約30%の人々が町や市などの市街地に住んでいるが、2025年には全人口の55%が市街地に住むようになると予測されている。
 一方、畜産物の生産は1962年から1987年までの25年間に食肉が年率2.6%、牛乳が年率3.2%の割合で増加してきた。牛乳のうち約11%が輸入されているという事実を考慮しても、2025年の食肉と牛乳の需要に応じるためには、家畜頭羽数のよりいっそうの増加が必要である。サハラ以南のアフリカ諸国では、畜産物が人の食餌中蛋白の17ー8%を占め、重要な栄養源となっている。
 熱帯獣医臨床は、サハラ以南の農業生態糸可能地帯で、家畜の生産と生産施設を維持し改良していくために、家畜衛生プログラムの実施とあわせて、獣医療サービスを計画し実行する上で重要な役割を持っている。
 しかし、家畜衛生指導の有効性は、サハラ以南のアフリカ諸国では、過去20年間にかえって大きく低下してきた。器具機材、人員の整った新しい獣医療システムをぜひ発展させるべきである。現行の疾病診断技術と記録は不十分であり、疾病の予防と制圧の管理に多くの問題が生じている。現在の熱帯獣医臨床施設はそのほとんどが政府機関によって運営されており、個人開業、非政府機関、訓練施設、民間会社によって少数の施設が維持されている。
 講演の中では、家畜特に牛の臨床全般、内科、外科、繁殖、伝染病、微生物、病理、寄生虫、原虫について触れ、とくに演者が経験したBrucellosis,EastCoastFever,Anaplasmosis,Theileriosis・Typanosomasis,Nematodes/ Cetodes,Ticksurvey,Mastitis,Trichomoniasis,LumpySkn−Disease,PullorumDiseaseなどについて、臨床現場での知見を述べ、問題点を提起する。

Dr.CollinsJmnjSSiame略歴 
1945年4月4日、タンザニア生まれ 
学歴:
1966−1967農業省獣医療養或コース、タンザニア国Tengeru    
1971ー1975カールマルクス大学獣医学部ドイツ国ライプチヒ、獣医師資格取得   
1973ー1976同大学にて修士号取得(微生物学)。 
職歴:
1976−1983タンザニア政府機関で家畜の診療、診断、予防、教育に従事  
1983ー1986私企業ziMCO−ZAMbiA Agricullure DevelopmentLimited(Zambia)にて、36.000頭の牛と6.000頭の          豚の衛生管理。   
1987ー1993ザンビア大学獣医学部臨床学科、準教授。その間、1988−89と1991−92は臨床学科長代理。  
1993ー1996ザンビア大学家畜衛生研究所の校長として、獣医技術者の教育。   
1996ー ザンビア大学への復帰を申請しながら、獣医臨床コンサルタント

スライドを使いザンビアの現状が報告された。
寄生虫のコントロール肝てつ症約60%の牛に寄生する。生産性のていかを招いている。
デルマトフィリス、ランピースキン病、パスツレラ、アナプラズマ、タイレリア除角法、蹄病、乳房炎、胎盤停滞、流産、結核症、ヒナ白痢などの症例が紹介された。


体験発表


シダーの治療成績

......................................................NOSAI伊佐:松下

1:シダーのみ:237頭     
授精  188/237   79.3%     
受胎  132/237   55.6%     
無効   49/237   20.7%

分娩後70日以内  117頭     
授精   94/117頭  80.3%     
受胎   71/117頭  60.6%     
無効   23/117頭  19.7%

分娩後71から100日  49頭     
授精   42/49頭   85.7%     
受胎   33/49    67.3%     
無効   7/49     14.3%

分娩後101から150日  42頭     
授精   28/42     66.6%     
受胎   18/42     42%     
無効   14/42     33.4% 

分娩後151日以上     29頭      
授精   24/29     82.7%     
受胎   10/29     34%     
無効   5/29      17.3%


2:シダー+pg11日目  12日目除去  12頭     
授精    10/12     83.3%     
受胎    9/12      75%     
無効    2/12      16.7%

3:シダー+pg11日目+lhrh(14日目) 4頭      
受胎    4/4       100%

4:シダー+pms500(10日目)   12頭

質疑
シダーを入れた時点での卵巣の状態は卵巣静止や小さい卵胞がある程度のものに入れた。
無効の症例はその後pmsやイソジンで治療
シダーを抜くときに粘液が少しあるものは、やや早めに発情が見られ、受胎もいいようだ。     

白痢子牛の急死例と肺炎の急死例および牛乳の異常臭

.......................................NOSAI姶良:蔵前

白痢子牛の急死例

1.自痢子牛の急死例
NOSAI姶良 蔵前哲郎
平成9年12月15日生まれ BW
初診日12月20日生後5日日
症状:T35.4℃ P80心音除脈にて弱い眼球陥没起立不能.皮温低下黄白色泥状下痢状態は悪いが首はもちあげていた治療:等張リンゲル 11  重曹注 100ml   レスチオニン 80ml        ジメトキシン注 30ml   0TC注    20ml   輸血    200ml 
採血を行いAを14Gの採血針にて静脈注射をしたところ子牛がややぐったりなる.
@の補液を点滴注射す.点滴の間に輸血用の血液を親から260ml位採材す.
その後子牛の所に行くと心音あるが呼吸移止の状態.
すぐにテラプチック2ml筋注し,心マッサージを行ったが死亡.

原因:@ジメトキシン注とOTC注の混注A14Gの針B血液検査にてK10.14mmol/lBUN85.7mg/dlで腎不全の状態にあった.

2.肺炎の急死例
生年月日 平成7年7月生まれ1産目BW 、離乳してあり妊娠3ケ月日
初診日 平成10年2月3日
症状:T39.5P40除脈元気・食欲廃絶呼吸速迫にて浅い RM±今朝までは食欲もあった.
2〜3日前から発咳あり.半月前に2〜3日食べない時期があった.
便やや硬く 左ケン部がやや硬い感あり.右11〜12肋間打診痛あり肝炎,気管支炎,食滞?判断に迷い採血

治療
ニューグロン 100ml   チオラ    100ml   生食      20ml   PCA      8g


プリンペラン10m IM、 苦味チンキ60m1 経鼻、希塩酸50m プリンペラン10m
治療後8時間後に死亡                  ・
血液検査所見:
Ht20%RBC355万,WBC12,300,Hb7.3g/dl,Fib 600mg/dl, TP 10.3g/dl,Alb2.5g/dl,A/G 0.32, GOT59.5iu/l 
γGTP 21.6iu/l , Tbil 0.23mg/dl , Tcho 68.0mg/dl , NEFA240uEq/l, CA 6.97mg/dl , iP 4.79mg/dl ,
Mg l.89mg/dl

血液検査からは何らかの慢性疾患(心内膜炎?)だろうとしか診断が付かなかった.

剖検所見:肺膿瘍

質疑
ジメとotcの混注での死亡例は投与量の問題なのか、体温36度以下になればほとんど死亡。
一般症状がよくなっても体温が上昇しなければ回復しない。
君付:35度以下で助かって例。生後すぐの子牛。ドライヤーで乾かし部屋に入れて、保温マットで保温しブドウ糖の点滴をした。

助かるかどうかの判断は、点滴中に尿が出るか。腎臓不全などが絡んでいる時は無理。

otcのショックについて、赤血球がこわれてショックを起こす。

蔵田:慢性の肺炎に注意が必要。以前より症状が出ているはず。微熱が続いている。

@初乳を飲んだ子牛はγ-gtpが700から800になる。
蔵前堀井:初乳の飲ませかたも大事、初回にどれだけ飲ませたか。


3.牛乳の異常臭について 1月に入り異常臭がして牛乳を出荷できないと相談がある 1月19日現地に行き,話を開く 1月4日に昨年作ったコーンサイレージく黄熟期)を開封し食ペさせたところ1月7日より異常臭がするといわれ出荷停止サイレージが原因だろうと思われたが1月11日より他の未開封のサイロをやってみたが同様の結果だった.それまでの飼料給与内容はコーンサイレージ30kgと濃厚飼料のみそこで,県酪の指導によりコーンサイレージを半分にし、濃厚飼料を10kg、粗飼料として青刈りイタリアン,穂わらを給与したが出荷停止の状態が続く.また,二等乳の発生があった(4頭). 19日の現在ではサイレージの質は見た目には異常はなかった.

異常臭の原因→ケトン体ではないか?乳房炎?
       乳房炎× ケトン体×  
           ↓
       プロフアイルテスト  ’             
tcho  U期にが高く,V期に低い
TP   T,U期に低い
Ht   U,V期に低い
Alb  W期に高く,X期に低い
rGTP W.X期に高い→二等乳W期に集中す

質疑
蔵田:異常臭焼酎かすの臭いが移ったことがある。現在は焼酎かすは使っていない。原因がわかった時点ですぐに原因飼料を止める。デントコーンに鶏糞を多量に入れると臭いが付く。

蔵前:台風が来た時に心配になってサイロの中を見た。サイロをつめて1ケ月くらいで、それが異常発酵の原因なのかもしれない。見た目には変化はほとんど分からないのだが。

蔵田:飼料の臭いは注意すべきだ。濃厚飼料などもよく臭う。焼酎かすの場合は搾乳時点で臭いが分かる。

北島:乾草に雑草がはいっていると臭いがしたことがあるがその辺は?

蔵前:雑草は問題なし

                

口デシア眼虫が、多数寄生していた症例

.............................................NOSAl姶良 大久保

症例1
稟告 10カ月令黒毛和種去勢子牛の両眼から涙が出る。
現症、経過  両眼より流涙、眼やにがあり。食欲、元気などは、正常であった。  眼検査により、両眼瞬膜下、結膜下に眼虫多数認められた。結膜の充血認められた。  角膜の白濁はなかった。  また、同居牛の眼検査をすると2カ月令から7カ月令の子牛全頭に眼虫が認められた。  成牛には認められなかった。  
生食水にて洗浄、ピンセットで虫体を排除後眼軟膏点眼。アイポメツク皮下注。  
2日後再診にて眼虫は認められなかった。

症例 2
稟告 1カ月令子牛、両眼から涙が出る。
現症、経過  両眼から流涙、眼やに、結膜充血あり。左眼角膜白濁し、一部潰瘍があった。  瞬膜下、結膜下に眼虫が多数認められた。  同居子牛にて眼虫認められた。  眼洗浄後、眼軟膏点眼。アイポメツク皮下注。  3日後再診にて虫体認められなかった。左眼潰瘍治り、白濁縮小した。                               

質疑
蔵田:オキシドールで洗うとよく洗える。

牛の尿石症による尿閉尿石症について

  
...................................揖宿地区農業共済組合家畜診療所  中村 理樹 

私達、揖宿地区は肥育地帯であり尿石症による尿閉や尿道.膀胱破裂は死廃事故 の、かなりの割合を占めています.私達も予防策としては塩化アンモニウムやウ ラジロエキス等を用いて行っています.

尿閉について・

治療法  
股付近における尿道切開術.・
問題点  術後の尿道開放部の閉鎖.膀胱アトニーによる廃尿不全.尿道カテーテルの膀胱内への留置が難しい。・
解決策  陰茎寮膜面と、皮膚の縫合.  肛門直下も切開し、坐骨付近の尿道内のカテーテルの誘導を用手的に行う。  術後の膀胱マッサージ.

膀胱破裂について・

治療法  
BUN<100mg/dlであれば即廃用. 
BUN≧100mg/dlであれば腹腔内の尿を排出し同上の尿路切開術を行う。
問題点  膀胱破裂部位の特定、修復が困難。  手術に時間、費用がかかりすぎる.血中のBUNが下がっても肉の尿臭の判断が難しい.
解決策  膀胱内の内圧を下げるために、なるべく太いカテーテルの膀胱内への留置。  膀胱の損傷部位の癒着による修復を期待.                                            

質疑
蔵田:再発の予防は膀胱切開をしてなかの結石をとってしまはなくては再発の可能性がある。

君付:結石を溶かすには。アンモニアを減らしてPを下げて.Caを上げる。バイパス油脂を使っている。2週から20日でだいぶ溶けている。その後P−Zを使い第1胃ないのアンモニア下げて尿量を増やすために塩を投与。発症している農場の水の水温は低いので水を飲む量が少ないようだ。カリュシュームミックスレートを300g、バイパス油脂、pz投与。その農場は血中Pが高いが尿石が出ていない。


異常産とイバラギの関係:ファローの四徴を呈した子牛の奇形

.............................................................鹿児島大学:浜名先生

去年の異常産はイバラギの可能性がある。いままではイバラギは異常産と関係がないと言われていたが。今回のイバラギウイルスはdnaレベルでは変化がないと言われているが核酸レベルで多少の変化が見られた。

イバラギの発生は去年で一応おさまっているがミイラや虚弱児が出ている。大学に搬入されている例では水無脳症、大脳欠損、などアカバネが可能性がある。アカバネもややウイルスが変異しているので関節湾曲などがみられないものも出ている。

@世界牛病大会について次回はオーストラリア。
@ファローの四徴を呈した子牛の奇形右心室の肥大、大動脈が右心室からも出ている、心室中壁欠損、肺動脈の狭窄の4つの症状があるもの。心拍数が多い180/分ほど。雑音1音の後、頸静脈の拍動。この牛に関してはHtは正常値そのほか血液検査では特に異常を認めず。レントゲン検査では心臓の肥大を認める。エコーでは心室中隔欠損、右心室の肥大、かべの肥厚。心電図では心室肥大、環状動脈異常を認める。
剖検:右心室肥大、肺動脈が小さい、卵円孔あり、その他ファローの4徴あり。

まとめ:聴診によりある程度診断できる。エコーにより確定診断が出来る。
大動物の分野では現実的に治療はやられない。
虚弱やその他の死亡例のなかにも心臓奇形が見られている。



正常性周期牛と妊娠山羊への灸処置が血中ホルモン濃度と子宮動脈血流量におよぼす影響

................................................鹿児島大学:上村先生



3日間連続で灸、15ケ所15分間黄体期、黄体退行期、発情期に使った黄体期に使っても黄体を退行させる事はなかった。
黄体退行期に使うと退行を引き延ばしたりはしなく急に退行させた。
血中p濃度は各期に変化なし、血中E値発情期に下がる、黄体開花期はやや上がる、黄体退行期変化なし。
血中pg値黄体期上昇(黄体を退行させる量の1/100程度)、pgfm(pgの代謝産物)は30分後に上昇灸をしたあと山羊の子宮動脈血流量の上昇(70%ほど)、2時間後にはもとに戻る。pgfmも上昇ホルイタインの子宮動脈血流量の増加、1時間後にはもとに戻る。牛で30分ごに25%、山羊で40%上昇、卵巣動脈の血流量も増加していると推測される。
黄体の退行、子宮動脈の血管収縮はなし。

質疑

蔵田:最近農家もあまり使っていない。効果のバラツキがあるのではないかと思う。昔から針、灸がやられている。市場に持っていくと、灸の後があると安くなる。針:天平―百会でやると陣痛微弱に効果あり。             




牛の過剰排卵誘起:第1卵胞波における処置:::ステビアについて  

                   デンカ製薬株式会社 川口 擁                                        
FSH/PGF2α処置による牛の過剰排卵誘起は、発情・排卵後8〜14日目即ち第2卵胞波からFSH注射を開始する方法が一般に行われている。発情排卵直後を含めた第1卵胞波に過剰排卵誘起処置を行う新しい試みが、近年行われており、その概要は次の通りである。

1.1)のFSH/PGF2α投与法では、過剰排卵処置を性周期の第10日目から開始した場合に比べて、第2日に開始した場合に採卵成績は低かった。その原因は処置開始の時期によるものか、又はA区で day3にFSH剤を投与しなかったことが考えられる。
2.2)のFSH/PGF2α投与法では、処置開始日がday2(C区)とdaylO(D区)で差はみられなかった。
3.発情・排卵直後(排卵日:day1)からFSHを3日間減量投与し、PGF2αをその処置開始後48時間(day3)に投与した場合には、FSHによって多数発育した卵胞は排卵に至らなかったが、72時間後(day4) に投与した場合には良好な採卵成績が得られた。
 PGF2αによる黄体退行作用は、一般に発情後5〜16日目(発情日:0日)の黄体に有効であるとされている。 今回の試験においては、PGF2αを発情後3日日(day3)に注射した場合にはPGF2αに反応する黄体形成はみられず、発情後4日目(day4、排卵後3日)の注射では黄体はPGF2αに反応して退行した。
4.dayl〜4の第1卵胞波の時期に過剰排卵処置を行っても、移植可能胚が得られた。
5.CIDR+FSH/PGF2αによる過剰排卵処置をday5、daylO及びday18から開始する試験を行った結果、いずれの時期においても移植可能胚が得られた。

まとめ

発情・排卵直後を含めた第1卵胞波の時期に、FSH(減量法)/PGF2αによる過剰排卵処置を行っても、FSH投与開始日がday1の場合にはPGF2αを72時間後(day4)、day2以降の場合にはPGF2 αを48時間後に投与すると、移植可能胚が得られる。


ステビアについて

 ステビアは中南米を原産とするキク科の植物で、古来甘味あるいは薬用植物として用いられてきた。 その甘味成分のステビオサイドは、砂糖に比べて300倍甘くカロリーは1/90なので、低カロリー甘味料として、食品の添加物に用いられている。
ステビア (抽出液・粉末)の働き
1)解義作用と未知成長因子 ラットにプレドニゾロン3mg/kg(治療量の10倍量)を120日問内服させると、体重が減少して死 亡するものが出てくる。ステビア抽出液3mg/kgを併用すると、無処置のラットの増体重に比べると 小さいが、薬物連用の副作用を抑制して、成長が促進された。
2)抗アレルギー作用:人のアトビー性皮膚炎に有効
3)抗炎症・鎮痛作用
4)牛の第1胃内ミクロフローラ賦活作用  ルーメン液にステビア未0又は0.2%添加するイン・ビトロ試験を行った。 ステピア添加区では、線維分解菌かつ乳酸利用菌であるセレモナス菌と乳酸生成菌のストレプト コツカス菌が特に増加し、またベロネラ菌、全好気性菌(28倍)、全嫌気性菌(1・7倍)の増加と、 エンテロパクテリエーの減少がみられた。一方、牛のエネルギー源である低級脂肪酸(VFA)が3倍 増加した。 このことから、ストレプトコツカス増加に伴う乳酸の増加は、同時に増加したセレモナス菌に利 用され、濃厚飼料添加時にみられる乳酸の一時的増加による乳酸中毒は、セレモナス菌の増加促進 作用によって回避されるものと考えられる〈安衆太助ら:日畜学会}1994/3)。
5)含有するβカロチン、ビタミンA・E及びB群の作用

牛における応用例
1)黒毛和種の卵巣静止牛にステビゲン50g/日を平均23・4(11〜40)日飼料混与→平均22・6(11〜 46)日に発情・授精93.3%(14/18)(都城農共、堂園正人)。
2)黒毛和種肥育牛で食欲不振・増体不良の牛にステピゲン0・2%を飼料添加→33日間の1日平均増 体量0.83kgとなり、食欲・増体率が改善された。一方増体率が普通であった対照牛の1日平均増体 量は0.64kgであった(郡城農共、堂園正人)。

ステビゲン:ステビア葉・茎の粉砕未、混合飼料 
分析値(100g中):βカロチン4000ug、V.A効力1600IU、V・E38mg、B1 O.04mg、B2 0.34mg、ナイアシン1.3mg、Ca O.49%、P O.23%、粗蛋白7.2%、粗脂肪1.7%、粗線維29.5%、甘味料7.6%



1Kg 2000円1日50gステビア粉末給与が採卵成績に及ぼす影響前回の採卵で5個未満の牛に投与するとステビアを与えたものは正常卵数が増える。



牛の寄生虫性の皮膚炎

.............................................宮崎大学:堀井先生


頸部のぶつぶつ。丘疹。セリ前8ケ月令に多い。オンコセルカ(頸に多く出る)やフィラリアが従来言われていた。ひどいケースは全身の皮膚炎をおこす。塗末すると寄生虫性の炎症像がある。好酸球の増加、異物巨細胞増加。
アイボメクチン投与後好酸球は下がり、治癒する。宮崎県内の皮膚炎の発生は4から8月に多い。(6月がピーク)

仮説:
オンコセルカ、ブチローサあるいはほかの型のオンコセルカではないか。媒介昆虫はブユ夏場に感染すると6ケ月ほどすると発育し子虫を産み始める。その時期が6月前後になる。子虫を産み始めると抗体がIgaからIggに変わっていく。その時期がアレルギー性が強い。アイボメクチンは糸状虫の親虫には効きが悪い。子虫に効く。

質疑
毛包虫の感染との可能性は?
毛包虫が死んだらアレルギーを起こす。毛包虫はつぶした汁の塗末から診断出来るし粟粒大の丘疹か多い。ニキビダニとの鑑別診断はしているので今回の症例とは違う。アイボメック投与後再感染が起こっている可能性がある。症状としては寄生虫が残っていても一過性になおるのが多い。ひどいアレルギーになるものは出血性素因があるのかもしれない。