第83回鹿児島県家畜臨床研究会
講演要旨
                           平成8年6月22日、23日
                           於 : 霧 島 ハ イ ツ
体験発表
   ○開業(宮崎県)    佐藤先生
     1 仔牛の異常産の一例について
     2 牛の浮肋骨折による骨片を中心とした化膿巣について 
   ○NOSAl曽於    五位塚先生
     1 多頭飼育農家に於ける硝酸態窒素測定の中間報告

セミナー1
   ○デンカ製薬      川口先生
     1 肥育牛におけるビタミンAと肉質
セミナー2
   ○ カルチノミン研究所  河西先生
  1 牛の下痢症
セミナー3
   ○鹿児島大学      浜名先生
     1 大動物の高詣血症の予防と対策
     2 牛、馬(大動物)の分娩における胎児の模式図
     3 アメリカ、カナダの獣医科大学視察
     4 先天異常について
製品紹介
   ○アッブジョン社    岩隈先生
     1 エクセネル注射薬について
   ○第一製薬       中村先生
     1 ノビット粒10%(アモキシシリン製剤)について
質疑応答

体験発表
   ◎開業(宮崎県)  佐藤先生
1 子牛の異常産の一例について
 母牛は8歳で6産目で異常産の前歴はなく、自然分娩を観察していたが胎児の口頭が、体外に出た途端、口から水(胎水約4L)を吐いたので慌てて求診を受ける。上診時既に娩出されていいたが、腹部に波動感を認めたため、経鼻カテーテルで更に約2Lを排除した。2.5日後に死亡した。
 家畜保健所にてアイノウィルス、アカバネウィルス、チュウザンウィルスの検査を依頼したが検出されず原因は不明である。
 ○胎内で胎児は胎水を飲むが、腸管内で吸収され胎便となる
 ○胎内で胎児の膀胱反転による腹部膨満(蛙腹)の症例あり
 
2 子牛の浮肋骨折いよる骨片を中心とした化膿巣について
 生後42日令の子牛の右浮肋部腫脹(径14cm位でこぶ状に硬固)部を切開し、排膿する。その切開創内より骨片(長さ4cm×幅1cm)摘出する。
 骨折化膿に係る原因は不明であるが、その後子牛は順調に発育し、無事売却された。

   ◎NOSAl曾於  五位塚先生
1 多頭農家に於ける硝酸態窒素測定の中間報告
 管内生産の肥育素牛が他地区へ売却された後、肥育成績が上がらず、又導入生産素牛
 が飼育管理は従来と変わらないのに成績が低下している。
  そこで1993年10月から1996年2月まで各年1回計5回、肥育導入牛の血
 中ビタミンA、ビタミンE濃度の推移を調査した結果、ビタミンAで1993年10
 月に比べ1995年2月は約1/2濃度に低下していることが判った。
  その原因を追求する過程で、ロールサイレージ、輸入乾草等に含有されている硝酸
 態窒素がビタミンAを破壊するという点に着目し、硝酸態窒素の測定を行った。
 ○硝酸態窒素1g(吸収量)でビタミンAが270万単位破壊されている。
 ○生産農家が多頭化、機械化により濃厚飼料多給、粗飼料不足、又ロールサイレージ
  輸入乾草給与にかたよりがちである。
 ○サイレージの収量を上げるため堆肥多給、鶏糞、豚糞、購入科学肥料等の施肥する
  結果、牧草中の硝酸態窒素が多く含有されるようになった。
 ○硝酸態窒素高含有飼料給与による疾病としては、急性症で硝酸塩中毒(ポックリ病)
  慢性症で繁殖障害、発育不蜃、子牛下痢症等があり、ビタミンA破壊低下による疾
  病も加わってくる。
 ○改善法として次のようなことが考えられる
  1 牧草地への堆肥多給をさけ、降雨量とのかかわりがあるので注意する。
  2 輸入乾草類も硝酸態窒素含有量に差があるので、ヘイキューブ、スーダン乾草
    よりも少々コスト高となるが病状を考えればチモシー乾草を給与した方がよい。
  3 第一胃内のミクロフローラーが正常であれば、硝酸態窒素は約20分でアンモ
    ニア化されるので第一胃内バクテリアの活性化を促進する。
  4 ロールサイレージ+青草+全薬の添加物の給与を行う。
  5 子牛の下痢症については断乳し人工哺育に変えた方がよい。
 ○現在農家への指導は具体的な数字で説明するより硝酸態窒素を多く含んでいる牧草
  等を給与すると様々な障害(疾病)が発生すると説明する。
 ○今年度より始めた事業であり今回は中間報告であるが、将来的には硝酸態窒素の測
  定のみならず、飼養管理全体の問題について取り組んで行きたい。

セミナー1
  ◎デンカ製薬   川口先生
 1 肥育牛におけるビタミンAと肉質
○ 牛肉の品質については肉色、色沢、しまり、きめ、脂防交雑、脂肪の色、質で優劣が
 決まり、要因としては月令、栄養状態、ストレス、遺伝、脂防の質、枝肉の温度管理
 環境、飼料給与が考えられる。
○ 産肉形質における遺伝因子が関わる要因としては1日の増体重、枝肉重量、枝肉歩留
 ロース芯面積。脂肪交雑等がある。
○ 内蔵、骨等は10〜12ヶ月で発育を達成し、枝肉は5〜21ヶ月で発育し、枝肉
 脂肪は12〜2Iヶ月令脂肪交雑10〜24ヶ月令で、筋肉内脂肪は9〜24ケ月
 令で達成される。又、ロース芯切断面脂肪交雑は生後10〜24ヶ月令で直線的に
 増加するが以後はほとんど増加しない。
○ 黒毛和種肥育牛においてはビタミンAは脂肪交雑に(−)増体重に(+)の影響を
 与え、ビタミンAが脂肪交雑に影響する時期は、肥育中期の比較的早い時期である。
○ 肥育牛におけるビタミンAは、抗病力の増強、増体重の向七、食欲増進飼料効率の
 改善、尿石症(去勢)、筋肉水腫、関節炎の予防等の働きがある。
○ 黒毛和種肥育牛(とくに去勢牛)のビタミンAの投与は、肉質なかでも脂肪交雑と
 の関係から15〜24ヶ月令は低レベルに保ちそれ以外は正常値を保つのが良いと
 考えられる。

セミナー2
  ○カルチノミン研究所  河西先生
1 子牛の下痢症
 子牛の下痢症はなくならない永遠のテーマである。下痢の基本的な考えは補液、初乳
腸内細菌の大きな関与、腸内細胞による子牛自身の免疫力賦活造成が基本概念である。
抗生剤主体の治療も大切であるが、「下痢は子牛自身の体力で防ぎ子牛自身の体力で治
すべきものである。」これを助け、補ってやるのが管理上のポイントである。
1) 下痢は子牛の体調(体力)低下の悲鳴である。― 原因や誘因は様々であるが
  下痢発症のメカニズムは同パターンである。(図2)
2) 丸裸で生まれる子牛(免疫的無防備)― 子牛は胎盤構造の関係から抗体が移
   行しないので分娩直後(30〜40分)に初乳を十分に飲ますこと。
3) 和牛子牛下痢の発病状況 ― 牛舎別、地域、気候条件、細菌ウイルス等によ
  って発病し、最も多いのは10〜20日令である。
4) 下痢の被害は著しい発育の遅れである。― 治療日数の遅延、長期化、慢性化
   再発を繰り返す下痢は健康で下痢をしなかった子牛に比べ長く発育遅延が続く。
 農家が出来る予防のすすめと、早期看護
   ワクチン接種や抗菌剤による予防効果は、普遍的でなく、厳しい制約があり手軽
  に農家が実行できない。下痢の本質に基づいた予防法と看護方法を模索し続けてき
  た。(下痢は子牛自身の体力で防ぎ、治すべきもの)

   1)乳酸桿菌発酵濃縮物質カルバック(ルーメンバック30g/day 投与)

   2)断乳とコンソメスープの経口補液看護法(作り方別紙)

 ※ 子牛下痢症は原因治療も重要であるが、発症直後(初期)に経口補液を実施して
 脱水を防ぎつつ、少量のミルクや人工乳を与えることが大切で下痢期間を出来るだ
  け短くすることが最も大切である。
 ◎脂防交雑 ○脂肪原資は人ではブドウ糖であるが牛では酢酸である。
       ○酢酸はルーメン低PHで破壊されるのでルーメンPHを保つことが大
        切である。
       ○ビタミンA欠乏によってイライラ、カゼ、下痢、甲状腺、成長ホルモ
        ン等に関与する。
       ○脂肪の入りかたは、腹腔内の腎脂肪、筋問脂肪、皮下脂防、最後に
        筋肉内結合繊内脂肪である。
 ビタミンAの投与は生後14〜23ケ月令は低レベルに保ちそれ以外は正常値とする。
 正常値(VA;50万単位/月)

セミナー3
   鹿児島大学    浜名先生
1 大動物の高脂血症の予防と対策
 高脂血症(hyperlpemia)とは血漿諧質を構成する成分のうちコレステロ
ールならびにトリグリセライドのいずれか、あるいはその両者の濃度が過剰である状態。
高詣血症 原発生高脂血症(遺伝性あるいは特発性に発症)
     続発性高脂血症(基礎疾患に合併して発症)
 牛においては、これまでのところ原発性高脂血症の報告は見当たらず、続発性高脂血症が一部の症例で報告されている。
 高脂血症の予防と治療の基本はヒトでは食事管理である。牛については現在のところ治療が必要か否かについても明らかでない。

2 牛、馬(大動物)の分娩における胎児の模式図
 子宮内における胎子が母体に対してとる位置、方向および胎子の姿勢をそれぞれ胎位
胎向、胎勢という。
  ○ 胎位(縦位、横位、斜位、頭位、尾位)
  ○ 胎向(下胎向、上胎向、斜胎向)
  ○ 胎勢(胎子の体部に対する頭及び四肢の関係を示す)

3 アメリカ、カナダの獣医科大学視察
   カナダオンタリオ州立大学
   イリノイ大学           3大学1週間かけて視察
   コーネル大学(二ューヨーク州)      (スライドにて説明)
  特に、コーネル大学は、8,500万ドル(200億円)かけて新設された大学
 である。アメリカ・カナダのシステムは落第でなく放校である。

4 先天異常について
  従来の先天異常のなかで昨年11月頃から今年3月頃に異常産が多発した。アカ
  バネウイルスによるものでなく今回はアイノウイルスによる異常産が大部であった。
    アカバネウイルス(関節湾曲)
    アイノウイルス(脊柱湾曲、斜頚)
  今回のアイノウイルスによる異常産の特徴
   *小脳形成不全、中枢神経異常
   *宮崎県(800〜1000頭)鹿児島県(400〜500頭)
   *黒毛和種のみならず、ホルスタイン、F1等でも発症
   * アカバネ・チュウザン・BVD−MD・ブルータング様疾患の各ウイルスは
     否定
   *現在アイノウイルスによる再現試験を実施中である。(農水省九州支場)
  ○今回の異常産は若母牛(1〜2産目)で妊娠9ケ月令前後の発症が多かった。
  ○アカバネ・アイノ・チュウザン3種混合ワクチンが開発され近日中に使用可能
   となる。
鹿児島大学に搬入された先天異常の100例中58例がアイノウイルスによる異常産と判別される。(異常産例をスライドにて説明)

製品紹介
アッブジョン社   岩隈先生
1,「エクセネル」注射薬について
 ・ 動物用に開発された新世代のセフェム系抗生物質でセフチオフルナトリウムを主成
  分とし、べ―タラクタマーゼ産生菌を含むクラム陽性菌・陰性菌に有効な広範囲
  抗生物質である。
 ・セフチオフルは、細菌の細胞壁の合成を阻害し、殺菌作用を示す。
 ・牛肺炎、豚胸膜炎の起因菌に強い抗菌活性を示し耐性菌は認めない。
 ・ 30分か1時間で最高血中濃度が得られ感染部位ですみやかに治療レベルに達し、
  有効血中濃度が持続し、血中半減期は7〜12時間である。
 ・ 牛で3〜5日間、豚で3日間の投与で高い治療効果が得られ投与部位の肉質を損な
  わない。
                            (平成8年7月より発売)
第一製薬     中村先生
 1,「ノビット粒10%(アキモシリン製剤)」について
 ・ アミノベンジルペニシリン系抗生物質でアンピシリンを改良したアモキシリンの
  製剤でグラム陽性菌・グラム陰性菌に対し優れた抗菌力を示す。
 ・適応症としては、牛・豚の肺炎、大腸菌性下痢症、鶏の大腸菌症である。
 ・細粒剤であるので飼料又は飲水に添加が容易である。

質疑応答
司会進行係 NOSAI日置 安村先生  NOSAI曾於 前田先生
◎ 肥育牛のビタミンA投与は導入時期によって脂肪交雑に差があるか?
・ 暑熱、寒冷時、ストレス等によって差があり又成長の早いものは、1.2〜1.3
 倍投与してもよい。ビタミンAは様々な要因によって変化するのでコントロールは困難。
・ AD3E剤を投与する場合は単味でなくCa剤(ボロクルコンサンCa)を併用
 する。
・エサを良く食べない牛はサシも入りにくい。
 
 ※ ビタミンA欠乏症の簡易診断法(松本法)
   (ポケット海中電灯を眼球の真横に後縁より前方を照らすと本来ミドリ色の眼球
    が欠乏しているときれいなブルーに変わる。ビタミンAを投与し、正常値にも
    どるとブルーに戻る。― 統計的処理等はしていない。)
   (ポケット懐中電灯で照らし赤眼球の宝政は出血傾向あり―子牛の去勢は注意)
・ 肥育月令とあとどれくらい飼育するかを考えてビタミンAの投与を決める。
・ 脂肪交雑に係る遺伝子の判定は複数の要因があるが間もなく解明可能である。

◎ ヘイキューブの給与の方法は?
  (出水方式)      14ケ月令
      前期大量投与型(ヘイキューブ3kg/day  ―― みため小 ― 体重重い
      通年投与型  (ヘイキューブ100〜200g/day ― みため大 ― 体重重い
  (佐賀方式)
      導入後生後13ケ月令まで(上質のイナワラ+ヘイキューブ3kg/day
                               +一般フスマ)
      14ケ月令よりイナワラ+配合飼料の飽食(ヘイキューブ200〜300g投与
                                 場合もある。)
◎ 脂肪前駆細胞から脂肪細胞への移行は?
 ・ 脂肪前駆細胞はある条件が整うと脂肪細胞へと増殖するが、その時期は生後14
  〜23ケ月令であり、17ケ月令がピークである。
 ・ ビタミンAは脂肪細胞が増殖するのを抑制するので14〜23ケ月令は低レベルに
  保つ(13ケ月令までと24ケ月令以降は正常位を保つ)
 ・ 脂肪細胞増殖因子は 一 カット・2(タンパク),PDGH(血小板中にある)、
  FCH、ビタミン、ステロイドホルモン、インスリン、グルカゴン、成長ホルモン
  副甲状腺ホルモンECGF等がある。
◎ 重篤な下痢症の治療法
 ・歩様蹌跟、脱水状態は補液を実施500mlを30分かける。断乳(母乳の変質)、
  呼吸状態の観察する。 ―― 予後不良の場合が多い。 
・ 母牛の搾乳の励行、少々改善されても搾乳を繰り返す。
・脱水  電解質の変調循環血液量の減少しO2不足 ― 乳酸 ― アシドーシス

 ・腹囲膨満に経口補液剤は慎重に行い、尿排出を確認する。

 ・重篤な下痢症の例として(死亡した例)

    1,アンモ二中毒 ―-― 北海道に多い(診断が困難)
    2,白筋症 ―― ビタミンAの投与
    3,消化不良性 ― 胃の中へ消化不良物(胃洗浄)
◎ イモコリホブ (経済連)の積極的利用を、治療より予防を主眼にしたほうが
          子牛の発育も阻害しないし、農家の経済的損失も少ない。
           下痢を発症しても1〜2回の治療で治癒する。
          (母牛に分娩40〜30日前1日I.C)
◎ サシを入れることのみとらわれないで健康な牛の健康な肉を食べるようPR
  すべきである。
◎ 大動物の診療に携わる獣医として、今後発想の転換をし、疾病の治療だけでなく
  飼養管理、更には金融資金も含めた経営管理指導まで行うべき。


セミナー2
   ○ カルチノミン研究所  河西先生
  1 牛の下痢症
                            
下痢の発症メカニズム (今野多助)
l)M→腸管運動亢進              
2)N→吸収障害(栄養素)                  
3)H2O+Na→ホと電解質の分泌亢進         

4)S→腸管内容物の浸透圧の亢進
5)以上の変化は下痢子牛に脱水・Naなど
  電解質の喪失・酸血症とエネルギーの不足
  が共通して起こる。 (下痢・軟便・泥状便・水様便)
6)病態生埋では腸管の透過性・分泌亢進、消化・吸収の阻害と腸管蠕動亢進や便秘
  (腸内細菌の異常増殖)などによるとされている。

丸裸で生まれる子牛(免疫的修防備)

  人間の赤ちゃんは胎内で免疫抗体を貰って生まれるが、子牛は胎盤構造の関係から、

  抗体が移行しないので、分娩直後 30〜40分以内に初乳を十分飲ませないと、
      「日本刀で近代装備の軍隊と戦うに等しい」
  1に初乳、2も初乳与えて子牛が丈夫に育つ。手抜き・見落とし下痢の元!

 断乳とコンソメ液看護法
1 コンソメ液の作り方→市販のコンソメ・スープ4こ(20g)に重曹(タンサン)
  10gを加え、温湯2L(1升強)で溶かす。

2 断乳とコンソメの用い方→下痢発症直後すみやかにマスクを装着し母乳を飲ませな
 いこと。コンソメ液を作り、細口ビンで肺に誤飲させないよう静かに与える。子牛の
 大きさ・脱水の程度によるが、おおむね1日に2〜3Lを3〜5回に分けて与える。
 間もなくほとんどの子牛はマスクを付けたままバケツから飲むことが多い。同時に、
 清水をバケツに用意しておくと、子牛はノドの乾きに合わせて自由に飲む。
3 コンソメ液にヘルシースタート3〜6ml/日加えると治癒が早い。

4 本法実施上の注意事項
 a 普通の白痢は発症直後に本法を実行すると、2日程度で効果が現れ、便の性状が
   好転して帯黄色〜固形化がみられるのでそのまま続ける。
 b 下痢便が好転すると「治ったと早とちりして」手当を怠り、直ぐ乳を飲ませたが
   る人が多い。しかし、火事はおわったがまだ燃え残りがくすぶっている状態であ
   るから、1日1〜2回数分間の制限哺乳を2〜3日続け、この間、マスクを付け
   コンソメ液を与える。すっかり治ったことを確認したら面倒でもコンソメ液を
   十分飲ませてからマスクを外す。これはマスク解放で母乳をイッキ飲みして再発
   しやすいからである。このときさらにコンソメ液を2〜3日飲ませたい。
 c 乳量の多い母牛は多汁質や高エネルギー飼料を控え乾草類を与える。本法を長く
   実施するときは1日/1〜2回絞り捨てる。

 d 全身症状を伴う下痢や血液や異常色の下痢便は獣医師の専門的治療を受けないと治
   らない下痢が含まれているので、即刻診療・治療を依頼しなければならない。

   獣医師の指示に従い本法を継続する。
 e 壱岐郡ではl989年以降多数の生産農家が実施してきたが、本法によるトラブル
は勿論病勢増悪、発育の遅れ、治療効果低減および副作用は全くなく、再発しても
   再び本法で治癒した症例や10日以上継続して治癒した事例が珍しくない。
 f 最近は慢性化のおそれある牛は、離乳してコンソメ液併用の人工哺乳で好結果を
   えている。(カルバックを組み込み素晴らしい発育をとげた子牛になっている)

    本法は農家が直ちに対処でき、下痢病態の本質に適合した治癒えの促進効果の
   絶大な方法といえる。すなわち、「子牛の自然治癒能力の維持・促進効果が