第80回鹿児島県家畜臨床研究会              講演要旨          

 平成7年6月3日,4日           於:サンピアあいら

CONTENTS
体験発表
@高脂血症を疑われた子牛の症例・・・・・・・・・NOSAI薩摩 下市寿史
A皮膚移植について・・・・・・・・・・・・・・・NOSAI姶良 荒川順一
B症例2題と馬の去勢について・・・・・・・・・・NOSAI伊佐 松下俊彦
C創傷性心嚢炎に対する還流法による治療法・・・・NOSAI姶良 蔵前哲郎

セミナーT

分娩時のホルモン動態・・・・・・・・・・・・・・第一製薬  渡辺 有
牛の骨発育について・・・・・・・・・・・・・・・鹿児島大学 大石明広
牛の臨床繁殖におけるFSH剤の応用・・・・・・・デンカ製薬 川口 擁

セミナーU

卵巣腫瘍2例と先天異常・・・・・・・・・・・・・鹿児島大学 浜名克己
導入後4カ月までの管理技術・・・・・・・・・・・カルチノミン(研) 河西了吾

質疑応答 記録・編集 NOSAI薩摩

平成7年6月3日(土)
司会:NOSAI伊佐 村山和也先生会長挨拶:

蔵田先生・子牛の下痢 薬治時の誤燕性肺炎.電話での対応のみでは状況が分からない.・
子宮捻転や胎児の失位整復で胎児の摘出が困難な場合,開腹手術で子宮を開かずに整復,摘出が可能 な場合がある.

体験発表

NOSAI薩摩 下市寿史先生
高脂肪血症を疑われた子牛の症例  

H6.12/23生まれの雌子牛. H7.3/3初診. T:38.0C,元気なく哺乳不全,軟便,腹囲膨満 レンガ色の血液がミルク様血清と血餅に分離.治療は対症療法のみにて,離乳してスキムミルクを1 カ月間投与す.その後経過を観察中.  コメント  ・スキムミルクの脂肪分は0.8g/100g,脱脂粉乳は脂肪分25%以上  ・多数採血すると乳糜血清が何本かある.脂肪蓄積症は細胞中に蓄積される.子牛側の脂質コント   ロールに問題か? ・摂取した脂肪は肝臓でコレステロールが再合成されるが,そのバランスの問題ではないか(一過   性のものか?).母乳の脂質含有量を調べてみると良かったのでは?  ・母乳中の脂質が高いから高脂血症になるというのは疑問.子牛の肝臓などにおける(酵素の)一   過性の異常か?  

NOSAI姶良 荒川順一先生
腫瘤の切除と皮膚移植について  

生後12カ月の黒毛和種雌子牛.背部に25p×7p大の脂肪腫(Lipoma)を形成した牛.脂肪腫の除去と 胸垂部の皮膚移植を同時に行った.最終的に移植した皮膚は癒着しなかったが,皮膚の新生が促進さ れ,十分に保護的機能を果たした.皮膚は移植される側を小さくし移植する側を大きくとらないと, 皮膚が縮んで縫合しにくく血行も悪いためうまく癒合しないことが分かった.しかし,皮膚を移植す ると傷が化膿せず,皮膚の新生を促進する効果がみとめられた.よって大動物においても広範の火傷 や巨大な腫瘤の除去等による皮膚の整形には皮膚移植が有効と思われる.  コメント・下腹部の壊死脱落した皮膚は再生するが,洗浄などの治療だけでは治らないか? ・皮膚の代わりにキチパック(キトサン)等の応用はどうか? ・移植がうまくいくと3週間程度で定着する.術後のケアが必要.移植用の皮膚は薄い部分がよいが,  牛ではどこが良いかは不明.採取した皮膚は脂肪分をはじめ皮下織を,毛根が見えるぐらいまで除  去する事が必要.皮膚のツッパリができる可能性があるので移植する皮膚や,周りの皮膚に網目状  の切り込みを入れて引っ張りよせるのも良い.

NOSAI伊佐 松下俊彦先生
症例2題と馬の去勢について

◎生後2週齢の雄子牛.臍部周辺が濡れており悪臭がある.臍部に腫脹がある.疝痛症状を認め排便を 認めない.剖検により膀胱が腹壁に癒着し,尿が腹壁を通って皮下に出て,臍部に開口する(漏管の 形成).腸の癒着も伴っていた.

◎生後1カ月の子牛.38.7C P:120 腹囲膨満(特に右側),疝痛症状有り. 胃洗浄を実施したがその後間もなく死亡.剖検により第二・三胃孔部が穿孔.運搬中の事故か胃洗浄 中の事故かは不明だが,胃洗浄中とすると洗浄液注入時の圧が問題か.

◎馬の去勢について  セラクタール 1cc/100kg程度の麻酔で枠場保定  コメント  ・鼻保定で骨折予防のため左足だけ保定.左睾丸が小さいので左側から取る.  ・挫切鋏で切る場合は出血することもあるが,ひどい場合は創孔を縫合する.腫脹がひどい場合は   包皮部を三稜針で乱刺する.  ・精系を長くひきださない.  ・横から取るか,後ろから取るか?  ・挫切鋏と保定鉗子を使うと出血が少ない.出血してもあまり心配しなくても良い.  ・抗生物質,破傷風血清を使うこと.  ・明け2歳で実施する.  ・肥満度の進んだ馬は治癒が遅れる.

NOSAI姶良 蔵前哲郎先生
創傷性心嚢炎に対する還流法による治療法 症状・血液検査・エコー診断により創傷性心外膜炎と判断.

エコー像では心嚢液の増量やフィブリン の付着を認めた.カウサッカーにて針金を除去.套管針を第5・6肋間から刺入する.ドレインを挿 入し外套を抜去する.排液の性状を確認し,ドレインを皮膚に固定する.生食2,000ccにマイシリン  20ccを溶解したもので洗浄する.洗浄後マイシリン20ccを注入する.ドレインはヘパリン加生食水を 注入して閉じる.今回は心嚢液の汚染が少なく原因物質の除去が治癒につながったものと思う.また ドレインの固定には注意を払うべきと思われた. コメント  ・手術前の栄養状態に注意して穿刺の深さを決める.  ・心嚢液の混濁の度合いにより予後判定を行う.  ・原因物質の除去が重要である.  ・エコーの見方

セミナーT

第一製薬 渡辺有先生分娩時のホルモン動態  ・

受精した卵は4ー5日で子宮に達し16細胞から桑実胚となり,7ー8日で胚盤胞となる.9ー1  0日でハッチングする.14ー15日で約7cm長の糸状に伸びる.30日で約45cmとなり胚がP  GE2を産生し子宮内膜のPGF2αと拮抗する.30日ぐらいで丘阜に巻き付くようにして着床が  始まる.着床時に子宮先端部に内膜炎があると着床が阻害される. ・黄体ホルモンとPGFM(分解産物)の血中濃度 ・妊娠期間中のプロゲストロン(P)とエストロゲン(E)の血中濃度 ・妊娠中の乳汁中のP値は非妊娠牛の3ー4倍 ・Pが150日ぐらいで胎盤からも産生される.150日以降卵巣割去しても妊娠は継続するが,生  まれた子牛は1週間以内に肺障害で死亡する.妊娠145日以降でPGを投与しても流産せず,生  まれた子牛は肺充血で死亡した. ・コルチゾールの上昇について.胎児性ACTH(副腎皮質ホルモン)が上昇し分娩を誘起する.胎  児側では分娩前10日ぐらいから上昇し,母体側では分娩2日前から上昇する.ミイラ変性・脳奇形子牛ではACTH出ないので分娩が起こらない. ・胎盤性Pをコルチゾールが活性化してEを産成する.分娩が 引き起こされるにはEの上昇が必要.  Eに感作されないとPGやオキシトシンに対する子宮収縮反応がおきない. ・PGF2αの作用で子宮先端から頚管の方向に収縮し,頚管を融解させる.胎児の頭部が頚管に入る  とオキシトシンが分泌されて胎児が娩出される. ・胎盤排出の主体はPGであるが,これにもEの感作が必要である. ・産褥期のホルモン動態.卵巣の回復と子宮の整復について  卵巣はステロイドの生産と卵胞の発育.子宮は子宮内膜の回復,子宮内腔のバクテリアの排除,子  宮筋の収縮を行う. .フレッシュチェック:分娩後30ー35日でPGを投与して子宮を収縮させて悪露を排出させる.  PGF2αに対する子宮収縮作用は分娩後日々低下するが,エストラジオール5mgを投与すると反応  性が回復する. ・分娩遅延牛は,PのEへの転換がうまくいかず,Pが下がらずにエストラジオールが低い.分娩遅  延牛にPGを使っても胎盤停滞の可能性が大きい. ・分娩の背景をつくるのはエストラジオールである.Q&A・妊娠140日まではPGのみで流産.140日目以降ではデキサメサゾン20mg+PGで流産.・エストラジオールを使った発情誘起     乳牛経産 :エストラジオール2mg +PG20mg     乳牛未経産:エストラジオール1.5mg+PG20mg 和 牛 :エストラジオール1.5mg+PG20mg


鹿児島大学 大石明広先生牛の骨発育について ・

背景:子牛生産が全国1位である.骨,関節疾患が多い.牛の骨に関するX線調査が行われていない.    肥育という異常な飼育形態にさらされている.県内産黒毛和種牛の骨・関節の正常像をつかむ.・X線にて化骨標準像を確認する.・X線撮影部位  前肢:上腕骨,橈骨・尺骨,中手骨の遠位端,指骨  後肢:骨飛節部の踵骨・1カ月間隔で0ー30カ月,10頭ぐらいずつの頭数を,1ー10の化骨標準段階(GRADE)で調査.・橈骨遠位端の所見:GRADE3ー4で娩出.生後10カ月GRADE8に達する.生後30カ月でGRADE10に 達する.・尺骨の骨端線は36カ月で閉鎖する.・中手骨の遠位端は分娩時はGRADE4ー5で,23ー26カ月でGRADE10.・踵骨はGRADE3ー4で,29ー30カ月でGRADE10.・橈骨の骨端線長・骨端角長,中手骨と中足骨の長さを数値化して記録.・生後10カ月までの骨の成長は急である.骨の成長は体高と一致する傾向にある.・今後の課題  性別の違い.骨発育に考慮した肥育方式の確立.生産牛は30カ月齢までに1回分娩を経験するが,  分娩の影響はないか.

Q&A ・糸系と気高系の骨成長は遅く,但馬系は早いのでは? ・
畜産試験場と付属牧場で調査されているが,一般市場の牛でも調査してほしい. ・骨密度の測定は特別な機械が必要なので困難と思うが,X線写真の画像処理は可能と思う. ・骨軟症とクル病の違いはカルシウム沈着の度合いの違いか. ・代償性発育の問題.低ビタミンAレベルでの低カルシウムの問題.体重偏重の市場が骨の正常発育  を阻害しているのではないか.


デンカ製薬 川口擁先生 FSHの生物学的作用と卵巣疾患

1.雌性動物における性腺ホルモン支配
2.FSHの雌性動物における生物学的作用
3.雌牛におけるFSH剤アントリンの卵巣疾患への応用 アントリンA.U.=mgと考えて良い. 
1)生物学的作用と卵巣疾患に対する治療有効量 
2)卵巣嚢腫   イ)卵巣嚢腫牛に対する静脈注射の成績   ロ)卵巣嚢腫牛に対する静脈注射単用と嚢腫破砕併用の治療効果の比較   ハ)FSH20ー40A.U.静脈注射後の嚢腫の反応   ニ)乳牛の卵巣嚢腫に対するFSHの静脈注射と皮下注射の治療効果の比較   ホ)FSHの卵胞嚢腫内直接注射による治療成績 
3)排卵障害 
4)卵胞発育不全 
5)卵胞発育障害(卵巣静止,卵巣萎縮,卵巣発育不全) ※プロゲストロン測定によるFSH製剤の卵巣疾患に対する治療効果 ※牛卵胞嚢腫に対するpFSH製剤の臨床応用試験 ※牛の卵胞嚢腫4.牛および豚の繁殖に用いられる主なホルモン剤の作用


平成7年6月4日(日)司会 NOSAI姶良 永山作二先生...

セミナーU

鹿児島大学 浜名克己先生  

世界獣医学会,世界牛病学会,連合大学院
卵巣の腫瘍2題 顆粒膜細胞腫と黄体化卵胞膜細胞腫 先天異常    No.1555 B ♂ ET産子 重症肺炎 左右股関節変性 No.1558 B ♀ 側脳室拡張 単腎(右のみ) 腹膜炎           ※ V.Aレベルと側脳室拡張の関連性ありや?(宮大) No.1560 B ♂ 側脳室拡張 心脆弱,石灰化 四肢不安定 (白筋症との関連か) No.1563 B ♂ 先天的関節湾曲 難産 骨折 No.1564 B ♀ 側脳室拡張著明 無眼球 無尾 No.1566 B ♂ 発育不良 好酸球の顆粒大 No.1570 F1♂ 側脳室拡張 無眼球 仙尾椎欠損 No.1571 B ♀ 頭部複合奇形 前頭部膨隆と陥没 No.1575 B − 無形無心体 No.1576 B ♀ 関節湾曲症(両前肘と手根関節) No.1577 B ♂ 水無脳症 No.1578 B ♀ 腰椎棘突起二分 腰髄水腫 後躯不全麻痺 No.1579 B ♀ 慢性鼓腸症 第二胃瘢痕収縮 第一胃不全

Q&A ・先天的異常と遺伝の関連性は,今のところはっきりしない. ・顆粒膜細胞腫は早期に摘出すれば経過がよい.


カルチノミン(研) 河西了吾先生

導入後4カ月までの管理技術 ・
牛個体の消化能力と吸収された栄養素が効果的に代謝され,健康を維持しつつ肥育が終わる飼料・管 理方法・環境及び素牛の資質が,産肉成績を左右する.・
飼料・管理法・環境のあらゆる現象は牛にストレスを与える.その程度と牛がどのように適応し,安 定した状態を獲得するか(この状態をホメオスタシスと呼ぶ)の2点を理解する必要がある.・

導入後1カ月以内とこれに続く3ー4カ月(13ー14カ月齢)までの全管理が肥育成績を決める.
1.導入後1カ月以内のストレスとホメオスタシスの重要性  
・この期間は想像以上のストレスが負荷された状態の1カ月である.  
・子牛は神経系・ホルモン系・免疫系・消化器官などあげてストレスに適応しようとして心身を消耗している.  
・ストレスが続くと生命維持機構の混乱・破壊が全身に生じ,好ましい安定した生理現象のホメオスタシスを構築する暇がない. 

1)始めに指摘した導入子牛のストレスは消化機能を障害している.  
a ストレスにより消化器の運動が阻害される.  
b ストレスの負荷により腸内細菌叢のバランスが崩れる.  
c 小心子牛はアドレナリンとコルチゾル分泌が亢進し,ストレスの加重・不安定なホメオスタシスが必ず起こり持続しやすい.  
d 導入時の手荒な取り扱いなどは肉色不良の原因となる. 
2)好条件の肉生産のホメオスタシスを維持した肥育牛舎の状況

2.導入後3ー4カ月までの産肉生理のあらまし 
産肉生理学の骨子は発育の順序・栄養配分の優先度・栄養の与え方の3点に要約される. 

1)導入牛の組織・器官の発育最盛期終了月齢は11ー14か月齢に集中している.したがって黒毛和牛の発育最大期間を利用できる月齢は,導入後1ー4カ月のみということになる. 
2)栄養配分の優先度は骨・筋肉(含内蔵と消化管)への栄養配分が優先される.増体のみにこだわらない. 
3)栄養の与え方は導入後1カ月以内の飼料馴致「いわゆる腹作り」が格別の意義を持つ.13ー14カ月まではこの目的に沿った栄養の与え方を実行し,高栄養多給に耐えられる安定したホメオスタシスの基礎作りに専念する. 
4)牛は草をエネルギー源として進化した動物のため,消化機構と代謝機能は粗飼料無くしては正常に作動しない.

3.導入後4カ月間の飼料給与 
1)牛が好んで食べる良質粗飼料を十分与える. ヘイキューブを導入時から2kgを与えはじめ,最低4カ月目(13ー14か月齢)まで与える.   勿論自給乾草,生草を13ー14カ月齢まで活用しても良い.稲藁は必ず良品質のものを使う. 
2)粗飼料の給与は濃厚飼料給餌の前に行い,十分に食い込ませること.   濃厚飼料は発酵が早く粗飼料は遅い.両者が調和して完全な消化がはかられる. 
3)粗飼料はルーメン内での停滞時間が長く発酵熱が大きい.夏期は食欲が低下し,冬期は求める.   不足は肉色悪化とDG不良の直接原因になる. 
4)濃厚飼料について  
a.濃厚飼料に偏った長期間の消化生理に耐えることが可能な状態にする基礎的馴致期間である.  
b.導入後から一般フスマ1ー2kg程度の給与から始め,1カ月後には約4kgを良く消化できる状態に馴致する.  
c.2カ月目からは一般フスマと普通飼料(DCP10%・TDN70%程度)を用い,増量しながら3ー4カ月末には飽食状態にする.  d.良質粗飼料不足の場合,馴致に1ー2カ月の遅れが生じ不測の事故が起こりやすい.  
e.稲藁を主体とする場合は良質なものを用いること.  
f.蛋白質不足は発育を強く阻害し,過剰は消化器病・尿石症・アンモニア過剰の代謝障害などの原因となる.成長の旺盛な時期には成長・甲状腺ホルモンが特に必要で,これらの分泌に蛋白質とビタミンAが強く影響を及ぼすので,DCP10ー12%を目安と考えると良い.  
g.濃厚飼料の配合割合   
イ.単純な配合試験.必要以上に複雑にする利点はない.   
ロ.大麦とトウモロコシの比較.ほとんど差異はない.ルーメン内細菌の増加は大麦が優る.

Q&A・カルシウムの投与量はリンカル3kg/tとし,11カ月齢までの補給は重要.
・肥育牛の最適カルシウム・リン比は? リンカルのリンが尿石に心配なので炭カルではどうか?・出荷月齢・出荷時期の目安について 26カ月齢以上が良いが,系統による違いも考慮する. 糸系・気高系は大型で晩熟であり,但馬系は小粒で早熟である.



質疑応答》司会 NOSAI薩摩 古川幹先生

・ヘイキューブの継続的給与 導入時から4カ月間2kg/日給与し,その後次第に減量し肥育末期まで給与する.
・良質粗飼料とは易消化性で蛋白含量の高いもの.・ビタミン・ミネラルは飼料とは別途与えるのが望ましい.
・佐賀の肉質評価が高いのはなぜか?又,その収益性は?・佐賀の肥育農家は導入期の飼養管理技術に優れているものと思う.・宮崎牛の評価が上昇中である.
・奇形子牛が大きいのはなぜか? 詳細は不明.

・脂肪壊死症の治療について  
フジックスの効果が不安定 パンカルG散100g/日投与は効果が遅い.良い方法は?  1)フジックス 2)植物ステロール 3)ハトムギ が代表的治療薬  フジックスは肝臓での飽和脂肪酸を不飽和化させる酵素を活性化する.  植物ステロールとハトムギの合剤でファイトステロールがあるが,ファイトステロールは第一胃の  原虫を増やして菌体脂肪を供給する.(第一胃PHの下がりすぎに注意する.)  それぞれの組み合わせで用いる.

・FSH(アントリン)で単一卵胞を作る方法は?  FSHは1回投与で1個の卵胞,分割投与で多数卵胞が原則.(血中濃度が持続しないため.PMSは長期に存在)  
アントリン10アーマーの筋注で多胎経験.原因は?

・分娩誘起について  胎児が信号(コルチゾール)を出して分娩が始まるのなら,死亡胎児の分娩が始まる理由は?  
胎児の死亡により子宮内膜の炎症が起こりPGが産生されたり,エストラジオールが上昇するため 分娩が始まるものと思う.

・大麦とトウモロコシの飼料的比較  いずれもほぼ同じ効果と判断して良い.Rumen内の微生物の増殖は大麦の方が良好.  大麦は胃内消化が良好でミクロフローラ増殖.トウモロコシは下部消化管で消化される.両者を農家の形態に基づいて配合割合を指導する.

・馬の繁殖障害について  卵巣静止にPGを使うと発情が来るのはなぜか?  
馬の黄体は卵巣の中にあり直腸検査で確認しにくい.北海道では卵巣の大きさと硬さで判断するという.
2/14頃よりPGの効果が出やすい(日照時間の関係か).PG投与後,発汗・疝痛症状などの副作用がみられることがある.
馬で3ー6mg/頭,重種馬で15mg/頭.  
※PGの排卵促進作用    卵胞液中のプラスミン活性が上がっていないと排卵しにくい.プラスミンは卵胞膜を弱くする働きがある.PGはプラスミノーゲンがプラスミンに変わるときに作用する.  
馬では発情がわからない時はPGを使うのが一般的であるが,その他にはPMS5,000単位+HCG5,000単位の合剤を1ー2アンプル.FSH20アーマー皮下・筋注HCG3,0005,000I.U. 排卵障害にはLH−RH200μg   馬でもショック発現防止のため皮下・筋注の投与経路

・流産防止処置について  
流産防止処置に黄体ホルモンを用いた後,胎児の死亡が確認された場合は摘出が困難となり,浸漬胎児となり子宮壁や卵管が損傷する.早い時期なら頚管にエストリオール50mgを直接注射,頚管が開いた後エストラジオール感作後PGを投与する.初診時にPMS,エストラジオールを投与すると良い.

・枝肉格付けの問題点