特別講義 寄生虫学・   堀井(宮崎大学)

今日の内容は、消化管内寄生虫の影響とその背景、子牛におけるコクシジウム感染症の現状と背景、実験動物でこの検証を行いました。特にトルトラズリルが効果的であるということで、マウスでその効果を調べております。それからアイメリアに関する文献の紹介。
牛におけるトルトラズリル投与が実際に再感染抵抗性誘導に働くのかということ。実験動物においてコクシジウム感染が外来性の細菌に影響を及ぼす、これが牛においても同じことが起きるのではということでモデルとして紹介したい。
最後に、子牛のみならず育成牛や肥育牛などでも出血性腸炎が起きるけれども、これにコクシジウムがどう関与しているのかについて。7つに分けてお話しします。

まず線虫についてです。線虫感染の場合多くは臨床症状を示しません。いわゆる亜臨床症状を示すわけです。
この場合、我々は判断が難しく、これくらいならば駆虫しなくてもいいのではと考えがちです。ですが、家畜というのは特殊な環境で負荷をかけられて飼育されている。泌乳量や肉量など、生産圧が常にかかっているわけで、たくさんの期待の中で多くのえさを与えられます。
多くのえさを与えるということは一面ではいいことですが、過剰になるとストレスになる。もちろん少なくてもストレスになります。その中でどのようなものを指標として亜臨床的な寄生虫病に取り組んでいくかということです。まず亜臨床症状とはどのようなものかを知らなくてはならない。何にも起きていないのかどうか。
これは寄生虫に対する一般的な免疫応答を示しています。細胞免疫型、液性免疫型、二つに分かれるんですけども実際はこの間にもレギュレトリーセルというのが見つかっていて、免疫が過剰に働くのを押さえているということも分かってきています。
液性免疫というのはアレルギー、細胞性免疫も非常に重篤な障害を起こします。
これは寄生虫感染が宿主にどのような免疫影響を与えるかという非常に簡単な実験です。スナネズミの小腸の断面です。絨毛の端っこには上皮層があるんですけども、その表面には杯細胞がならんでおります。感染が起きると杯細胞の粘液産生が増えると同時に、細胞数も増える。虫が引鉄になって、正常な状態からこのようにドラスティックな変化が起きるということが分かっています。ここに虫の断面がありますが、粘液で虫を取り囲むようにしています。
これが排除される頃になると、虫が腸管腔に出てきて粘液にトラップされます。こうやってくるまれて排除されます。
またこちらはラットの腸管ですけども、見えるのは肥満細胞です。肥満細胞から出る物質が排除に働いているのです。
つまり目的をもって変化が起きているのです。これが大事なのです。消化管粘膜における透過性の変化について投稿した論文です。
ネズミ糞線虫をマウスに感染させると、虫体回収数が六日目にピークを迎え、十日目に落ちて十四日目にいなくなる。その時肥満細胞を見ると、十日ぐらいから増え始め、虫がいなくなった頃にピークを迎える。実は最初のところ、肥満細胞の数が少なく見えますけどもこれは肥満細胞が脱顆粒して数としてとらえられないということで、虫がいなくなって脱顆粒しなくなったために増えている。顆粒の中には酵素や化学物質が多量に含まれています。
今回この酵素に注目します。酵素が出てくると、この絨毛にある上皮細胞の層にはタイトジャンクションという構造があるのですが、これが壊される可能性が言われていました。
そこで実際にマウスにウサギのIgGを注射して、どのように腸管に漏れてくるか、そしてどのような寄生虫がどの時期にその影響があるかを調べた実験です。
IgGは非常に分子量が大きいので、これが漏れるほどであったら、身体の中で必要なタンパクはすべて漏れる可能性があります。
感染が進むにつれて漏れ方が大きくなり、タイトジャンクションの破壊が進んでいることが分かります。
意外とコクシジウムの場合は漏れが少なく、コントロールとそう変わらない。糞線虫の感染は、肥満細胞が増えることが違いです。
コクシジウムの場合は肥満細胞は増えないので大きな影響はない。糞線虫は壊して穴をあけるだけではなく、補う物質の発現も抑制します。コクシジウムの場合は上皮細胞の物理的破壊によるIgGの漏出にとどまり、タイトジャンクションは意外と保たれているのではないかということが想像できます。
この時に腸管腔から門脈血流にLPSが流入するのではないか、漏れるなら入ってくるのではないかということですが、これが門脈でのエンドトキシンの量を測定したものです。デイ0に比べて、感染十日目優位に量が増えている。
感染によって、タイトジャンクションが破壊されることによって、エンドトキシンが入ってきているということが分かります。これがどういうことかというと、通常よりも多く入ってきたエンドトキシンによって肝臓の負荷が増えます。
肝臓というのは非常に大切な役割を持っています。ホルモンに必要なタンパクの合成、エネルギーの貯蔵などの役割を持つのですが、そこに余分な仕事をさせることで、健康を損なうというよりも、牛の生産性を損なっている可能性があるのではないか。駆虫をすると生産性が上がるという報告はたくさんあったんですが、そのメカニズムが分からなかった。こうして見ると、駆虫することによって腸管の中での余分なものの流入が減る可能性が大いにある。

結論ですが、消化管内の寄生線虫感染によって誘導される肥満細胞分子の発現によってタイトジャンクションが抑制される、腸管粘膜の透過性が亢進する、高分子の血液線分の漏出と共に、腸管腔からのLPSの門脈内への流入が増加する。これはほかの余計なものと同じように肝臓で分解されます。
慢性感染になるとこれがじわじわと起きる。これだけで牛が死ぬというようなことはないんですけども、たとえば餌がぎりぎりの量で維持されていた場合、肝機能が維持できなくなる。あるいは繁殖の成績が少しずつ悪くなる。ミルクの生産量が少し減る。子牛の太りがちょっと悪くなる。
この「ちょっと」が気にならなければ別にほっといても構わないような亜臨床症状であっても、産業動物であれば農家の利益を考えなくてはならない。そうすると駆虫というのはコストパフォーマンスのいい方法だということになります。線虫類の駆虫にはアイバメクチンがよく使われていますけども、みなさんご存知の通りアイバメクチンの発見者である大村先生が今年ノーベル賞を取られ一躍脚光を浴びたわけですが、獣医界では非常に早くからこの薬が使われ、効果を実証してきました。
先生も動物の方から始めて良かったとおっしゃっていましたが、動物で世界規模で使われた、それが人に応用されたという例です。人で開発された薬を動物に使うという例は非常に多くありますが、アイバメクチンはその逆だったというわけですね。次に肝機能にかかわる話です。
これも2008年に投稿したものですが、パラオキソネースという酵素が肝臓で作られます。これは血中の高密度リポプロテイン、HDLに結合して体内を回っています。この名前の由来は、有機リン系の殺虫剤パラチオンの強毒素系の代謝物であるパラオキゾン、これを加水分解することから来ています。
この酵素はほかにも抗酸化作用を持ちます。したがってストレスがかかるとパラオキソネースが消費されて量が減ります。つまり、肝臓で合成されるものですから、これを指標にすると、肝障害を受けた時の逸脱酵素とは別に、合成機能を見ることができるパラメータになると考えております。
人の領域では試みられているのですが、急性慢性、また程度が軽くても鋭敏に反応する。またこれが減ることによって動脈硬化が増えたり、解毒作用が落ちてくるということが分かっています。今度は別の虫、円虫の一種をラットに感染させたものです。4004000感染させたものがあります。
七日をピークとして一過性で虫が排除されます。虫の量を見てみると、高濃度感染では六日、やっと虫が腸管に出てきたころからもう虫の量が減ってきています。九日になると400感染でも数値が落ちてくる。虫がいなくなると酵素も戻ってくる。体の中で作る、消費すると繰り返しているのですが、非常に鋭敏に反応しています。
低下の原因ですけども、まず産生が減る。これは肝臓での炎症反応が大きな理由になるでしょう。合成能が落ちる。
それから酸化ストレスによる影響、もしかしたら寄生虫が直接作用しているのかもしれません。
寄生虫感染したときにどんなサイトカインが出るのかということですが、IL1が非常に多く出てくる。
それからIL2、4に関してはあまり差が見られません。6は優位に高く、10はむしろ低い方が高くなる。10は組織障害を抑えるサイトカインです。増えてくるのは炎症性サイトカインです。つまり細胞障害性サイトカインが高濃度感染で出てくる。これが肝臓に影響していることが分かりました。
これは腸管寄生期の影響を見たものです。親虫を腸管の中に移植して、抗酸化剤を入れたもの入れてないもの関わらずPON1は落ちてくるんですね。
肝臓での酵素産生が悪くなることが分かります。合成能自体が落ちていることが問題なのです。肝臓でクッパー細胞がサイトカインを放出してそれが周りに影響し、肝細胞の機能を落としている可能性が高い。ノーマルな時に比べて、感染時にクッパー細胞が増えているんですね。

つまりまとめると、感染ラットでは肝臓におけるクッパー細胞が増加して解毒作用を持つPON1メッセージが減ってくる。
これは炎症性サイトカインが活性を抑制することに起因しています。牛はいろんなものを取り込んでいるので、肝臓には負荷がかかっています。もしかしたら農薬や少量のカビの影響を受けている可能性もあります。そのたび肝臓は解毒しなければいけない。PON1が下がると実際どうなるかという実験があります。有機リン系中毒の影響を見たものですが、有意にアセチルコリンの濃度が下がっているのが分かります。

次にコクシジウムに移ります。子牛が血の混じった下痢をする。水溶性下痢に始まりひどくなると壊死性、カタル性腸炎で偽膜を排出する。
畜産農家の損害における重大要因だと言われています。ところが当時はまだ臨床的な目で調べることが少なかったんですね。生後一週以内を0週として、0〜9週まで毎週便を取っていただいた。合計41頭分集まりましたが、これによってたくさんのことが分かりました。
マックマスター法によってOPGを測定しましたが、この間どんな状態でも構いませんということで通常通りの飼養形態でお願いしました。
治療も構いませんが予防目的のサルファ剤などは教えてくださいということでやりました。結果80パーセントが陽性を示しました。七種見つけたうちの三種に注目しました。
飼養形態が違うので、特に集中する期間というのはありません。個体別にみると、どこかでピークがでてあとは少し出るという傾向です。中にはOPGが高いのが連続するものがあります。これを種別にみるとポピュレーションに変化があるのが分かりました。そのころから予防をしていた農家があったのですが、この徹底されていた農家では二週間おきにサルファ剤を投与していました。全体としては成績が良くなっていますが、ぽつんぽつんと高くなるものが出ています。
症状も示しています。これだけ頻繁にやっていると、免疫が出ていないのかということでした。種を見ると、どうもツルニーが感染すると血便につながる可能性が高い。これは子牛の場合ですが、実験動物で再現できるのか、マウスを使って行いました。まず単峰性ピークについて、ほとんどの子牛に見られましたが、再感染に対する抵抗性がなければ単峰性にはならないだろうということを考え、一度感染させ、その後14日目にもう一度感染させました。すると一度ピークが出てからは全く出てこない。
これがマウスの場合は極端に再感染抵抗性が出ました。通常子牛の場合持続感染が起こるはずです。
そこで持続感染モデルとして、2日おきにトータル量が一回感染と同量になるようにしました。つまりどこかで再感染抵抗性ができ始め、一定の時間内に落としてしまう。だからだらだらと感染しても、どこかでピークができて一回で終わるという形をとることが実験動物の系から分かってきました。
では感染量と臨床症状との関係について調べました。マウスに対してオーシストの量を変え感染させてみると、1000までは死ぬ個体は出ません。500010000で8割が死んで、50000感染させると100パーセント死ぬ。オーシスト排出量は大体集中しています。一番多いのは1000の感染で、あまり多いと出す前に死んでしまう。
つまりオーシストが出ていないからといって死んだ個体が感染してないとは言い切れない。
大量に感染した場合には、オーシストが出る前に症状が出る可能性があるのではないか。また初感染によって誘導された免疫がどのくらい効果があるのか。1000で退化したものに50000感染させてみましたが、すごいですね、まったく出てこない。つまり適量の感染を受けた後に致死的な感染を受けても対応できるということです。これは応用できると思いました。

コクシジウム全体の考察です。早いものでは3か月で排出が見られる。ボビス、ツルニーのプレパテントピリオドが5~20日であることを考えると生後すぐに感染が起きている。
それから、通常子牛はアイメリア感染を免れることは非常に難しい。
ところがほとんどの個体が単峰性ピークを示しており、初感染で免疫を獲得している。感染量が多くなるとやはり症状は出てくる。牛の場合はオーシストの数よりもコクシジウムの種の影響の方が強いのではないか。ボビスが影響がないとは言えないが、それよりもツルニーの方が重要である。
発症予後の観点については、コクシジウム断絶を目指すことは疑問だと考えます。牛は豚や鶏と違ってオールイン・オールアウトができないので、ナイーブな個体が他所から入ってきた感染個体によって被害を受けることが十分考えられるわけです。なのでうまく付き合うことが大切ではないかと。
感染しても病気にならないような対応を取る。なおかつそれが次の感染予防につながるものであればよりよい。
これがコクシジウム対策の決め手になるんじゃないか。そこででてくるのがトルトラズリルですね。サルファ剤よりもカバー範囲が広く組織内寄生の期間ほとんど効く。
これでかなりコントロールできるのではと思います。マウスのパターンですが、免疫誘導には虫が一定数寄生する必要があることが分かっています。多すぎれば死にますが少なすぎても免疫が獲得できないんですね。ではどの時点でトルトラズリルを投与するかということですが、マウスで行った実験では特に時期を見る必要はありませんでした。
これはあくまで感染量が分かっている場合ですが。またトルトラズリルの影響で感染が防がれたわけではなく、免疫が作用していることも実験で分かっています。
この薬はまず病状を軽減し、オーシストの排出を抑え、さらにこの薬は免疫獲得を阻害しない。
ほかの薬では再感染抵抗性を得にくくするものもあるんですね。というわけでこの薬はかなり使いやすいと思います。どれが良いか悪いかというのはなかなか一概には言えませんが。

それでは文献的な話をさせてもらいます。ヨーロッパの話ですが、牛の種類もあるでしょうが日本とずいぶん違うなという印象です。
これはフィンランドの例です。乳牛の子牛を僕のものと同じような条件ですが、コクシジウムの調査をしたものです。このグループの報告からは血便がほとんど見つかっていません。また別のデンマークの論文です。乳牛の子牛三週から六か月齢への感染を見ていくと、96.2パーセントが何らかのコクシジウムに感染している。ツルニー、ボビス含む三種が下痢に関与していたと言っています。血便も見られたということです。糞便のスコアはスライドの通りです。比較的軽い下痢にとどまっていることが多いようです。
これもあってヨーロッパでは、鶏のコクシジウム症予防と逆に牛では全く考慮していないんですね。わざわざワクチンを使ってまでコントロールするという考えがない。日本は今のところコントロールできている状態ですが、和牛への被害を考えると、ワクチンという考えもありなのかなと思います。もちろん開発のコストやシェアを考えたらなかなか難しいでしょうが。これはボビスのオーシストの野外での生存についての論文です。七か月では正常な形を保ちますが、それを過ぎると異常な形を取り始めます。
かなり長い間感染力を維持できるんですね。これは日本よりはるかに過酷な環境です。冬はマイナス11℃などの環境です。つまり汚染されたパドックはなかなか清浄化されない。感染症の免疫に関する論文です。小腸の絨毛ひとつひとつにコクシジウムのオーシストが入り、中のスポロゾイトが出て感染するわけですが、メロント、メロゾイト、これが複数感染すると免疫が誘導されやすいと言われています。つまり密度が低いと誘導されづらい。
ただ最初の感染が少なくても、シゾゴニーでどんどん数を増やしていきますから、世代を経るごとに免疫がすすんでいく。少ない感染の場合は後ろの方で駆虫した方が免疫ができやすいということですね。鹿児島大学の先生のされた仕事を紹介したいと思います。免疫の中でも特に原虫類では相関免疫や随伴免疫などの免疫が非常に大切だと昔から言われています。癌も随伴免疫が大事だといいます。つまりコクシジウムが感染した時、上皮の中に残るものが再感染抵抗性に関与するのではないかということです。
なぜかというと再感染抵抗性はせいぜい二か月くらいしか続かないんです。それをまさに裏付ける仕事を先生のグループがされている。これがそうです。二代目シゾントが感染後八週まで続いているんです。オーシストが出終わったら終わるはずが、二代目だけずっと続いている。再感染するとオーシストはでないんですが、初代と二代目はしばらく続くんですね、でもオーシストはでていない。つまり僕らは再感染抵抗性をオーシストの数でみていて、途中で何が起きているかは分かっていなかった。
でもこの研究で、感染はする、ただその先に進まないということがはっきり分かったんです。感染源があるところで発症はしない、免疫はずっと持続する。これはスティックマウス、免疫欠損マウスです。程度のひどいものなので15日くらいまでしか見られませんが、再感染させてもオーシストがでます。抵抗性ができませんから。それでも11日でオーシスト排出が終わるんですね。これを頭に置いて、次にヌードマウスに再感染させます。ヌードマウスであっても排出が終わります。
ところが二代目は残っていて、ここから次の世代が、オーシストが出始める。もしかすると牛でも、免疫不全であれば再感染がなくてもこういうことが起きている可能性があるのかなと。まとめたのがこれです。正常マウスに置いて四回のシゾゴニーを経て7〜11日でオーシストを出す。
二代目シゾントは八週まで観察された。正常マウスに再感染させると三代のシゾントから先は観察されなかった。スキッドマウスではすべてのステージがある、ヌードマウスで長期観察すると、オーシストを排出し続ける仕組みがあるようだ。二代シゾントがキーになる。免疫不全の動物では、これが供給源になるのだろう。これは僕の仕事ですが、最近植物由来の感染症抵抗物質についてが話題になっていますが、ガーリックがアイメリア感染にどのように影響してくるかということです。オーシストで見ると半分くらいまで減少する。この時のサイトカイン、IL10がガーリック+で少なくなります。これが腸管の炎症像です。病態をクラス化してみてみたものですが、やはり違いが出ています。一番差があったのがCD8細胞です。ガーリック投与している分だと、感染初期からこの細胞が一気に増えます。自然免疫を高めているのだろうと考えます。
初期のうちに抑えられ、病態の軽減とオーシストも抑えられる。オリーブやブルーベリーなど、植物を使ったこのような論文は出てきていますので、これからもしかしたら化学薬品に代わってこういったものが用いられる時代が来るかもしれません。六番目のテーマです。動物実験でコクシジウム感染が外来微生物に対してどんな影響を与えるのか。腸管の中の状態を変化して病原体が定着しやすい状況を作るのではないかということです。コクシジウムは部位特異性が高いんですね。
まずマウスのコクシジウム感染で杯細胞が減少することはお話ししました。杯細胞が産生する粘液は主に腸管のバリア機能を担っているので、これが減少すればほかの微生物もつきやすくなるでしょう。またフローラの住居も粘液です。粘液が一度に枯渇すると、フローラも一気に失われてしまう。
マウスにコクシジウムとO157を混合感染させ、細菌の量を調べました。大腸菌群を見て、培地でO157を分離しました。写真の通り、七日目、コントロールに比べて結腸の杯細胞が減っています。数であらわしたものです。大腸への影響は明らかです。オーシストの数に影響はありません。
大腸菌群数です。腸内要物の中の大腸菌群を見ると、小腸でも増えている、これは上行性に増えたんだと思います。ノーマルなマウスでは検出限界以下となって見つからないのが普通です。組織染色を行うと、O157は明らかに定着して増殖していることが分かります。つまりマウスに盲腸寄生コクシジウムを感染させると、小腸では変化がなかったが大腸では杯細胞の減少があった。炎症細胞浸潤が見られ、大腸菌群が腸管全体で増え、O157は小腸から大腸すべての内容物から検出された。盲腸では定着像も確認された。
盲腸は解剖学的に袋状を示しものを貯める構造をしています。細菌が停滞することもありますが、定着などは別です。実験期間中、糞便の減少が確認されています。正常菌数を維持するため蠕動運動が大切なのですが、これに影響しているのではと考え、マウスにバリウムを投与し継時的にレントゲンを撮ってみました。
4時間まではコントロールマウスの腸内にバリウムが見られます。ところが感染マウスではずっとバリウムが残るんです。特に盲腸。つまり盲腸の動きが特に悪くなり、それが組織に影響する。結果です。盲腸寄生のコクシジウム感染によって造影剤が腸内に滞留していることが分かった。48時間も滞留している。なおかつ表面は粘液が無い状態、そこで大腸菌が増殖している。これが牛でも同じように起きているかはわかりませんが、調べる価値はあると思います。最後のセッションに移ります。
育成牛と肥育牛のコクシジウム感染の関連性について。牛のコクシジウムはいろんな種類が知られていますが、抗コクシジウム製剤ができてから子牛でのコントロールはかなり上手くいっています。肥育農場においては現在もたびたび発生する疾患です。治療の長期化と集団発生、それから突然死。
生産性を著しく阻害する、他の病原体との複合感染としての認識が最近強くなってきています。クロストリジウムが関与しているという話はずっとありました。コクシジウム感染のコントロールが農場での腸管病原性細菌のコントロールにつながるんじゃないかという話です。まず現状を把握する。
出血性腸炎を発症している牛を対象に糞便検査等で情報を手に入れる。9〜11か月齢の導入直後で非常に発生が多い。それから中休みを挟んで18〜22でずっとでてくる。これはまず輸送のストレスが関与しているのではないかと。それからはビタミンA欠乏と関連している気がします。
コクシジウムの検出結果です、発症牛では平均OPGが高い。それからどの種が問題かということです。ツルニーが圧倒的です。ツルニーの増加が全体の数を大きく上げています。ツルニーが増えるほど病態が悪化している。これもオーシストの階級別糞便スコアです。オーシストの数でみていますが、これはほぼツルニーで置き換えて考えられます。増えるとともに便性状も悪化しています。細菌検査結果は、発症牛と非発症牛の間の有意差はここではでませんでした。
アイメリアとクロストリジウムの関係を見ていくと、多い部分が重なっています。

まとめると、出血性腸炎を発症している牛では初診時において、アイメリアツルニーが優先種として著しく増殖していてα毒素を持っているクロストリジウムが増殖している。つまり腸内の細菌構成がアンバランスになっている。これらからアイメリアと病原細菌の混合感染が出血性腸炎において重要なのではないだろうか。肥育牛におけるコクシジウム症は現在出ており、他の病原体との関係が今回の研究で少し分かってきた。
これは英国のベタリナリーレポートに投稿したもので、世界で初めてコクシジウムとクロストリジウムの牛における関係を証明したというような言葉を頂いています。ということでまだまだ大きな結論に至っているわけではないですが、腸内環境というのはかなり複雑なとらえ方をしなければならず、ほっといていいものではなさそうです。牛におけるトルトラズリル投与の再感染抵抗性の誘導についてです。こちらの農場では、子牛の時は哺乳ロボットの中でしょっちゅうスルファメトキシン投与を行い、幼いうちは全く感染させない、つまり免疫をもたない例です。離乳、移動後にコクシジウム症がばらばら出ていたということでした。
シゾント形成時期7日後14日後、二群に分けて実験を行いました。コントロール群というのは何もしないでおくということですが、そうすると6頭のうち3頭はコクシジウム症が出てさらに1頭は血便が出ました。そのときオーシストの数は3〜18万/gでした。駆虫グループ、7日目と14日目の群がありますが、遅いと少し出る牛もいますけどそれでも知れています。
3千/gですね、発症群には遠く及びません。この量のグループは発症なしですね。
暴露後7日目でも14日目でもこの薬の効果はあり、その後感染源があるにもかかわらず、オーシストが出ていないということは再感染抵抗性があるということです。感染後70日以降の追跡調査でもツルニー原因の下痢はありませんでした。この方法を継続すると、合計1200頭が同じ過程を踏みましたが全く発症が無かったのです。
これは大成功だなと正直思います。効果的使用法のまとめですが、コクシジウム発症につながるくらいに感染量が多い場合には、トルトラズリル投与によって十分な再感染抵抗性が獲得されます。ところが、2014年4月以降投与効果が薄れてきて、発症例数が0に近かったのが明らかに増えてきました。
薬剤を投与したにもかかわらずオーシストが増えている。発症するだけではない。これがなぜなのか確定できていないので、製薬会社に言うと営業妨害になりますので。おそらく抵抗性ができてきたのかと思います。ツルニーも多様な遺伝子体系をもっていますので、トルトラズリル抵抗性のあるものが選抜をかけられ割合を増したのでしょう。
これは抗生剤などの薬剤耐性菌とも似ています。農場内で薬剤が効かなくなったとき、しばらくカットするとまた感受性が戻ってくるという体験を皆さんされているかと思います。なので今はサルファ剤を使っています。
その後トルトラズリルがまた効くかどうか、またトルトラズリル抵抗性のグループはどのような遺伝的背景をもっているのか調べなければと思っています。以上で終わります。




今日は140回というすばらしい歴史をもっておられるということで。20代の若いときにですね、鹿児島大学の先生の時代からお世話になっております。若造のときから非常に活気があってこんなやつが臨床には大事なんだろうなと思って。20代のときからお世話になっています。実習込みのやつだったですね。それから40年、北大にいたときは、牛は酪農学園にいって我々のところには素通りで悔しい思いしました。この勉強会ではっぱかけられたようなもんです。この歴史をすばらしいものと思っております。今日はそういうところで言いたい放題に言わしてもらうかもしれません。タイトルはこの通りですね、やっと終わる頃になって牛の外科が分かってきたかなあと。あと40年くらいあればだいたい分かるかも知れません。

当時25歳でゲルフっていう大学にいました。そこで毎日手術がありますね。馬の整形手術のプレートとかいとも簡単にやってるんですよ。当時日本ではやってなかったと思います。女の人もやっててですね悔しい思いで帰りました。そのあとしばらくは骨折やってみようってことで。現場に出ました。家畜診療に83例ですかね出させてもらいました。で、大学でやるのとは違う。大学は中手、中足骨じゃありません。わたしはそういうのはお断りしております。私自身中手中足骨は現場で治すものと思っておりますからね。大学でやるのはその上の骨折ですね。上腕とか大腿とか脛骨がまさに大学がおそらく今でもそうだと思います。

開放はなにも見えて来ないですね、開放骨折は、化膿したらあきらめろってことですね。T先生、H先生には開放のをやらせた。わたしが苦労したことを彼らにも苦労させないとまずいって思ってね、もう治らんてやつを治療させました。彼は再生医療も含めてあの手この手で最新鋭の徐放的に抗生物質が出るやつとかね、なんでもやったらいいよって言ってですね2ヶ月半。でも結局治らない。分かってましたがね。だから化膿させないようにせないかんてことですね。僕は嫌っていうほど経験しましたからね。毎日洗ってですね。開放ってやつは今も昔も変わらんですね。なぜ治らないのか、汚い環境っていえばそれまでですけどね。治らないのは中手骨中足骨ですね。筋肉があるところは治りいいですね。化膿は血管がなければ退治できないですね。中手、中足骨は皮一枚で下は骨ですから。軟部組織まで腐ってたら、抗生物質のなかに肢つけてたらいいかもしれないですけどね。  

犬はめったに化膿しないですね。あちこちありまして、真ん中がぽきんと折れたのは治るの当然ですね。どっちも端々が折れたってやつがやる気がでますね。

苦労話ですね。中足骨骨折で分娩前でですねなんとか治せんもんかと。非常にばらばら折れてますね。でも支軸があるときには、巻けばいいんですね。単にギプス巻けば十分です。二ヵ月で治りましたけどその代わり2ヶ月間何度も巻きなおしです。いまもう水につけて巻けば終わるじゃないですか。ギプスは寒いと固まらないんですよ。治りました分娩までしました。アライメントがしっかりしているのに、プレートいれるのは間違いですね。ギプスで簡単に治るんですよ。そういうバカなことするのは大学ですね。そんなにお金かけて治しても結果スカスカですね。ものすごく太くなってるから。私たちは和牛ですから。競りというハードルでケチをつけられないようにするのが僕らの願いですね。なんでも近代的なことを使おうっていうようなバカなことしないでください。これなんか曲がってますから。

また苦労話ですけどね、FRPキャストってやつです。これが薄くギプス巻いてますけどね。これが固まるやつを混ぜてですね。包帯状にして巻いてくんですね。これみつけたときはこれで全部治るなと思いました。お湯とか水で固まるということですね。とにかく現場で治せるっていうギプスはどこまで巻けるか?いかに上まで巻くか?子牛なら膝上、肘上まで巻けますからほとんどの骨折は対応できると思います。競りのときにけちがつくかつかんで考えると、あんまり差がつかんと思いますね。小さい牛ほど、自家矯正力が強いですから。オーバーラップしてても僕は問題ないと思います、子牛なら。小児整形外科の教科書見てください、必ず書いてます、基本的に関節に近いところほど内固定をします。うちは絶対無理だって言うなら儲からんことしても仕方ないですから。必ず言うことは足が見てくれが悪いときは、競りに出せなくても自分のところで買うか聞きます。儲かるようなことをお手伝いしないとね。ここの骨折とここの骨折は150kgくらいの牛だったらギプスでいけるんじゃないかと思ってます。ただしですよ、関節にちかいところや関節に食い込んでるところは、関節炎を起こすから無理だけどそれだけが例外です。人でも小児外科では基本ギプスですから。関節に近いところでは内固定です。ぜひもっと大きな牛でもチャレンジしてもらってですね。水につければ固まる時代ですよ。とにかく上まで巻くことが大事ですね。

爪を出すか?という問題がありますね。下まで巻けって書いてありますけどね、爪見えてないとなんとなく心配です、回旋が起こってないかとか。起こってたら最悪ですね。折れて腫れない足はないんですよ。どれくらい腫れるかは、そのあと牛が暴れた度合とかによります。腫れが引いたらちっちゃくなってしまってぶかぶかになることはわかってるんですね。だから、腫れが引いたときのことを考えて巻く。大半の人が子牛でも2週間巻く。腫れが少なかったら基礎包帯厚めで全然問題ないですね。もちろん麻酔かけてやってくださいね。けっこう大きなやつでもいけるんじゃないかって思ってます。牛は後肢二本で立ちあがりますよね。

脛骨骨折は油断禁物です。足の悪いのは、内股にものすごい力をかけて立つんですよ。だからプレートも曲がっちゃうこともありますね。僕も何度も曲げてんですよ。初期の十日するとかなり固まります。それとかダブルで入れたり、良いのをいれたら持つかもしれないけど、経済動物にそこまでしますか。こっちのが安いですからね、併用でギプスとか組み合わせてやる。ギプスだけで治せないことはないと思ってんです。鉄工所呼んで松葉杖つくったこともあったけど5万なんぼとられましたから1回で終わりです。トラックで来ますからね。外国は私たち以上にすごいです。500キロでも800キロでも平気で論文出してます。でも半分ぐらいしか治らないんですね。大動物は重量との戦いですからね。あんまり大きすぎるのはやっぱり難しいです。創外固定は大きな牛になったら成績は今ひとつ。突き抜けないから、ハーフピンしか打てなくて、持たない。

これは9月に折れた子牛なんですが12月には、元通りです。自家矯正能力のすごさが分かりますね。でもまわった場合は全然だめ、たった15度でもだめ。だから爪見えた状態で固定するんです。患肢が多小短くなっても、問題ありませんから。

開放骨折の治療のポイントは、処置も抗生剤も早くすることです。6時間がゴールデンタイムでしょうね。培地と同じと考えてください。汚染物、異物は徹底的に除去です。ホースで水道水でじゃかじゃか洗う。人間の整形外科でも水道水で洗っていいっていうエビデンスがある。縫ったらいけない、開放でいく、ドレーンでいく。でも床が悪かったらよくない。失敗した例は、全部6時間過ぎていたものです、言い訳っぽいけど。それで感染してたんです。骨折部はどんな方法でもいいから固定してください。固定しないと軟部組織を痛めるから。窓をあけて固定するんです。軟部組織の損傷がひどくて、時間も経ちすぎてて開放の場合はあきらめてもらいました。下腿骨骨折の固定は、体格が大きくなると難しいんです。それでKUプレートとの出会いがありました。熊本大学ですね。傾斜がついてて、ねじをいれると止まる。でもほとんどまっすぐしか打てない。今は、AOプレートです。穴が、傾斜をつけて打てるようになっているのでいいですね。失敗例の写真なんですが、大きな骨に対して小さなプレート、しかも3穴しか打ってない。逆に、プレートのねじが長すぎたり、穴が多すぎたりしてます。

骨癒合に重要な要素をここに挙げました。整復、安定ばっかりじゃだめで、自己治癒力を生かした治療をしないと。かつては解剖学的に完全な整復ってことがいわれていました。完全に元通りにするって言う、芸術家、大工さん的考え方ですね、強固なやつです。バットで叩いたって折れないくらい丈夫にって考え方ですね。展開時の組織の温存、血行維持が大事です。今私はほとんどルーペかけてやってます。特に年配の人はルーペしたほうがいいですよ。どれほど組織を傷めていたのかが分かりますから。血管も出血も大きく見えますからね。とくに小動物ですね。それから、廃用萎縮などの後遺症の回避てことですが、動物医療ではあんまり考えなくて大丈夫です。最初は痛くて曲げないかもしれませんけど。私が大腿骨骨折したときは、廃用萎縮などの後遺症の回避とかは当時はあんまり考えられてなかった。1ヵ月ギプスします、ピンニングしたあとに。膝だけ出して、マッサージですね。リハビリのときはすごく痛い、悲鳴あげました。どうかすると関節液がたまる人もいるそうです。それを考えると、とにかく早く歩かせることが重視されるということが、人間医学では根付いていたんだと思います。だからこそ強固な骨接合が大事と考えられていたんですね。でも変わってしまいました、今の考え方はフレキシブルというやつですね。関節骨折のときは、完全な整復が大事になります、ずれて段差があったら関節炎になりますから。それ以外のときは、強固よりもフレキシブルで、総合的な安定を図りましょうと、生物学的な骨接合を重視していこうということになっています。最小侵襲外科というものですね。フレキシブルにやってくださいということでごまかしてますけど。

AOの新しい内固定をちょっとだけ紹介させて頂きます。プレートあてたら、その下の骨が弱くなって、そして廃用萎縮になる可能性が出てきます。だったら、接触面を少なくすればいいわけです。それで、ねじをいれるところだけ接触するようなプレートということですね。ここには血行障害は起こらない。材質も変わってきてますよ。これはエンジニアの助けがあってできたものです。ねじがプレートにはいってるやつが一番力が強いといわれています。専門家が力学的強度を全部テストしてますから。ロッキングヘッドスクリューってやつを組み合わせるとなかなか壊れないんですよ。今一番力が強いってやつですね。

もう一つは生物学的癒合というやつですね。人間では低侵襲のプレート固定で軟部組織の温存をやろうということで今進んでますね。

最後に残ったのが大腿骨遠位と近位の骨折ですね。こういうやつはまっすぐなやつは3穴、上手にやっても4穴しか打てないというのが非常にネックだったんです。最近こういうやつが安くなっています。ぼくはやっと手をだしてね。これはコブラプレートというやつで7~8本ねじを打てる。これもエンジニアが証明済みです。値段的にも高くはないですからね。これで遠位は解決です。それでも一本ねじ1300円しますから全部で45000円くらいですか。大学は損しなければいいんですよ。だからCTとかMRIは全部サービスですよ。ここだけの話、プレートは再利用できるんですよ、滅菌すれば。最後に残された骨折が、近位の骨頭骨折でけっこう多いです。ピンを打ち込むことはできるんですけど、あっちいったりこっちいったりピンうちは難しかったんですよ。牛は開脚位のときは痛がらないんですよ。これで写真撮るとほとんど戻ってます。その姿勢でピンを打てば良いんですね。肢を進展させるとピン打つときずれますし、痛がって蹴られます。カエルの姿勢を保ちながら、ちょっと内向きにちょっと上げてですね、それで私は押さえつけるようにしてねじ込むという形でやってます。

で、この前九州地区で発表しましたけど、卒論の最後の最後の学生の仕事です。要するに、現場の牛やろうとしたらどれくらいピンを打ち込めばいいのかってことです。まず、突き出したり足りなかったりってことを何回もしますね、そのたびにX線を浴びることになります。この十字部高が一番良かったんですけど。体重、体高、肢の太さ、こういう式になって、ずいぶん楽になって。打ち込むところはですね、外側広筋ていう筋肉の分厚いやつを切れば大転子はすぐ出ます。その中臀筋が分かりますわ、めくると筋肉の収縮があるんですよ。そこからピンを打てば良いっていうね。で、打ち込むとこはここですね、で方向はどうするかっていうとですね、いきなり一本で打つのは難しいんですよ。ガイドピンの設置です1本目印になるピンをうつ。ここの面に対して中臀筋に向かって60度で打ちなさいってことですね。これがほんとに打ち込むピンですけど、これと平行になるようにしてそのガイドピンに45度の角度で打つ。練習いっぱいやってますけどそれでも狂うんですよ。でもほとんどピン出てないですね。でも関係ないんですよ、そのかわり肢動かして確認しますからねぐりぐり動かしても当たることがないって言うのを。あとで45度から角度を少し変えました、ここが折れてるから。骨片をいかに止めるかが大変ですからね、実際に入れたやつなんですが、。X線で撮ると、ピンが出ているようにも見えてしまう。X線は平面で撮るですからね。または曲がって見えてしまうことがあるけど実際は抜くとまっすぐんなんですね。X線のトリックてやつですね。この牛は結局、3.5ヶ月で競りに出しましたから早いです。普通はこのくらいの歳の牛になるとびっこがきれいにとれるのが遅くなるものなんですがね。

X線が産業動物で普及しづらい理由は1人でできない、条件設定が難しい、読み方が難しい、被爆が大きく危険、手間だということですね、悪いことずくめなんですよ。でもめちゃくちゃ使ってますからね、馬では。CRX線に関しては富士フィルムがつくったFCRが有名ですね、世界で初のデジタルX線ですからね、日本が世界に誇る技術ですよ。もうひとつFPDっていうのを使うDRっていうタイプも、キャノンが世界で最初につくったんですよ。これらは現像器ですね、画像処理もその場で出来ます。ほかにいるのはポータブルのX線装置で、重さは10kgが限度。それ以上だと誰もやらないですから。なにが違うかって言ったらこっちは10kvでるっていうことですね。牛ではこっちで全部とれるから20kgのは買う必要はありません。これで十分ですから。バッテリーで動くからコードレスで数時間取れる、こんな良い事はないですね、もうなんだか産業動物のために生まれてきたものだっていう気がしますね。3秒でとってPC見るみたいに庭先で見れるんですから。各社そろって値段も下がってきている。例えばですよ、80kv13Masで、牛の胸部取れる、脂の乗った牛でもですよ。もちろん200kあったって牛のお腹はとれないけどそれは検査すべきものじゃないですから、検査すべきは端々です。関節が溶けてるとか折れてるとかもこんなに美しくうつるんですね。こういう分かりにくい写真が出たとしてもですよ、画像処理かけると自由自在ですから。フォトショップのエレメントとかを使うとさらにさらに処理をかけれますからね、こういうやつを活かせばかなりのところまで見れるんですよ。あとは被爆が怖いっていう話ですね、やっぱり大動物は大きいんじゃないかっていう。でも心配後無用です。いまうちが使ってるやつはこれです、こういう枠をつくりました。縦のバーを入れて。それでその周りにどれくらい線量が出てるかを測ったんですよ。普通の人は1ミリシーベルトですからね一年間に。スクリーンのなかにはいったら、3枚で1年分を浴びることになります。透視が一番あぶないんですね。欧米では、日本がX線で鎮静かけないので驚く。小動物のとき保定者が浴びる量と大動物は代わらない。距離の2乗に比例して被爆量が変わりますから、できるだけ離れることが大事。それでいくと、小動物のほうが危ないんですよ、頻度が多いから。退官したら、牛画像診断サポートセンターというのを作りたいと思ってるんですよ。本来は大学がやるべき仕事ですがね、牛の画像診断はみんな勉強不足ですよ。

〜休憩〜

次の話もかなり偏っていますが、私の人生の多くを捧げた部分ですから聞いて頂けたらと思います。心奇形との出会いがありました。心奇形は今でもちゃんと生まれてるんですね。それで困ってるはずなんですよ。小動物より性質が悪いですね、牛の先生のほうが不幸だと思います。なぜかというと複雑な心奇形に遭遇するからです。小動物の場合は、ワクチンが初対面だから、重症ならワクチンに来る前に死んでしまいますから。でも人間はそうはいかない。それに、胎児診断しているから手術の予定を生まれる前から立ててる。人では疫学がちゃんとしてますよね。人では全出生児の1パーセント弱で心奇形があります。牛ではどうかというと、人と同じような疫学ができませんから世界的にも分かりません。もし人の発生頻度で発生したら?毎年1万頭も出生しているという計算になります。でも、生存に関わらないマイナーなのがゴロゴロ入ってる。程度の軽いやつなら一生抱えてても生きてます。だから経済動物として意味がないやつは数が少なくなってるだろう。正確な頻度は分からないけれど、けっこういるだろうということは確かです。

私は心奇形を犬と猫でマニアックでやってるもんですから。犬の世界ではさっきいったような制限がかかってますからね、動脈管開存、大動脈狭窄、肺動脈狭窄、心室中隔欠損とかこの辺のやつが多いですよ。牛で出てるやつは、犬とかでは見つけられてない、でも見つけられてないだけですね。牛でのタイプ別発生頻度についてですが、村上先生がライフワークとして、実際には倍くらいもっておられるんですね。重症なやつは全部もらってました。死んでるようなのもとんでもない心奇形がごろごろ出るんですね。ベスト10がありますがどこまで先生方が理解できるかですね。人間の心臓病を勉強しながらやってたんですが、有名なやつは誰でも分かりますよね。ただ、半数以上が合併奇形なんですよ。本当に真の意味での心奇形は両大血管右室起始がナンバーワンなんです。屠場で出てめずらしいから発表したいって言ってた人がいたけど実は一番多いタイプなんですよ。僕らからみたら、またかって感じです。両大血管右室起始のやつは心室中隔に穴があいていたりしていることで、生きている子がいる。両大欠陥右室起始は大人の子もいますからね。痩せ牛ですけど、上手い具合に血行動態がいってたら元気に走り回ってる子もいます。それから大動脈狭窄は犬猫では世界で10例もない、それが牛では2番目に出てくる。これは大動脈弓部がとても細くなる奇形ですね。それから二重前大静脈、これはマイナーだしあっても生存に全く関係ありません。それから動脈管開存で、ファロー四徴はそれほど多くない。左心低形成症候群、複合奇形が9番目。10番目は、大動脈と肺動脈がスイッチしてるもの。11番目のやつはすべての肺静脈が左心房に帰るべきなのに右心房に帰ってる。これがなぜ生きてるかっていうとどこかで穴が開いてるからなんです。ぼくにとっては珍しくない奇形なんです。部分肺静脈は珍しいけどマニアックに見る人じゃないと見つけるのは難しい。房室不一致とかも見られる。神様のお遊びなんですね。2心室2心房2大血管ですから、組み合わせで言ったら3桁くらいの奇形があるわけです。穴が開いてたらありとあらゆる奇形が考えられます。どんな検査法だったらこういう複雑な心奇形を見つけられるのかって思ってはまったんですね、それで人間の医学の心臓の専門書を読んで一生懸命やりました。ここには人とか小動物でやってることがずらっとあるわけですね、血液調べてもなんにもわからない。炎症もわからない。本当にものになる牛か、はよう1日もあきらめたほうがいいのかっていうのが一番大事なんです、ていうことになると早く診断しなきゃいけいない、ということで世界中の人がやらんならということでやりました。心電図、X線も役に立たない。造影すると中身は見えます。結局人医学でも動物医学でも心エコーが独壇場になってるんです。CTMRIは断じて必要ありません。小動物でもです。CTMRIが必要なやつっていうのは先生が一生遭遇しないような頻度のやつだから、あとはエコーでできるって僕は先日も言いました。大学人でいうのは、やらんでいい検査をどんどんやるんです。神経疾患にはMRIは良いですけどね。でもCTはエコーで代用できますから。僕は一年に一回もCTは撮らないですよ。若い先生は撮ります。CTはメンテナンスのコストがかさむんですね。CTは買うときの値段は安いけど、ランニングコスト、メンテナンスにコストがかかるから、件数を増やせっていう話になる。それしか解決策ないんですよ。そうするとX線ていうのを読めなくなってしまう。CT撮るならX線撮るなって僕は言ってます。そのかわりCTを一件5000円くらいに落とせって。ということで動物医療は考えてやらないと、そうじゃありませんか。CT大学人のお遊びでやってるようなもんですから。CTMRIを撮るなら、病態解明に使って欲しいんです。マスがあったとかなにかが見えたとかじゃなくて。牛の関節疾患の初期の軟骨のメカニズムとか、代謝的なことをやるにはMRIがいいんです。ぼくはもう終わりですけど。まあそういう具合に健全な税金を使っていくってことですね。

まあ極端なこといろいろ言いましたガエコーの話に戻らせてもらいます。エコーは思い入れが強くてですね、1982年に宮大にエコーが入ったんです。その年に獣医超音波診断研究会作りました。一回目から牛が多いんですよ。気になるのはCTMRIが圧倒的に多いんですよ。あれじゃ開業医が離れていきます。大学人だけがお互いに楽しみあっているという世界ですあれじゃ。現場が活用できることをどんどんやって欲しいなと思ってます。わたしと日立でつくったやつです。でも重いから売れなかったんです。50も売れなかったと思いますね、全国で。結局日立のあるやつをあしらってやったんです。バッテリーで動くやつですおそらく世界で始めてだと思いますね。今災害医療で脚光浴びてますけど。機動性がなければ現場は付いてこないと、誰も簡単にやれるやつじゃないと。私みたいなマニアックなやつはやるんですよ、体を鍛えなきゃと思って。今の時代は軽くなっている。僕らがアイデア出したようなもんですね、人間の世界ではカネさえだせばすぐ作れますから。もう結局どんどん軽くなって、手のひらサイズのスマホくらいでカラードプラまで出る、しかも値段も安いですから。でも安いやつは画像が汚いってこと忘れちゃいけません。研究やるとか子宮の粘膜とか腸の粘膜とかみるには高いやつじゃないと。小動物では、僕ら粘膜の筋層がどうとかの話ですよ日常が。ほんとに緻密な映像で見ていこうと思ったら周波数あげないと物は言えないですね。今うちの眼科の先生がいますけど眼専用のおもちゃを買ってあげました。周波数高くて網様体とかのめちゃくちゃきれいな映像が出るんですよ。心臓では2000万くらいのエコー買ってもらいました。要は周波数をあげるほど微細なやつが見えるんです。東北大の先生が超音波顕微鏡っていうのをやってるんですが病理標本と微細さが一緒なんですよ。周波数をあげるほど顕微鏡に近くなるっていうのが超音波の常識です。高いやつはやっぱり映像がきれいだっていうことをくれぐれも忘れないでください。最近ではウェアラブルのが出て来ています。指での触診の延長上ですね、こういうのは。超音波検査はほとんどの領域をやれます、繁殖も含めて。全域やってるってことですね。

次にライフワークになっている心奇形の話をします。心奇形が疑えるのはどういう症例かと考えると、若ければ心奇形を疑う、あとは乳吸わない、雑音。チアノーゼはあきらめてください、子牛のときにはめったにならないです。スライドすっとばしていきますね。結局、ありとあらゆるやつが出てくるということにななると、人間には診断のお手本があるんですね。小動物ではたったの6つのフローチャートだけなんですもちろん役にたちます。でも牛では役に立たない、これじゃたったの6つだけですから。じゃあどうやって診断するかですけど、もともとは血管造影が一番有力だったけどそのうちに心エコーっていうのが入って心エコーでできるようになりました。わたしは発明したわけじゃありません人間であったやつを牛でできないかってことで考えたんです。ますどれが右心房か右心室かを同定します。左側にあるやつとかは関係ないんですね。病理学的にみてそれが右心室だってやつが右心室なんです。次は、つながり関係をみる。スイッチしてるやつや、あるいは一つの心室からが出てるやつとかもある。穴があいてるとか、弁が狭いとかは最後になる。小児の先生は胎児診断でこの5ステップ法をやってる、そうじゃないと助けられませんから。これで学位を取りました。

これは例なんですけど、犬の心臓も内臓反対に向いてる、逆位です。でも一生なんてことない、神様が遊んで逆さまにしただけですわ。これは先生方が見ているなかにあるってことを頭のなかに入れて欲しいんです。人間では、内臓と心房の関係で4つのタイプがある。この牛は、逆位があって雑音もありました。でもうちの中庭を走り回ってた。こんなやつがとんでもない奇形を持っているんです。この牛は右側相同肺だったんです気管の分岐も一緒でした。それから、これは面白かった症例です、こういうときこそCT撮るときですね。とると、実はこの犬で内臓がまったく逆についてたことが分かった。逆についてるだけなら一生問題ないけど、穴が開いてたら問題なんですその奇形が重たかったらですね。病理の先生たちが、何をもって右心房と同定するという基準がある。どれも読みませんけど冠状動脈がどこに注いでいるか、だから右心房だっていえるとか。普通の牛だったらハマグリが右心耳です。普通の子だったら卵円窩がある。そういう形態をみるためにはどういう断面を出せばいいかっていう。そういう眼でみれば見えるんですね。冠状静脈が冠状静脈洞に右心房に注ぐ、こういったやつを目印にしてエコーを見ていく。右にあるから右心房っていう話じゃないんですね。それからコントラストエコー。3法活栓、あとちょっとバタフライみたいなのを静脈に打ち込んでですね、生食をミキシングすると一滴のエアーができてくだけます、くだけてるうちに打ち込むと、右心房に入ります。あんまりたくさんいれると良くないですけど事故が起きたことはありません。もしも孔が開いてたらちゃんと流れてるよなっていうのがわかる。サフェナから入れたのが、心臓に入って、確かに右心房に注いでる、冠状静脈には少ししか入ってない。今でもこの方法を使うんですよ。カラードプラは嘘の血流ですから。ある一定のスピード以下は色が出ないとかあくまで人間が作ったものですから。

次に心室位の決定の話ですが、どうして右心室を呼ぶか、右心室と呼ぶか?肉柱がついてるとか、三尖弁の付け根が段差があるからとかって、心室はそういうふうに同定するんですね。今度は大血管の同定ですね。大動脈っていうのはですね、エコーで仰ぎ見ることによってですね、眼鏡状に分かれると。必ず腕頭動脈1個しかありませんので分かると。大動脈がこっち側に曲がりこむやつが牛は多いです。それから交差心といって右心房が右心室に斜めに入ってるやつがあるんです。槍がささってるように見えるんです。右心房がこういう場合にはいってる。こういう交差の関係っていうやつですね、あといろんな関係が有ります。そらから心室のつながり関係があります。

最後に孔のあいてる云々てやつが出てくるんです。心室中隔欠損はほとんど膜性部で、あとはその周辺です。4つのパートのどこでもあくけど圧倒的に多いのがここです。M先生の牛で初めての報告なんですが、心室中隔欠損で弁が吸い込まれていって弁を塞いでいます。それで大動脈弁の逆流が大きくなりすぎて、結局廃用になりました。この前長崎までおなじような牛を追いかけていきました。そしたら初めて見ましたって言われました。ここが圧倒的に多いって分かってても見落とす可能性があるんですね。孔があいてても小さければ一生問題はありません。それから、これも現場で役立つ情報だと思うんですけど、牛の動脈管がいつ閉じるかっていう情報です。これも解剖の村上先生の仕事なんですけど 一日でこれくらい、四日でこれくらいあいてるって言う。金平糖になるやつは皆閉じますから、それは死んだ理由にはなりません。これがよっぽど大きくあいてたら違いますけど。閉じるまでには時間がかかって、内腔閉鎖は3ヶ月くらいが多いよっていう話ですね。生理的にこういうやつは流れてません。カラードプラで追いかけたことがあります。ただあいてるだけです。うちの卒業生がみたやつなんですが、犬では48時間でほとんど閉じるってカラードプラで見ました。次は卵円孔です、こっちは性質が悪いです。牛は、卵円孔は二週間くらいで死んだやつはみんな開いてると思ってください。開いてるのが普通です。大多数は二歳で閉じるって書いてあります。ホルスタインだって一緒です。

今日は二つ話しました、一つは外科らしい仕事、もうひとつはマニアックな仕事。マニアックな仕事ていうのは多分私で終わりでしょうね。この手の区分分析法は僕しかいません。人間の世界ではごくごく普通のことなんですけど。心奇形が人間と同じようにいるっていう真実だけはぜひつないでほしいんですよ。それを診断できないってことはないってことを若い人伝えてほしいんですよ。残念ながら獣医界ではこの手のやつは興味をもつ人がいないんですよ。でも心奇形の牛は現実に生まれてますからね、誰かが診断できないと。長く飼えば飼うほど損してるってことですから。雑音が聞こえたら全部廃用ですか?それも一つの方法かもしれませんね、それだったらこういう学問はいらないでしょう。でも僕の仕事は、早めに診断できますから、孔が開いてたって飼って下さいて言ってた牛が生きてますからながさきまで追っかけて見届けたりですね。誰かがそれをやらないとずっとだらだら飼うってことになりますね。それでうちの大学に持ってきても僕がいなくなれば誰も診断できませんからね、ですからCT使うと、まあそれでも分かりますからね。すみません自慢ばかりして、ありがとうございました。

〜質疑応答〜

質問: 心エコーについて教えてください。あの絵がなかなか出ないんですけど保定とかプローブの形状とかあれば。

回答: がっかりさせるようなことを言いますけどね、心奇形は一番難しい分野です。小牛だったら立たせてやれないことはない。暴れる子はキシラジン使います、そのほうがいいと思います。肺動脈だったら前の肋間だから寝かせて横にさせないと見えません。各断面については、この映像出すなら後ろ向きになる。時計軸としては、プローブのぼっちが時計軸になります。時計軸を間違うとだめです。直角になったら短軸。心臓の心尖がどっちを向いてるか、だいたい肋骨に沿ってるじゃないですか。ぼっちは12時を素直に向く。それで長軸になるはずです。それが後ろの肋間になります。正常な牛は2肋間しか見えないですから。今日みたいな心奇形の話になると、いぼのときは4つの弁をチェックしてもらわないとまずいです。心膜炎なら心臓断面出さなくても分かるわけですから問題は心奇形ですね。断面を出すのに何度向けたらっていうのは牛によって違うから忘れてください。前にやるか後ろにやるかしかないじゃないですか。

質問: 今の映像は、牛はどちらを下に寝ているんですか?

回答: 死腔をきれいに出そうと思ったら右のほうが良いですね。今の質問は心エコーの入門の質問ですね。僕だって痔になるくらいずっとやりましたよ。人間の医療界では超音波検査士が見てる。腹部以外は検査士がやってて所見を書いてます。診断名は薄く書いてて医者はそれをなぞってるって言われてるんです。超音波検査技師になるためには実質患者さんに500時間当てた人がなれる。それで資格を受ける資格が取れるそうです。500時間ていったら容易じゃないですよ。今日はいかにも簡単みたいにいったけど、みなさん練習不足です。ちょろっとやったら分かるなんてそんなわけないですよ。X線だって同じ。読めるかっていう問題ですよ。違いますでしょうかね。




アミノ酸について                鹿児島大学共同獣医学部、石川真悟

 私は臨床の先生の考え方を基礎系の研究に役立て更に、臨床へとそれを活かすような研究をしたいと考えています。昨日お話を聞かせていただいた堀井先生や萩尾先生のやられている研究が目標です。それゆえ、現場の先生がたのご協力が必要ですよでのどうぞよろしくお願いします。

前回研究会に参加させて頂いた際、テーマとしてはなかったんですが、ディスカッションの中身にアミノ酸の話があがっていました。私は大学の方でアミノ酸の研究をしておりましたので、そちらの話をさせていただこうと思います。まずアミノ酸の生体内での機能についての説明をさせていただきたいと思います。アミノ酸はまずDNAを構成する20種類のそれが挙げられますが、それとは別に尿素回路に存在するオルチニン、シトルリンや神経伝達物質としてのGABAなどパンパク質を構成しないで生理活性物質として働く物が存在します。これらのアミノ酸は分解されて炭素骨格はクエン酸回路の中間代謝物としてエネルギーを作るためにも利用されていて、エネルギー源にもなっています。以上をまとめるとアミノ酸はタンパク質構成要素になっているだけでなく脂質などの高分子化合物の材料であり、またそれ自体が生理活性物質となって働き非常に重要な存在であります。

アミノ酸は種類、働きともに多様であり、牛では脂質や糖質に対して数の多さなどが要因となって研究が進んでいないと考えられます。人間の医療のほうでは経口栄養剤であったり、腸の免疫状態が低下している際などに腸絨毛であったり免疫細胞への栄養源として経腸栄養剤としても使われております。その際どのアミノ酸を使うかが大切になってきます。

牛においてアミノ酸を利用する際、まずアミノ酸の代謝がどうなっているかが非常に重要になってきます。このスライドは生体内におけるアミノ酸の代謝を示したものですが、このように同化や異化が行われています。まとめますと、アミノ酸は体内にはそれ自体としては貯蔵されず、タンパクとなるか分解されてエネルギー源となり血液中の濃度はホメオスタシス保たれている限り一定となります。味の素さんの研究では健常の人においてはいつの段階で採血してもアミノ酸濃度に有意差は出ないとされています。以上から何が言えるかというと、健常時のアミノ酸は一定なので、逆に病気になった際にアミノ酸の血中動態が変化するのではと考えられ、アミノ酸INDEXとして癌などの疾病の早期診断ようの指標が味の素さんなどで開発されています。では、牛の血中のアミノ酸ホメオスタシスはどうなのかという観点から、それを確認するための実験を行いました。本当であれば様々な時期で計測するべきだと思います、牛ではやはり産乳量や泌乳期に変化することがあるようなので。ですので牛では人ほど厳密にわからないとは思いますが、そもそもアミノ酸ホメオスタシスが存在するのかどうかを調べるために、アミノ酸輸液製剤を投与する前、後、投与後一日後にそれぞれアミノ酸濃度を測定し末梢のアミノ酸の動態について確認いたしました。こちらが結果になります。投与前を青色、投与後を赤色、投与後一日後を緑色で示しました。こちらを見ていただければわかりますが、やはりアミノ酸輸液製剤に含まれているアミノ酸に関しては投与直後に増加しますが、投与一日後には投与前とほぼ同じ状況にもどることがわかりました。つまり血液中にアミノ酸を投与しても代謝により投与したアミノ酸は使い尽くされ、もとの濃度にもどることがわかりましたので、牛においても血中のアミノ酸のホメオスタシスは一定に保たれていることがわかりました。

そこで牛でも血中のアミノ酸動態が疾病のマーカーとして使えるのではないかと考え、次の実験を行いました。牛で栄養性の障害というとやはり周産期疾病が多いのではと考えターゲットを周産期疾病に絞りました。そして出産後一ヶ月以内に周産期疾病と獣医に診断された個体(疾病群)、行わなかった個体(対象群)に群をわけ、それぞれにおける出産予定一ヶ月前、出産一日後の末梢血を採取し、計測を行いました。これが結果です。出産予定一ヶ月前対象群を基準として、出産予定一ヶ月前の疾病群、出産一日後の非疾病群、疾病群になります。出産予定一ヶ月前にくらべて出産一日後では多くのアミノ酸は減少しているが、セリンやグリシンなどのアミノ酸は増加していることがわかりました。先生方が臨床の現場でもっとも使用されているであろうメチオニン濃度に関してはほとんど変化がありませんでした。これは帯広畜産大学芝野先生が発表したデータと同じ結果になります。疾病群、対象群の違いについて見ていくと出産予定一ヶ月前では両群に違いはありませんでしたが、一日後では疾病群においてセリンが低いことが見て取れます。ですので、詳しくセリンに調べたところ周産期においては疾病群で対象群より優位にセリンが低いことがわかりました。

ここでセリンの生化学てきな役割についてみていくと、セリンは必須アミノ酸ではないので、生体内で活発に正合成されていることがわかります。ただ必須アミノ酸、非必須アミノ酸でアミノ酸の重要度を分けるやり方は近年見直されつつあり、生体内で合成せねばならないほど重要な物質として非必須アミノ酸が捉えられてきつつあります。セリンもJOURNAL OF CHEMISTORYといった雑誌においてセリン復活といった論文がだされるほどです。論文からセリンの生合成経路について引用しますと、まずグルコースから色々な代謝中間物を経てグルタミン酸からアミノ基をうけとってセリンを合成する回路もあるが、もう一つの回路として、ピルビン酸から中間代謝物を経てホスホヘノールピルビン酸を経てからもどるという循環系の回路という糖新生と同じような経路があることがわかってきたんですね。これをセリン新生と呼ぶような提言がされています。このセリンという物質が何をしているかまず葉酸代謝経路に入ってメチオニンを経てメチル化に携わっている。メチル化と反応は非常に重要でアドレナリンなど生理活性物質などの生成にもかかわりますし、細胞周期の進行にもDNAのメチル化が必要です。また幹細胞などについても、DNAのメチル化が取れることによって細胞の初期化が出来ることがわかっているので、エピジェネティクスな反応にもセリンは欠かせないことになります。また葉酸代謝経路が回らなければプリン塩基とピリミジン塩基が作られない。これら塩基は核酸の抗生物質であり生成がされなければ、細胞は増殖することができない。例えば、抗がん剤はこの葉酸代謝経路をとめることにより細胞の増殖をとめるものが多い。よって、セリンは生体の生命維持にとって必須であり、それゆえに飢餓状態になっても体内で合成をするのだと考えられる。

セリン新生が活発おこなわれている時間的条件ですが、これは実験動物でわかっているんですが、アミノ酸制限時つまり飢餓です。このときセリン新生は50%上昇して血中のセリン濃度は2倍になります。セリンはスライドに載せた回路に入ることによりグリシンが合成されますね。ですので血中グリシン濃度も増加します。一方、血中メチオニン濃度はこちらの(スライド)代謝回転が回っていますのでほとんど変化しません。メチオニンは生合成できないので、必須アミノ酸であるが、ホモシステインをメチル化することで生成することができるためです。そしてその他の血中アミノ酸濃度は低下することが報告されています。この状態は牛では泌乳牛の周産期アミノ酸動態とほぼ同じです。以上のことから乳牛は出産後アミノ酸制限状態になっていて、セリン新生が活発になっているのではと考えられます。セリン新生が落ちている個体が周産期疾病を起こしやすいのではないかと考えられます。

他にセリンが重要な働きを及ぼすこととして、活発に増殖するがん細胞や免疫細胞での利用があり、がん細胞においてセリンの活性の研究が進んでいる。また牛と同じ子宮胎盤ユニットをもつ羊においての研究で、子宮胎盤ユニットにおけるセリンの濃度が非常に高いということがわかっている。この高濃度のセリンが母体から胎児にどう移っているかなんですが、まず母体の血液中からセリンが胎盤に移動します。そして胎盤の中でセリンがグリシンに変化し、胎児側にはグリシンとして移され、これが肝臓へ行き着いたあとまたセリンに変換されます。そして変換されたセリンが全身に広がることによって全身の細胞の増殖にかかわると考えられている。よって、妊娠期には胎盤、胎児双方にセリンが必要とされており、セリンあるいはセリンの代謝産物や経路に関わる酵素をこの時期の母体投与することは胎児の健常な発育のためにも役に立つのではないかと考えられます。一方、活発に増殖する細胞として免疫細胞があるが、免疫細胞とセリンの関係を報告した論文はほとんど無いです。よって次のような実験をおこないました。健康な牛の血液を採取してその中のリンパ球を培養しました。その際無刺激で培養する群と、リンパ球の増生を促進する働きをもつPHAを投与して培養する群にわけ、それぞれの上清のアミノ酸の濃度を調べました。ほとんどのアミノ酸に関してはPHAを加えた群でアミノ酸が低く、特にセリンとグルタミンの濃度が減っていた。しかし、グリシンの濃度だけが上昇を示しておりこの結果から、セリンの利用が活性化されグリシンが作られていることが示唆された。そして牛の免疫力を向上させるためにもセリンの利用は有用なのではないかと考えております。

セリンについて総括させて頂く、と牛のアミノ酸も人と同様にホメオスタシスがあることがわかりました。ただ人と違い牛では泌乳などにより変化が見られることがあるので、分娩前一ヶ月など時期ごとにアミノ酸濃度を測定して基準を作り、早期疾病の発見、予防や栄養状態などの確認に使えるようにしていきたいと思います。そして、牛は周産期にセリンの利用が増えることが考えられるので、この時期にセリンやセリンの代謝を活性化するような物質を加えることで胎児の健康の向上の役立つのではないかと考えます。そして最後に免疫細胞は増殖のセリンを多量に利用することが実験から示唆されたので、セリンをつかうことで免疫を向上さ疾病の予防などを行うことが出来ると考えております。

Qセリンを上げたいと考えたときにいったい何をあげたらいいのでしょうか?

Aアミノ酸の輸液製剤の投与によるアミノ酸の変化は一日しかないようだが現在では輸液以外の方法は思いつかない。ただ、酪農大学いかれた大塚先生との研究ではアミノ酸の輸液製剤を与えると有意差はないものの疾病の予防に役立つという結果が出ている。なので、アミノ酸は少量でかつセリンだけに限らず投与したほうがいいと考えられ、将来薬や単一のアミノ酸だけを補給できる方法が開発できればと頑張っています。

Q周産期疾病の牛でエネルギー収支が負だからセリン濃度が低かった。だからといってセリンを与えても健康の改善には繋がらないのでは?

Aエネルギー収支が負だと通常セリン新生が起こる。しかし、疾病牛ではセリン新生が適切に行われなかったから、セリン濃度が健常個体よりも低かった。それゆえセリンを外部から加えてあげらば治癒につながるかもしれない。

Qアミノ酸の血中濃度は現在臨床現場では、なかなか測れない。先生の研究室で計って頂けるか?また鹿児島ではいい仔牛を産ませることが非常に大切である。セリンを投与して仔牛の成長が図れるならそれはよいが、投与後に他に比較するような指標はあるか?

A現在ではアミノ酸測定器は値段も安くなってきている。私達の研究室ではまだ導入してないが予算が取れて導入できたら是非。

 他の測定項目には

Qセリンを投与することで細胞の増殖が活性され、細胞が癌化することはないか?

Aまだわからない。今後の研究で調べていければ。

Q飢餓状態でセリンの造成が活発かする生化学的スィッチは?

A現在はわかっていません。



酸化ストレス   宮崎大学  片本

宮崎大学の片本と申します。昨年、この研究会にお世話になりまた今年も参加させていただきました。ちょっとあの説明にはいる前にすね、10月で5年目に入る宮崎大学の医学獣医学総合研究課という大学院がありますが、そこの副研究課長のほうを10月からさせていただきます。
そこでですね、初めに大学院の説明の方をさせていただこうと思います。昨日あった懇親会の席ですね、来年の四月から産業動物従事されている先生で社会人として大学院に入られるという話をききました。私はすごく頼もしく、心強く感じました。皆さんあの日々忙しく日々の臨床に従事されていてですね、研究会などで手技なども身に着けていらっしゃるとおもいますけども、また違った目標としてですね、大学院のほうも考えていただけたらなという風に思うわけです。まぁ同じ職場にですね学位をもった先生、先輩がたおられてですね、そういった方々に指導を受けて論文を書き、英語の論文を読むことに慣れていただくことでですね色々と知識をつけることができてですね、幅が増えていくことであるでしょうし、是非、またそういった新たな目標にむかって頑張ってくれる先生が多くなればなぁと私は思っております。で、残念ながら昨日お話をお聞かせいただいた先生は、山口の連合大学院に入るとのことですけど、宮崎大学の大学院はですね、いま説明しましたように医学部との連携体制をとった大学院となっておりましてですね、獣医の技術だけでなくて出すね医学部の進んだ技術や知識を吸収できるといった利点もありますし、また社会人のかたにむけてではですね、ほとんど前期の間だけで授業が終わります。それは土日に科目を開講しているわけですけども、大学に詰めてきていただく時期は、一年の前期で終ります。また長期履修制度をとっています。これは一年間の過程を二年間で終わらせるといったシステムなんですけど、要は授業料は4年分払っていただきますが、4年分の授業料で最長8年間学んでいただける、在籍できる制度で、なかなか4年間で全て履修するのは難しいというかたにはですね、長期履修制度で負担をかけずにですね、論文を完成していただけるという制度もありますし、是非大学院のほうも考えていただけたらなと思います。

すみません、前置きが長くなりましたけれども本題に移らせていただきます。前回、昨年もですねお話させていただきました、臨床というよりは研究のお話なんですが、いま私が取り組んでいることについてですね、お話させていただきたいと思います。私がとりくんでいる酸化ストレスを牛でどう評価するかということですね。
で、ここにあのお示ししてますように、生体内ではたえず活性酸素やフリーラジカルといった酸化ストレスを悪くするような反応がおこっています。特にエネルギーを産生する細胞内のミトコンドリアという場所はですね活性酸素が多く作られている場所でもあるわけですね。もう一方では、そのような活性酸素を取り除くような抗酸化能も備わっています。まぁこのバランスを取って生体は維持されているわけですが、まぁご存知のようにですねこのバランスが崩れた状態、すなわち活性酸素が多くなって左のほうに傾く状態が酸化ストレスの状態とされています。こちらの酸化ストレスを評価するために現在私のほうで計らせて頂いているのがd-romsBAP、になります。
この利点がですね前回も説明させていただいたんですが、(スライドの)上に出ていますが、今まではMDA,TBARSといって両方とも脂質過酸化に注目して、それを評価することによって、間接的に酸化ストレスを評価する方法が使われてきてました。
私も実際測ったんですけど、やはり個体ごとのバラツキが大きくて、実用的には難しいかなと感じていました。で、新たにd-romsBAP、この二つの指標を使って評価しているんですけど、まぁこの指標は実は人のほうでは10年前位から使われてきてて、イタリアの論文では、例えばアスリート選手の運動の評価などに使用されているんですね。そういったまぁ、どの程度運動の負荷をかけてもいいのかということを評価したり、最近ではそれ以外の心疾患であったりメタボリックシンドロームといった疾患の評価の項目にも使用されてきています。で、特に血清を用いて、うち(宮崎大学)では図っていてですね、酸化力はd-romsテスト、抗酸化能の評価にはBAPテスト使います。
サンプル量は微量ですね20μから10μで出来てそんなに多く必要ではありません。それぞれ、いったいどのように図っているかということなんですが、酸化ストレス度の方を測るd-romsはですね、活性酸素、フリーラジカルが脂質やタンパク質、アミノ酸、核酸といったものと反応してその結果生成される副産物ヒドロペルオキシド、これを呈色させて、簡単な光度計をもってその比色を計測して評価を行うということですね。これと同じように、BAPテストなんですがこれは生体内の抗酸化能を計るということになります。
後でまた出てくるんですけど、オキシテスト、一番下のですねSHPテストというものはBAPテストに付随して生体内の抗酸化力を評価する方法として図られるということです。
最近の論文のほうを紹介したいと思ったんですが、なかなかd-roms,BAPを両方計った論文は牛では多くなくて、一番新しい論文だと馬の論文、2013年のものになりますが、紹介させて頂こうと思います。この論文ですが、ロドコッカスエクイといった馬に感染して肺炎などを起こす病原菌がいますが、それに感染しているかどうかを体表から超音波をつかって評価します。
1−2ヶ月の子馬を使うんですが、このときにロドコッカスエクイに感染していると肺に実質の漿膜面のところに多発性の膿瘍が形成されます。それを外からエコーでみてですね、15mm以上の大きさの膿瘍があったものを感染群、それが認められなかったものを対象群してですね、それぞれ12頭、14等を利用して、子馬なんですが、採血を血液学的な検査を行ったり、生化学的な検査を行うことで炎症のマーカーを調べたり、今日お話したようなd-romsBAP試験を行ったものなんですね。で、2農家、AとBと2農家あるんですけど、前部で26頭いるんです。それぞれ肺右の肺葉、左の肺葉の膿瘍が見つかったものは大きさが記録されています。一番右端のものは治療を行っていてマクロライド系の抗生剤を使用しているんですけど、ESは治療を行った群、NOは健状群です。そのときにここにある項目以外のものとしては例えば、急性相タンパクの一つであるフィブリノーゲンや白血球数、好中球数も計られているんですが、症例、コントロール群に優位な差はなかったと書かれています。それと一番最後に2つありますが、AOPP、AOPP/アルブミン比が計られていますが、これはタンパク質過酸化物の指標で酸化ストレスが大きくなると、上昇しますが、これなんかも2群間で統計的に有意な差は見られませんでした。
差があったものなんですけど、d-romsでpの値が0.027ですね。またOSI、酸化ストレス度というんですが、これははd-romsBAPで割ったものです。色んな炎症性マーカーを計ったなかで優位な差がでたのはd-romsOSI、それから呼気凝集液中の過酸化水素の濃度だけでした。すなわち、いろんな炎症マーカーで変化が現れなかった罹患子馬でd-romsBAPの値に有意な差がでたということですね。まだ発熱のように顕著な病変がでてくる前にこれらの項目を計測することで、事前に後の発症有無を評価できるんじゃないかということですね。
これからヒントを得て、昨年度から今年度にかけて宮崎農済さんにお願いをしてですね、肺炎の仔牛をつかってですね、これと同じような試験を行っておりまして、また次の機会にでも改めて紹介したいと思います。

 それともう一つ、これも同じく馬についてなんですが、これは2015年のもので非常に新しいものになります。これは分娩時における母馬と新生子馬における酸化的状態の評価及び、胎児への酸化ストレスに対する胎盤の防御効果を実証するために、母馬と子馬の血清中のd-romsBAP値の測定を行うため、61頭の妊娠馬を使い分娩後の静脈血及び、臍帯の動脈血を採取しています。それがこの結果です。一番左が、母馬の静脈血、それと臍帯の動脈血、それと子馬の静脈血となっています。値はですね両方とも母親が最も高くなっていてですね、濃度的にはd-romsは臍帯動脈血、子馬の静脈血の順で低くなっています。BAPについても同じ順で有意に低くなっています。
これで一体何がいえたかというと、目的にもあったように、母馬には分娩時に酸化ストレスがかかる状態になるわけですが、そんなときでも胎盤がバリアになって酸化ストレスが子馬に及ばないように、緩衝作用を果たしているということですね。これは人間でも同様です。

 次にうち(宮崎大学内科学研究室)でやっていることを二つ紹介させていただきます。d-romsBAPを使って暑熱ストレスを評価できないかと考え2013から2014年にかけて大学付属住吉牧場の牛を使って研究を行いました。住吉牧場の牛は昼間は採草地に放牧させられて自由に青草たべており、半放牧の状態です。そして先ほど示しましたように、活性酵素やフリーラジカルの量が増えると、ビタミンなどの抗酸化能とのバランスが崩れ、酸化ストレスの状態に陥るということですね。それを評価するのに酸化ストレスはd-romsで抗酸化能はBAPで計りました。ここでのOSIは先ほどの論文とは違い単純にd-romsBAPで割って100をかけたものになっています。
また皆さんよくご存知だと思いますが夏場の暑熱ストレスが乳牛に与える影響として、黄色の方が見た目の症状ですし、この橙色に示したものは眼に見えないような暑熱ストレスの影響になります。ヒートストレスにさらされると呼吸数がふえたり、菜食量がへったりする。
あと、乳量が減りますし、乳中の体細胞数が増えます。あと眼に見えないものとしてはルーメン機能が低下したり、乳房炎になったり健康上のトラブルが増えたり死亡率が高まったり、ルーメンアシドーシスのリスクが高まったり、受胎率が低下するといわれています。中間放牧の牛なんですが、一年間の季節的変動、抗酸化のビタミン、菜食量の指標としてT-cho(トータルコレステロール)を計測しました。乳牛は初め10頭ですが、転売された個体もあったので年間通して計測が可能だったのは8頭でした。黒毛和腫は10頭でした。牛の暑熱ストレスを計測するためにTHIを計測しました。日本語でいうと温湿度指数といわれるものですね。まぁいわゆる不快指数ですね。
この値が72を超えると暑熱ストレスがかかるわけですが、この年の宮崎では6,7,8,9月にその値を超えていた状況でサンプルを取りました。
まずd-romsですがグラフ上のほうが乳牛、下が黒毛和腫です。年間を通して酸化ストレスは有意に肉牛で乳牛より高くなっているんですが、12月の例外もありますが、特に3月で高い酸化ストレスを示しました。で、抗酸化能を示すBAPなんですが、12月になんらかの影響乳牛、肉牛ともに高くなっていますが、それ以外は年間を通じて同じような値で推移しました。
OSIですがBAP12月に高かったですが、OSIでみると年間、肉牛、乳牛共に似たような変化をしめしていて、特に3月に両方の群で高かったということになります。次、ビタミンやレチノールですが、ビタミンの基準値が90150とされていますが、基準値の下限を下回ったところを年間通じで推移していました。
αトコフェノール(ビタミンE)は乳牛では2月に一番低く、肉牛では3月に最も低い値をしめしました。それから徐々にあがり、肉牛では6-7月ほどまで状勝訴続けますが、肉牛、乳牛共に8月にすとんと減少します。あとで考察をしますが。放牧牛達は昼間青草を採食していますがその量が春から夏にかけて増えます。ですが、この8月一番暑い時期に来ると暑熱の影響をうけてか採食量が減り摂取ビタミンが減るのではと考えられます。βカロチンも同じような変化をしました。
2月から3月に低くそこから夏にかけて上昇、8月に反転して減少します。あとでT-choの値を示しますが、暑い時期には値が減少し採食量が減っていることがわかります。それに暑熱のストレスが加わり、酸化ストレスが更新しているのではないかと考えられます。BMIの代わりにT-choを計測しているんですが、34月くらいから上昇し5月に極大のピークを向かえ、そこから現象に転じ8月で極小となっているので、先ほどのビタミンなど推移は採食量げ原因ではないかと思われます。

 考察ですが、年間を通じてd-romsOSIの値が乳牛で高くなっているのは、やはり乳牛では分娩後の泌乳により代謝が亢進し代謝ストレスがかかっている状態になっていますので、やはり乳用牛の方が肉牛より酸化ストレスの値が高くなっているのではと考えられますね。季節的な変動ですがOSIは3月に最も高い値をしめしました。これは、ビタミン、βカロテンが3月にもっとも低いので、やはり抗酸化物質の濃度が低いときには酸化ストレスは上昇すると考えられます。
それと、OSIがもっとも暑い8月に最大にならなかったのは血中のビタミンの濃度がそこまで低くなくその結果酸化ストレスを抑えたのではないかと考えられます。それと春から夏にかけての変化についてですけど、ビタミンE,βカロテン、t-choの変化ですが、春から夏にかけての上昇したのは青草の摂取量があがったが、7から8月にかけて青草の摂取量が増えたことが原因だと考えられました。今まで考えていたことを総合とするとですね、乳牛で酸化ストレス度が高いのはやはり泌乳の影響でないかということですね、それと8月に血中のビタミンの濃度が落ちたというのは8月に暑熱によって採食量が減少したからと考えられます。
d-roms,BAP,OSI3つの項目、8月に最も高くなると想定していましたが、ビタミンとの関連が示唆されたということで、これらの項目は今後酸化ストレスの評価に繋がるんではないかと考えています。

もうひとつ前回も話させていただいたことんですが、これは高崎の食肉衛生所の藤本さんのスライドを遣わせていただいたんですが、ちょっとその時に比較する群が4群もあって非常に比較視するのが難しかったので今回は比較する対象をかえてですね2農家2群に変えてですね、虚勢牛と肉牛で比較したデータを見ていただこうと思います。
この試験の目的ですが肥育牛の死亡壊死症の発生に血中の酸化ストレス度が関与するかどうかを調べることが目的です。そのために死亡壊死症の多い農家とそうでない農家の牛のd-romsBAP,OSIを比較してみました。実験の材料なんですが過去5年間に200頭以上の牛を出荷した農家から選んでいます。
実際調べた牛ですけど去勢牛が28頭なんですが、発生率の高い農家から14頭、低い農家から14頭を選びました。肥育牝牛に関しても同じく発生率が高い農家から14頭、低い農家から14頭を選んでいます。発生率がどの程度高かった低かったということに関しては一番下に書いてるんですが、発生率が高い農家なんですが、去勢牛が35.4%、牝牛が71.4%ということですね。低い農家の場合はその割合は去勢牛で143%、牝牛で500パーセントということでした。
去勢牛の場合は2倍ほどの差がありましたが、牝牛の場合は顕著な差が見られない群での比較になりました。牛の血の採血は屠場で生態検査を行ったときに同時に行いました。結果はd-romsなんですが予想に反して、発生率の高い農家において低く、そうでない農家で高い値がでました。
一方、BAPは有意差があいませんが、発生率が高い能で高かった。そしてOSIですが、発生率の高い農家で有意に低い値がでました。ですから、d-roms,,OAi共にですね発生率が高い農家でですね、予想と反して低い値をしめしたということですね。この結果に関しては今後も考えていかなければならないのですが、まぁ一つの考え方としては、酸化ストレスが高まった、そしてそれに付随して抗酸化能が上昇した結果値が抑えられたので花以下と考えたりします。
また抗酸化のビタミンで有意差があったのが、ビタミンEが罹患率が高い農家で高かったり、βカロテンの濃度が有意に低いということがわかりました。いままでは去勢牛の話です。次に牝牛についてのはなしですがd-romsは有意な差は統計的に現れなかったが、今度はBAPが罹患率が高い農家で有意に高いという結果が出ました。で、その比率であるOSIが高い農家において低かったということですね。これも先ほどどうよう予想に反した結果でありました。
また、ビタミンEも去勢牝牛と同様に罹患率が高い農家で有意に低かったという結果が出ました。これから何が言えるかということなんですが、去勢牛において発生率が高い農家においてd-romsOSI,ビタミンE、βカロテン濃度が有意に低かったということですね。
牝牛においては離間率が高い農家でBAPが高く、OSI,血清ビタミンA濃度が有意に低かったと言うことですね。それと死亡壊死の発生率が高い農家においれ去勢牛、牝牛共に、BAPが高く、OSIが低い値をしめした原因については今後更に検討したいということです。
今回の結果に血清のビタミンAが発生率が高い農家において、低い値を示したという報告は過去にないでしゅ。ですから一つ今回の農家を限定して最大限同じ条件において比較した実験から、いえることとしてビタミンAをしぼりすぎることが死亡壊死症の発生に繋がっているんじゃないかと感じております。以上です。

 質問

 1)Q脂肪壊死症が多い農家少ない農家というわけ方でなく、実際に発生した固体をもって群をわけることができなかったのか? 

   A裂かなかったので今回はデータは載せませんでした。

   Q実際に脂肪壊死を発生している固体はとちく場でいなかったのか? 

   A何個体かではみられたが、今回のデータには載せていない。

 2)Q.脂肪壊死の話で今回のデータだけをみればビタミンAの値が脂肪壊死に大きくかんけいしていたということで、あと枝肉重量や等級なんかも知られればよかったとおもうんだがどうだろうか?

   A、出来れば各農家において肥育段階ごとの牛の酸化ストレスを計れば次のステップにつかえると思えます。

   Q、経時的な変化はどうですか? 例えば一日一回採血をおこなぅた場合変化の幅はどうか?

   A、住吉牧場で調べた結果らはそんなに大きな変化はないと思う。OSIを計るとより生体内での反応を反映した結果がえれる。

   Q、人では運動のような小さな影響で血圧は変わる?そのようなレベルで酸化ストレスは変化しないのか?それから、水素水は効果的でしょうか?   

   A、馬でオゾン療法というものがある。一度抜いた血にオゾンを反応させて戻すと、生体の抗酸化能が上がる。よってわずかな時間で抗酸化能が変動するということが考えられる。

   水素水に関してはよくぞんじないがもし先生が研究されるんであれば、是非協力させていただきます。

                                                                                 






尿膜管遺残が化膿した臍帯炎             開業 赤星隆雄 

・まずは体験発表ということで、昨日H先生が糸のことやヘルニアのお話けっこう多くてですね、手技か衛生状態か。これ今年8月で二週間ぐらい抗生物質やって小さくならなかったんですよ。抗生物質とかデキサメサゾンでも小さくなっていかなかった。お腹をあんまり自分なりの切り方で、ここに専門の先生いらっしゃいますがこういうかたちで切っていった。排膿しないように慎重に臍帯だけ。でもどぼっと膿がでてしまって、卵胞みたいですね、皮膚から10cm奥にも臍帯の腫脹があっていくつか膿瘍ができていた。奥から切断しようとする。こういう形で三箇所膿瘍を臍帯につくっていました。でまあ腹壁と筋層を一緒に縫合していった。尿が出ていました。中はぎっちり膿が貯まっていました。1個は腹腔内で破れていました。そのあとナイロンで縫合して、良かったと思ってたら腫れてきたんです。化膿してしまった。化膿は治まったんですが、直径6cmのヘルニアができてしまったんです。今はこれからどうなるかが分からないけどこれ以上大きくはならないと思っているけど。 化膿してしまったというのとヘルニアができてしまった。触らないとわからないくらいですけど。これ皆さんどんなふうにされてますか。だいたい手術もしなくて治っていくんですけどね、おなかを締め付けてですね。抗生物質をつかってたら小さくなってたんですけど今回の場合はそういかなかったですね。もっと良い方法はありますか。

・それ尿膜管遺残があったんでしょ。

・この方法しかなかたんですよ。最初が肝心で化膿させないようにするんですよ。

・そしたらきかしてください。まず、尿膜管膿瘍もありますよね。近位の尿膜管が腫れてた気がするんですよ。膀胱に近いところはかなり小さいんですよ。ぐじゃぐじゃしてる次に尿膜管膿瘍でしょ、比較的小さいんですよ。尿膜管膿瘍と臍帯炎と合併してる。必ずへそのところは皮膚ごととる。へそはなくなりますね、多小正中からずらす。尿膜管が癒着しているケースもあります。腋を切ってですね、そこから手をたぐっていきますね。術中に破るのはいちばんまずいです。雄だから陰門の尖端と接近してるからギリギリまでやりますけどね。へそからスタートは絶対しないです。安全圏のへそ、もっともっと、左が後ろでしょ、へそは切らない。膀胱よりですわ。左側の膀胱からです。それから陰門の毛をもっと刈ったほうがいいですわ。包皮は術野にでないようにして、腹壁の側壁のところに 化膿させたらお終いです。もっと毛を刈って、包皮洗浄もします。途中で尿するとばい菌が術野に行きますから。タオル鉗子でつかんで、ドレープの外に向けてくっつけて、尿しても外にいくように。腹切りはもっと下のほうで。尿膜管の膀胱の付け根をとってどんどん切ってく。全部見えてるから破ることはない。破ったら抗生物質どころじゃない。皮膚は切り取ったってすぐ寄せるから思いきって切る。傍正中で切る。当たらず触らずでパイプごととる。皮膚が寄らないってことはない。一滴も術野にばい菌を落とさないように努力しますよ。どんな糸使いますか。

・吸収糸。シンセソープ。外側はナイロン糸です。

・糸は問題ないでしょうね。三箇所くらいの膿の婁にぶちあたったんですか。そういう場面は僕らはでてこない。根こそぎとりますから。丸ごととるんですよ。

・癒着してるところははがさないで?

・そうです。まるごと皮膚も腹壁も、けっこう切りますね 。

・ヘルニアリングも? 

・そうです。ごてごてしてるのは化膿と思わないと。前処理抗生物質でやってるじゃないですか。ばいきんもトンネルつくりますからね。

・眼で見えるところだけじゃなくて根こそぎとらないと。腸が完全に見えるまで?腸が出た構わないけど。単純じゃない。結合組織の硬いやつが土手をつくってる。そうとうこじれた膿瘍だなと。見るからにそう見えましたけど。そういうことです。もう一回言いますけどそういうのはアンタッチャブルなんです見えちゃいけない。傷口10cmくらいになってもそれでもかまいません感染したら傷はつかないですから。どんな糸で縫合しても。よくあるパターンです。感染したばあいに膿してヘルニア起こしましたってやつ、よくうちにきますよ。ということの3点です。農場ではもっともっと汚い環境でしかできない。僕らは大学っていう良い環境でやってるから化膿しない。手術のあとの感染はしない。なぜこだわるか。学生に教えてるから。手術のあとに感染させたら失格だ。現場はもっと条件悪いから。こういう方法やってたら感染してもおかしくないよなあ。人では手術後1日しか基本抗生物質やりませんよ。外傷の場合、時間がゴールデンタイムです。ばい菌がどのくらいなか入ってるか。傷の大きさじゃなく、軟部組織の損傷具合、骨がみえてるか問題です。軟部組織がピンクできれいなら、傷大きくてもいいけど、軟部組織損傷してたら2日くらい開放にしたほうがいいです。感染してこじれたものはアンタッチャブルで広域に切り離します。

・ひっくり返してるところのスライド見せてください。どういう切開線だったんですか。アーモンド形に切ったんですよね。

・先生は臍帯炎としか考えなかったんですよね。臍帯炎だけだったら周辺から切ります。 臍帯炎は尿膜管膿瘍と関連してる。ほとんど。エコーでみて分かってます。だから自分らは尻のほうから切ってます。言い方が悪かったですね。

・この辺て示してもらえますか?   

・もっと毛を刈ってください。へそから膿が出るってきたら、尿膜管膿瘍だって考える自分らは。だからエコーで見ます。尿膜管膿瘍があるなって分かってますから。皮膚は中央でいいんすわ。そして指いれますわね。 尿膜管を触りながらまるごと切っていきますわ。尿膜管つながてってるやつは尿膜管のほうから切る。いきなり臍から切ることはない。でも臍帯炎だけのときはへそまわりから切るけど。

・包皮は?

・違う方向に向けときます。自壊してると思われるところは思って切る。けっこう大きなヘルニアつくりますよ。丸ってやつは塗ったときにしっぱいしますよ。昔から柳葉にせいっていいますね。コツは絶食一点です。縫い方はまったく普通ですね。250kgあったら2,3日絶食させて術後も食わせん。大きな牛のときは450kgやったときは1週間くらい食わせんときありました。フローラがどうとかは知りません。

・みなさん抗生物質とかデキサメサゾンを使うんですか。 

・僕は使います。

・ずっと使うっていうのは、治癒も阻害するしいいことじゃないと思う。ステロイドは僕はつかわない。捻挫とか打撲は使いますけどね。感染で腫れてるのは使いませんね。わかりませんけど。

・先生方どうですか。3日くらい使って小さくならなかったらそんとき考える。

・現場で治らないのが来てますからね。いつ切るべきか。関節でも同じだけど。関節炎は注射で8割方治まりがつきます。7~10日で小さくならないのは、開けると糸状虫がいたり変なのばっかり。さっきのも遺残症ですけど。おなか開けるのは結果がもう切らないといけなかったなっていうのばっかりですね。いまは尿膜管膿瘍が多いですよ。うちの大学で様子みたのもあります。尿の異常でみんな気づきます。排尿のとき尻尾あげてて農家がきづくんです。膿汁が出てるわけではないです。せりのとき、尻尾をあげてたら値をおとされます。尿石があるんじゃないかって。うちで多いのは尿膜管膿瘍と関節炎ですね。臍帯炎は目につきますからね。尿膜管のやつはわかりにくい。

・臍帯炎は尿膜管と合併してるかもっていうのはどうやって診断してますか。

・腹のなかに棒いれて昔は診断してたよって学生に教えてます。いまはエコーがあるからいいですね。

やっぱそれを疑うっていうのは、何回洗っても膿がとまらないとき。普通なら12回開けて洗って抗生物質やれば治りますから。治らなかったら疑います。ネットでしばってたんですけど大きくなる一方だったんで。飼い主があけて縫ってくれっていってきて。1回あけて縫ったんですけど。2~3週間は良かったんですけど。中も外もナイロンで縫ってます。結果的にはある程度おなかに食べ物が残ってる状態でして、腹壁が34cmしか占めれなかったです。3週間くらいたってからだんだんと大きくなってきて。飼い主が、売り物にならないから開けてくれっていってきて。ネットを組んでやるといいと聞いてやってみたんですけど。これもこうして2~3週間良かったんですけど、たぶん腹壁が破れてしまってて。ここがですね、化膿が10日くらいたってから腫れてきました。一番最後のぎりぎりまでは閉じることができなくてマットを使ったんですけど、このぐらい開いてますね。腹壁同士の離れてるところは何センチくらいですか?

6cmくらい腹壁が寄ってないってことです。網は吸収糸を編んで網をつくって塞ぐ。それがいいって聞いて。家畜診療に載ってたけどみんな失敗してる。1020日、ここがけっこう6cmくらいヘルニアが残った状態です。

・一番は、化膿してるから腹壁ができあがっていかないのかと思う。腸が出るってことはないけどゆるく出てきてますね。大きくはなってないけどこれから出るのかな。ヘルニアが何頭も続いている。今、血統の問題ででるんですかね。腹壁ヘルニアは臍帯ヘルニアと間違うことがありますね。腹壁同士があってない。臍帯ヘルニアですか、臍帯ヘルニアならへそが中心になってますよ。これ、手術のあとになったやつでしょ。それで腹壁ヘルニアになったんですよね。

・どっちにしろ売り物にならないから。

・これ何ヶ月ですか。

6ヶ月くらいです。

200kgまでいかない?

・今200kgくらいですね。

・腹壁がよらないってやつはその時点でだめです。寄ってたって開くんだから。ばい菌の巣になりますからね。ぼくはメッシュとか使ったことありません。腹壁ヘルニアが大きかったもんだから、北海道でもやり直し手術やったけど彼らもメッシュ使ってたけど化膿させてた。ぼくはそれでもメッシュ使わない。腹を60cm切て、土手を切り崩してひとつひとつ縫いました。成功してるやつは、おなかに張力をあたえない。ぼくらがやるのは腹ぺしょなやつです。メッシュを使わなくていいんじゃない?人間でメッシュつかうのは痛みだけです。鼠径部ヘルニアは痛いけど日帰りしたいからメッシュが基本です。職場復帰を早くする、痛みから開放する。傷が大きくて縫えないわけじゃないです。絶食を1週間くらい、前後で。水さえ飲んどけば大丈夫です。連続縫合はしません。単純縫合です全部。ヘルニアスーチャーならましたけど、外国の教科書書いてますけど、単純のほうがきれいにつきます。いまは断端縫合しか認められてないんですよ。腸管縫合は、層同士が合うのがゴールドスタンダードです。ずっとやってますからね。単純結紮です。連続はやりません。糸結びも僕らはかなりテンションかかりそうなやつは、20本全部最初に糸通します。中央一本まず締めてまわり締める。テンションのかけ具合の一番弱いところがあったらそこがまず糸はずれるでしょう。だから11本テンション一緒になるように注意してやってます。糸代はかかるけど。もったいないなとは思いますけど。

・ということは、アルベルトの全層縫合?

・全部単結ぜんぶ単結紮。結合組織の層は健康じゃないと糸でひっぱってきれます。そういう土手は切り落とします。健康な皮膚同士を縫います。コツは絶食、それに尽きます。

・これについて聞きたいんですけど、再脱出してくるだろうって話をされたんで皮膚は術野からオーバーラップしたような形で、なかではひっつけて縫うんですか。自分は内側をシンセで縫い付けていってるんですよ。上にフラップするように内側をぬって外で閉じるンですよ。そうすると再脱出はいままでなかったです。大きく皮膚がはがれたのは縫い付けて死腔を小さくするのがいいのでは?

・死腔を作らないのは基本です。犬の乳腺腫瘍とかで皮下組織とって死腔できそうなのは 皮膚から腹壁をぬって死腔をつくらないようにしてますよ。死腔をつくらないっていうのは普通で、やらなきゃいけないことです。ヘルニアは腹壁の一層でもってるだけです。理想の足場は健康な腹壁、そして層ごとにぴしっとあわせて縫うこと、一日も早く腹壁同士が強固に結合するように。

・これの場合は内臓がでてくるまできってしまったほうがよかったですか?

・土手をきれいにするってのが一番いいです。

・腹壁も開けて中の遺残がないか確認したほうがいいってことですよね? 

・はい。まあ、化膿したらどんなに丈夫に縫っても傷がつかないものです。化膿しやすい人ほど、モノのナイロンで非吸収糸でやるのをお勧めします。あとのはばい菌の巣になります。化膿しやすい人は糸に工夫を。靭帯や腱のやつはナイロンの非吸収糸を使いますから。人でもそうですよ。牛より寿命長いのに。

・非吸収糸で中を縫ったら、屠場で糸が出てきたっていう文句がでてきた。かなり大きな農場で文句言われました。流通にもその糸は乗ることはないって分かってるけど、流通関係の人は異物だっていう捉え方をします。非吸収糸のほうが強度があるっていうのはわかるけど,,,

・かねが入ってるっていうのは出荷のときに言っておくべきです。安全な肉を届けるのは義務です。ここにはこういのが入ってますっていうのは難しいですか。せりでもクレームくることありますよ。大学で手術したことは申告しなさい。かねがはいってることも申告しなさい。一頭で出したときには詳しく見られますね。で捨てるとこはどんどん捨てますわ。糸はなかなか溶けないから手術して1年くらいでも残るのは普通です。張力をたもつ日数をみんな気にしてるけど糸は意外と長く残ってますから。出荷を考えたとき手術後2年後だったらばらけたのが残ってますから。

鋸屑原因の肺炎が一年間で20頭出た農場 

・鋸屑の持ってくる先を変えました。今までは細かかったから吸い込んでたのではと思って。それをしても、ガスのためかまた起こってですね、10何頭もおかしくなってる。治療止めると数週間で死んでいく。半年とか1年かけてですね。お父さんが鋸屑かえると咳するんです。熱は平熱に近いんですね。38.9とか。これが気管のところに鋸屑がですねあります。メーカーをかえても起こってしまうもんで。今は鋸屑を撒かなくしてます。それで1ヶ月くらいすぎると普通の風邪はありますけど、何ヶ月も続く肺炎てのはなくなりましたね。会社を変えてもだめでした。気管のなかに鋸屑がたまってしまう。原因は鋸屑だけなんでしょうか?今後は鋸屑をどうするかって問題になってます。

・ほかの農場は?

・細かいのから粗いのに変えたんですよ。鋸屑を高頻度で変えたのは近所のひとが堆肥をくれていうことになって、高頻度の鋸屑交換にしたんですよ。良質な鋸屑が牛にはいってるのでは?頻度と厚さですね。膝下まで鋸屑を使ってますね、堆肥をつくるために。

・先生はマスクされてます?してません。苦しくないですよ。鋸屑をかえて3日くらいしたら牛が肺炎になっていくって農家はいいます。鋸屑をかえるとき。

・鹿児島大学産業動物内科は往診にいけます。内視鏡で肺胞のなかに鋸屑があるかみることができますよ。肺胞に貯まっていれば免疫反応とかも起こってますよね。

・こっちが肺のほうですね。肺に原物の鋸屑がなかったもので、気管をあけたんですよ、お父さんを説得するために。お父さんは地域住民のために鋸屑変えるんですよ。肺に貯まってるかどうかはわかりません。

・鋸屑をかえてどのくらいで死んだ症例なんですか? 

けっこう頻繁にかえてましたからそれが原因。毒じゃないか?ボンドとか、最初はそっちを疑いました。

・天気がよくて乾燥してるときになったんですか。

・鋸屑を変えさえすれば天気悪いときもなりました。平熱で不食が続くんです。

・病理は?

・病理はなにも調べてません。

・肺は異常なんですか。

・普通はサーモンピンクなんですよね。

・無気肺ってことですか。 

・そうです。

・一番は、肺を病理で調べるのがいいです。誤嚥性肺炎、気管に粉があったからって因果関係は難しい。病理鑑定してもらうのが一番です。すぐわかると思いますよ。

・鋸屑ひかなくなったら1ヶ月間でてないんです。飼い主が解剖するのが嫌がるんですよ。家畜保健所とかで、問題があったら自分の顔が潰れるから。伝染病とかみつかったら非難うけるから、隠そうとしますね、どこの農家も。数頭飼いのところはいいっていいますけど、大きいとところは、自分のところから病気がでるのを怖がる。ボツリヌスも、白筋症も。保健所が来てただけでも、あそこの農場に保健所が来てたとかってうわさする。運が悪いとか。そういう問題をクリアしないといけない。ミルクが原因で下痢がおこってる。そのときは配送会社の人が認めたら、うわさがひろまって、まわりの農家も買わなくなった。この鋸屑の話も、広まったらみんなのこくず買わなくなりますからね。

・子牛がすごく痩せてますけど? 

・一年前からこうでした。

・ずっとほっといたってこと?

・普通の肺炎の治療をしていました。飼い主のひとは、生きるのは生きるし死ぬのは死ぬって考えなんで。農家は一貫経営で250頭くらいです。母牛とかいう概念がないです、一産したら肥育に出すとかしてるから。そのなかで20頭肺炎がでたってことです。

・悪条件の環境で、低栄養だから、鋸屑食べたんではないですか?

5年位前に、子牛が鋸屑食べて死んだっていうケースあります。

・劣悪な環境ですね、飼料以前の問題じゃないですか。

・あまり劣悪とは思いませ