「免疫、特に粘膜免疫と新しいワクチン技術」

ゾエティス・ジャパン株式会社  岩隈昭裕

免疫とは、身体が発揮する、あるいは与えられた抵抗力である。母牛からの移行抗体、ワクチンによるもの、実際の感染によるものなどがある。

身体の防御機能には三段階あり、第一次防御は侵入部位での物理的、生理的排除である。粘膜や粘液、繊毛運動、酵素や抗体がこれにあたる。第二次防御は白血球による食作用や樹状細胞による情報伝達などである。第三次防御は適応免疫(細胞性免疫と液性免疫)がある。

細胞性免疫とは、食細胞(単球、マクロファージ、好中球、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞など)がはたらくことで、異物の捕食・消化、異物からの情報収集と免疫細胞への情報伝達がこれにあたる。一方、液性免疫とは抗体がはたらくことであり、抗体は異物と結合することで病原体への抵抗性を示す。元来、ワクチン投与や感染により産生される。抗体にはIgGIgAがあり、IgGは血管内外に存在し、IgAは主に局所(鼻汁・唾液・腸)に存在する。

従来のワクチンは100%注射であった。そして、現在する牛用のワクチンは、IgGの産生を促すのが目的で用いられている。

近年、自然免疫における樹状細胞の重要性が注目されている。樹状細胞は抗原提示細胞として、異物の情報を一番効率よく与えるといわれている。

抗体は、病原体が細胞外にいるときによくはたらくが、病原体によっては細胞に入ったり出たりするものがいて、病原体が細胞内にいるときは抗体に捕まりづらい。よって、感染初期等の、細胞内で増殖しているときの対応が課題となる。病原体が細胞内に存在するときには、主に細胞性免疫がはたらき、ワクチンは液性免疫の獲得しかできない。

また、新生子牛(〜1歳齢)の免疫に関して、初乳は、実の母親由来のものでないと免疫の獲得が不十分となるといわれている。初乳のストック(凍結初乳)では不十分なのではないかといわれている。さらに、初乳を泌乳している時期の母親側も、IgG量は最大50%の低下がみられ、母親側の管理も大事である。

IFN-γに関しては、産まれて3日齢くらいのときに産まれたてのときに比べ一時的に下がり、5日齢くらいに戻るとされている。

RSウイルスは、抗原提示をさせず、ワクチンで抗体価がなかなか上がらない。

日本における牛用注射型ワクチンの課題は、抗体(IgG)産生を期待して投与されるため、防御主体が細胞性免疫の場合、抗体価で評価できない。また、防御効果が得られるまでに1~2か月必要であることや、1歳未満の子牛においては防御効果が不十分である。さらに、混合ワクチン主体となっているため、適切な投与時期の設定が困難で、RS対策は不十分である。

そもそもワクチンとは、含有する抗原や組成、投与方法により、体の正常防御反応に携わる機構をどのように刺激するかで決まる。さらに、抗原によって性質が異なるため混合ワクチンに含まれる抗原はそれぞれが同じように作用するわけではない

 なので、今はワクチンによって全く異なる。同じ「生」でも継代数・抗原性・増殖性などつくりが異なる。同じ「不活化」でもアジュバント・抗原提示(認識)性などが異なる。

 粘膜ワクチンは、鼻腔の粘膜を刺激することで、鼻腔、気道、生殖器に対して同じレベルの免疫刺激が起こる。粘膜ワクチンの特徴としては、局所免疫を刺激し、インターフェロン、IgA産生を刺激、速やかに次回以降の感染に備えることができる。加えて、全身性免疫も刺激し、IgG産生を刺激、速やかに次回以降の感染に備えることができる。さらに、感染の極めて初期段階から速やかに免疫を付与可能で、抗原刺激された粘膜局所以外の粘膜組織においても同様の免疫や防御機能をはたらかせることができる(共通粘膜免疫システム)。

粘膜には、粘膜免疫防御系(MALT)が存在し、消化管免疫防御系(GALT)、気道免疫防御系(BALT)、鼻腔粘液防御系(NALT)などがある。腸管のパイエル板と鼻腔に存在するNALTは類似した構造をとる。

 「TSV-2」は鼻腔粘膜ワクチンであり、特徴として、短時間で(4日以内)に防御能を与えることができ、局所免疫により早期防御を実現することができる。温度感受性株(39度を超えると増殖しない)を使用しているため、ワクチン株は鼻腔内のみで増殖し、体内深部では増殖が抑制される、また、妊娠牛や2週齢以上の子牛に対する安全性がある。

 製品概要は、牛伝染性鼻気管炎(IBR)および牛パラインフルエンザ(PI3)の呼吸器症状に対する予防があり、乾燥生ワクチンで、溶解用液(注射用水)である。用法・用量は凍結乾燥ワクチンに添付の溶解用液を加えて溶解し、1ヶ月齢以上の健康な牛1頭あたり、両側鼻腔内に1mLずつ計2mL(片側に2mLでも可)を1回投与する。

従来のワクチンはストレス下(移動時等)ではあまり機能しないが、粘膜免疫は迅速なため機能するので、有効である。

 治療的投与例もある。

QA

ワクチンは、鼻腔以外は投与できるか?

温度が重要で、鼻腔以外の粘膜面では温度が高く、増殖が抑制される。したがって、鼻腔がよい。

 

「尿中濃度を指標とした飼養環境下の牛群におけるゼアラレノン浸潤動態の解明

ある牛臨床獣医師の大学院体験記」

(有)シェパード      蓮沼浩

 ゼアラレノンとは、フザリウム属真菌(赤カビ)で、非ステロイド性エストロジェン類似作用をもち、繁殖障害を誘発する。主に穀類を汚染するとされ、高温多雨のときに注意が必要である。

 豚はゼアラレノン高感受性であり、ゼアラレノン摂取で過エストロジェン症になる。牛では不明な点が多かった。

 実験1では、ELISA測定キットを用いた液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS/MS)を用いた尿中ゼアラレノン濃度の測定法を確立し、飼料からのゼアラレノン摂取状況の推測を可能にし、測定を行ったところ、高濃度の尿中ゼアラレノン濃度をしめした肥育牛群が存在した。

そこの農場の粗飼料(ワラ)のゼアラレノン濃度を測定したところ、高濃度のゼアラレノンが検出された。ワラをすべて新しいものに変えて2週間後に再び尿中ゼアラレノン濃度を測定したところ、有意な減少がみられ、肥育牛の後躯の比較をしたところ、汚染ワラ給与群はおしりが汚く(便が緩く)、非汚染ワラ給与群はおしりがきれいになった。また、ワラからのフザリウムの培養を試みたところ、増殖が確認された。

実験2では、農場での飼料保管不備によるマイコトキシン増加に対するカビ毒吸着剤の有用性についての試験を行った。今までは生体由来サンプルを用いた客観的評価法が欠如しており、臨床症状の改善による主観的評価法のみしかなかった。そこで、尿中ゼアラレノンモニタリングを用いてカビ毒吸着剤の評価を試みた。

 カビ毒吸着剤は飼料にトップドレスして使用し、使用し始めた日をday0とし、day0day14で比較した。

 結果は、有意な差はなかった。それは、もともとの尿中ゼアラレノンの濃度が正常範囲内であったためではないかと推測される。今回の試験では粗飼料と濃厚飼料の分離給餌だったが、TMR方式での給餌だと、尿中ゼアラレノン濃度の低減効果を認めた。

 総合考察として、高濃度ゼアラレノン汚染ワラが給与されたことによる持続的に高い尿中ゼアラレノン濃度をしめる肥育中群の存在を証明した。また、従来から行われている穀類、配合飼料のみでなく、粗飼料の汚染状況をモニタリングすることが重要である。また、カビ毒吸着剤の使用によるゼアラレノン吸着効果には有意差は出なかった。

 

続いて、社会人大学院入学を検討している方へのアドバイスだが、指導教官・研究テーマについて、大学について、論文作成について、家族についての4つのポイントがある。

指導教官・研究テーマについては、自分のテーマにあまりにもこだわりすぎないこと。教官の分野といかに現場をリンクさせるかが大事である。また、助走を絶対にするべきであること。これは共同研究から見えてくるものがあるからである。そして、有名な先生だから良いわけではないということ。有名な先生は忙しすぎてなかなか院生の相手ができなかったりするので、やはり相性が一番である。4つのポイントの中でここが一番重要である。

次に、大学については、できるだけ家から通えるところであるほか、用事がなくても大学に顔を出すこと、直あたりが重要であることがあげられる。それぞれ、月に1回は最低でも行きたいということ、先生と話すことで何か方向性が見えてくることがあること、メールではわからないことが多々あることが理由である。社会人大学院生にありがちなこととして、仕事に忙しく、気が付いたら大学から離れてしまい、大学院生であることを忘れて恐ろしい速さで時間だけが過ぎ去って行ってしまうことがある。

さらに、論文作成についてだが、データはとにかく急いで集めること、日本語から英語ではなく最初から英語で書くこと、不完全でもいいからとにかく最後までかくことが重要になってくる。理由はそれぞれ、いつなんどき口蹄疫等の問題で採材ができなくなってしまうかわからないから、実は日本語の翻訳は難しいから、とにかく最後まで書けばあとは先生と一緒に悲惨な論文も修正できるからである。

 最後に家族について。仕事、院生、家族とあったらパーフェクトにこなすのは非常に困難である。そこで、家族がほったらかしにされる可能性が高くなる。必ずしも研究や勉強にはげむことが正しいとは限らず、家のことをしないと家族とぎくしゃくしてしまうかもしれない。家庭内での生存率の低下をいかにして防ぐか、愛についての研究も大事である。

 その他、奨学金や国際学会への挑戦なども考慮しなければならない。しかし、奨学金は条件が非常によく、国際学会も成功をおさめれば強力な大義名分となることは間違いない。いざ博士号を取得して何が変わるというわけではないが、獣医師としての矜持、社会への責務、日本の獣医学発展への貢献、志の芽生えなど、変化がうまれるかもしれない。

「卵胞発育不全および卵巣静止に対するレバラップマッシュの治療効果について」

田崎拓昭

レバラップマッシュとは、星家畜薬製造のビタミンAD3E、ビタミンB群およびヨウ化カリウムを含む飼料添加剤である。

本研究では、平成2511月より繁殖障害にて依頼され卵巣静止もしくは卵胞発育不全と診断した牛に、年齢・空胎期間を考慮せず、レバラップマッシュ1100g14日間、飼料に混ぜて投与した。また、263月より1280g160g投与し、投与前・14日後・30~45日後に血液検査を実施し、甲状腺ホルモン・ビタミンA・ビタミンE値の変動を検討した。

結果は、?投与開始後、14日以内に発情なくPGまたはPMS処置し初回発情にて受精、妊娠+が18頭、?投与開始後、14日以内に発情、受精、妊娠+が15頭、?投与開始後、14日以内に発情受精するも不妊で20日後の自然発情にて受精、妊娠+が5頭、?投与開始後1月以内に受精するも不妊が16頭、?投与開始後1月以内に受精せずが17頭であった。

考察として、?レバラップマッシュは投与により、71例中49例(69%)に、卵胞発育黄体形成等卵巣刺激効果が認められた。?レバラップマッシュ投与により、相対的には甲状腺ホルモンは増加し、生物活性の高いfT3の増加が多い。しかしながら、甲状腺ホルモンの変化と妊娠の関連性については不明。?ビタミンEについては、1例を除き正常範囲でレバラップマッシュ投与に一定の傾向はみられない。?ビタミンAについては正常下限値に近い検体もありますが、毎日投与した割には、それ程血中濃度は増加しない。?今回、飼養環境、年齢、空胎期間等まったく考慮せずに試験をおこなったが、空胎期間が長く栄養状態の悪い牛はほかの要因も多く効果が少ない。

QA

・保存方法による違いは同じ測定系で比較した方がよいのでは?

今後検討

・レバラップマッシュの投与は発情を明確にするのか?

発情が明確になった。

・ビタミン剤が有効ならば注射で射った方がよいのでは?

添加材として使えるのがよく、農家でも気軽にできる。

「ウシ肺炎の診断と治療」

帆保誠二

呼吸器の検査法には、聴診、レントゲン、CT、内視鏡などがある。肺炎は物理的な理由から右前葉、中葉が肺炎のリスクが高い。牛の場合、レントゲン撮影はラテラルのみで行われ、右前葉、中葉は心臓と重なるためレントゲンのみだと診断をつけるのは困難である。CTでは肺炎部は白い像となり診断は容易である

内視鏡検査は、直径5.6mm、長さ1mのものを用いた場合、牛であれば100kg程度までは検査可能である。気管が腹側まで下がっていき、上り始める箇所までは菌は常在しているが、それ以降は正常では無菌である。気管支肺胞洗浄を行うときは、リドカイン1~2mlを喉頭および気管支に噴霧し麻酔をかけて行い、肺胞洗浄液を採取する。鼻腔スワブ、気管吸引液はもともと菌がいる部位しか採材できないので、肺炎の陽性の判定には肺胞洗浄が有効である。肺胞洗浄中、また、肺胞洗浄が原因で牛が死んだ例はない。

 慢性肺炎で肺胞洗浄液より細菌を分離すると、パスツレラ、マンヘイミア、マイコプラズマ等が分離される。肺炎の原因菌には薬剤感受性ものがほとんどである。

 バイトリルやマルボシルを筋肉内注射で使用したとき、肺胞まで効いていることは確実である。それでも肺炎が治らないのは、バイオフィルム(菌膜)が存在するためである。バイオフィルムは抗菌薬の透過性を低下させ、また、生体防御機構を回避することで難治化する。

 そこで、14員環マクロライド系はバイオフィルムに対して破壊効果があるといわれている。エリスロマイシン等がこれにあたる。このことから16員環マクロライド系も効果があるのではないかと推測されている。実際の肺炎治療例として、チルミコシン、マルボシル、レンテンコップ(アラビノキシラン)の併用がある。

5

「トーマススプリントと髄内ピンにより整復を行った大腿骨骨折の一例」

安藤貴明

 症例の概要として、患畜は黒毛和種、雌、3か月齢(平成26115日生)。体重70kg。鹿児島大学へ平成2726日来院。稟告は左後肢跛行、大腿骨骨折疑い(ほぼ確信)。

 来院時、CT検査を行った結果、左大腿骨近位における骨折を確認。骨折は斜骨折で、遠位側が背側へ挙上していた。

 同年216日に整復手術を実施した。来院から手術までトーマススプリントの注文等により少し日があいたため、骨折部位周辺が硬縮しており、患肢をホイストクレーンで牽引し、硬縮した大腿部分をできる限り伸展させながら行った。オペの途中でレントゲンを撮影しながら骨の位置を確認し、骨鉗子にて骨端部を固定し、大腿骨近位から遠位に向けて髄内オピンを二本挿入した。筋肉と皮膚を縫合したのち、トーマススプリントを装着した。

 術後5日目には、トーマススプリントを固定しているバンテージが締まり、球節と蹄間の腫脹がみられたため、ヒルドイド軟膏を塗布し、トーマススプリントの装着のしなおしをおこなった。6日目以降は、発咳、鼻汁、稀に発熱もみられたため、ネブライジング(生理食塩水、カナマイシン、メプチン、スパドリン、デキサメサゾン)を行った(もともと肺が悪かった)。9日目には、患肢を引きずりながらも歩行が可能なまで回復した。

 術後22日目には仮骨の増生が確認され、術後53日目にトーマススプリントを除去した。翌日、自力で起立可能なことが確認され、術後64日目に退院した。

 今回の方法の利点として、髄内ピンとトーマススプリントを併用することで大腿骨の回転や屈曲を抑えつつ外固定を行うことが可能であったことがあげられる。課題としては、トーマススプリントを固定している紐で、股間部分が擦れて褥瘡ができたこと、トーマススプリントのサイズがぴったりでないといけない(成長にあわせて変更しないといけない場合もある)こと、骨折から日数が経過すると結合織などの増生により、骨折端どうしの接合が困難であったことがあげられる。

「口腔内に腫瘤がみられた子牛の2例」

綿谷健太

口腔内の腫瘤は、口腔内の炎症や腫瘍などによっておこる。炎症では、機械的刺激(硬性・鈍性異物)、化学的・物理的刺激(薬品)、感染(細菌、真菌、ウイルス)が、腫瘍では、歯原性(エナメル上皮種など)、口腔内原発腫瘍(扁平上皮癌、メラノーマなど)が考えられる。

症例1(日置)

黒毛和種、雄、3/1生まれで親につけている(哺乳中)であり、体重125kgはであった。稟告は歯茎が腫れて、出血している。

4/11よりマイシリン(17日間)、カナマイシン(3日間)、 プレドニゾロン(1日間)投与も腫瘤の大きさは変わらず、6/1に鹿児島大学に搬入された。

往診時検査では、X線検査で腫瘤の圧迫により歯が変形しており、細胞診で好中球生の炎症があり、細菌性化膿性炎と診断された。

大学に搬入後、外科的に腫瘍の摘出を実施。手術は、全身麻酔下で実施し、口腔内の腫瘤を、電気メスを用いて焼き切った。腫瘤の切除後、出血がひどく、電気メスによる止血とデキソンの吸収糸を2〜3糸縫合し、手術を終了した。

手術後、1〜2日の絶食とイソジンスプレーによる消毒を行い、出血などもなく、術後11日目に退院した。

摘出腫瘤の病理組織診断として、潰瘍形成部は出血と化膿性炎からなり、 固有層には好酸球の顕著な浸潤がみられる。血管形成が顕著な肉芽組織の増生あり。腫瘍性変化は認められない。診断は好酸球浸潤を伴う慢性歯肉炎。

症例2(中部)

黒毛和種、雌、4/16生まれ、バケツ哺乳で体重81.5kg。稟告は口腔内から出血している、元気食欲減退。

6/4NOSAI初診、6/9鹿児島大学に搬入された。

症例1と同様外科的に腫瘍の摘出を実施。手術も同様に全身麻酔下で実施し、口腔内の腫瘤を、電気メスを用いて焼き切った。腫瘤の切除後、出血部位に、電気メスによる止血とデキソンの吸収糸を2〜3糸縫合し、手術を終了した。

術後、出血などなく、術後6日目に退院。

摘出腫瘤の病理組織診断として、固有層において、線維芽細胞と毛細血管の顕著な増生あり。表層部において、化膿性炎が認められる。線維芽細胞の分裂像はわずかにみられるが、異型性は認められない。歯肉の粘膜上皮細胞の過形成性肥厚は認められるが 腫瘤内部への浸潤性増殖はなく、歯原性上皮細胞の腫瘍性増殖は認められない(免疫染色)。

診断は慢性歯肉炎であった。

まとめ

 症例1では、畜主に母牛が授乳時に足をあげると言われており、蹴られた傷からの感染したことが原因として考えられる。

 症例2では、何らかの傷からの感染 したと考えられるが明確な原因はわからず。治療法としては、化膿性炎には、薬剤感受性試験に基づく、抗生剤投与が有効である。口腔内の腫瘤は気づきにくく、発見が遅れるため、本症例の様な外科的処置も有効である。

「不活化ワクチンと生ワクチンの効果差 /燻銀のタフガイを目指して」

赤星隆雄

アデノウイルス、牛ウイルス性下痢・粘膜病ウイルス(BVDV)について、抗体価をもとにワクチンの効果を検討した。

 いずれも、ワクチン接種後の抗体価には、多少のばらつきがみられ、自然発症を疑ったが、罹患した場合の抗体価と比べたらかなりの低値であったため、それは否定された。

 BVDV-2に関して、生ワクチンは不活化ワクチンに比べ、抗体値の上昇が10倍みられた。また、生ワクチンで抗体価の著しい上昇がみられた例でも、臨床症状はなかった。

 続いて、何歳まで現役で仕事を続けるかについて。いままでの健康長者の例として、京都府の木村次郎右衛門さん、フランスのアルルさん、タレントの愛川欣也さんをはじめ70歳、80歳を超えても現役で働く多くの農家さんがいる。獣医師はいくつまで働くべきだろうか。

 80歳を過ぎても元気な翁の共通点として、仕事をしている、人間関係が仕事を介して毎日あり会話をしている、子供・従業員・仕事関係者・牛(給餌)からあて(頼り)にされている、牛を高く売ろうという意欲が高い、杖をついても給餌や牛を捕まえることは継続していることなどがあげられる。それらの方は、若いころよりお金のありがたみ、お金のない悲しみ、つらさを十分経験しており、仕事を通してお金を得るやる気で、実行し、税金を払い、社会生活を行っており、素晴らしいことである。

 結論として、仕事を死ぬまで続ける生涯現役であることが、日本国、社会に対して最高の貢献をする最高の健康長者ではないだろうか。