日本において、分娩後初回AI受胎率が低下してきている。空胎日数も延長し435日である。これはアメリカでも同様である。背景に個体の乳量増加がある。
1.乳牛の繁殖性低下原因の解明
1)牛群レベルの繁殖性低下の実態
全国、全世界的な受胎率の低下は、大部分の牛群で低下しているのか?低受胎率牛群では、全ての牛で受胎成績が低下しているのか、あるいは牛群の中の一部の牛が全体の受胎成績を低下させているのか?
→北海道と山口県において計11牛群の繁殖モニタリングを行った。
内容 1乳汁中プロジェステロンの測定
2定期的生殖器検診
結果 日本の成績は米国、Quebecの成績と類似していた。
タイストールで発情発見率低かった。
フリーストールで歩数計をつけているところは空胎日数も短かった。
牛群による差が大きかった。
繁殖不良(低受胎)の原因の解析
分娩後の卵巣機能回復異常(黄体期延長、初回排卵遅延)などが影響していると考えられた。→早い時期に発見し対策が大事である。
2)分娩後卵巣機能回復以上の発生と繁殖性への影響
通常、初回排卵の黄体の寿命は短く、ホルモン量も低下する。
初回排卵遅れ(卵巣静止)では、分娩後なかなか排卵せず、初回排卵が遅れる。様々な要因で起こり、受胎率が低い。
初回排卵後の黄体期延長では、黄体は自然に退行するが子宮の回復に影響を及ぼす。
→4牛群における分娩後卵巣機能回復以上の発生状況を調べた。
3,4割しか正常に回復しておらず、初回排卵の遅れるものが多かった。また、黄体期の延長も牧場によっては発生していた。
卵巣機能回復と繁殖成績の関係
初回排卵が60日以上遅れるものや黄体期が延長するものは明らかに繁殖成績に影響がある。初回排卵が遅れる主な原因はDMIの低下がNEBを引き起こし、体重減少、BCS低下することで、LHパルスが減少、卵巣静止、初回排卵が遅れるという流れである。黄体期が延長する牛は、DMIは正常だが、乳量が多く、血中estradiol濃度があまり上昇しないため、PG産生がうまく行われない、もしくは子宮内膜炎等により黄体退行が遅れる。
3)分娩後子宮内膜炎の発生と繁殖性の影響
繁殖成績は100日以内妊娠率、210日(繁殖期間、廃用になる)以内妊娠率、空胎日数からなり、子宮の疾患、栄養状態が影響を与えている。
→乳牛の分娩後における子宮内膜炎の発生状況とそれがその後の繁殖成績に及ぼす影響
子宮内膜炎発生率が乳牛で10−50%と増えている。
課題 子宮内膜炎の定義および臨床的分類
子宮内膜炎の炎症の程度と繁殖への悪影響とその関係
子宮内膜炎の発症要因
検査 頻度は毎月1回、分娩後2週目から受胎まで、腟粘液採取、肉眼検査、触診検査を行った。
腟検査と直腸検査所見に基づく子宮内膜炎の分類
腟粘液性状 診断
透明粘液 正常
ややにごる 軽度の内膜炎
粘液膿性 中等度
膿汁 重度
分娩後経過日数と子宮内膜炎の発生率
分娩後15日〜28日で39.8%、29〜60日で10.4%、60日〜で19.9%だった。
分娩60日以内の内膜炎がその後の繁殖成績に及ぼす影響
軽度なら悪影響はないが、中、重度だと210日以内に受胎しないものが6割から7割だった。分娩後早い時期の内膜炎は長期間影響を及ぼす要因となる。腟粘液に50% 以上の膿が混ざっているものを臨床型内膜炎と分類し、4産以上、難産、胎盤停滞、分娩後の疾患において内膜炎の発生率が高かった。
結論 分娩後60日以内の内膜炎発生率27.5%で軽度子宮内膜炎は27.6%で繁殖性に影響せず、粘液膿性、化膿性、産じょく期内膜炎は計74,2%で繁殖性に悪影響を及ぼす。
対策 確実な対策法は確立されていないが、黄体期にPGF2?投与(黄体ないときはエストラジオール)
慢性化したものにはAI後抗生物質を子宮内投与
AI前後に子宮洗浄
黄体期にPG投与後子宮洗浄
Q洗浄には抗生物質も併用するのか?
A効果はあまりないだろう、生食でよい。
Q授精後にイソジンは?
A授精後黄体ができはじめの時期に入れると、PGを産生して早期に黄体退行してしまうので回避すべきである。
Q内膜炎にPG投与するときは一度発情を飛ばしたほうがいいのか?
A発情の粘液によって決めるべきで、きれいならよいと思う。
Q授精後高張のブドウ糖50ccを入れるのはどうだろうか?
意見 昔はよくやっていた。
(4)尿腟の発生と繁殖性への影響
→乳牛における尿腟の発生状況と繁殖成績への影響
背景 発生状況や繁殖成績との関連、発生要因が不明である。
目的 尿腟の程度別の発生率、繁殖成績への影響、発生要因を明らかにする。
尿腟の診断と分類
尿腟の診断基準 腟粘液:黄色、尿臭、pH>7.6
程度の判定 1)軽度:尿が腟の底部のみに貯留し、外子宮口に達してない
2)中等度:尿が外子宮口の位置に達するもの
3)重度:子宮外口および子宮腟部全体が尿に沈んでいるもの
発症要因の調査 寛結節と坐骨結節の相対的な位置の測定、陰唇角度の変化
結果 発生率24.6%と比較的高かった。軽、中度のものが多い。
初回受胎率が非常に低く、210日までの受胎率も低かった。
また、廃用割合も高かった。
受胎率低下メカニズム
腟深部の尿が発情時に子宮内に逆流し、子宮内環境が悪化、それにより胚が死滅すると考えられる。また、尿腟がある場合、内膜炎の発生率高い。
発生要因 BCSが2.75未満で、やせている牛で発症率高い。また、尾が高いものや、外陰部の位置が水平なもの、前回の産次で発症しているものも高い。
まとめ 尿腟の発生率は24.6%と高いことがわかった。中程度、重度の尿腟はその後の繁殖成績に悪影響を及ぼし、低BCS、坐骨結節の位置の挙上、外陰部の角度の変化(水平方向)、前回の産次での尿腟の発症などが尿腟の発症要因であることが示された。
対策 腟洗浄、尿道伸長術、腟壁巾着縫合、バルーンカテーテル膀胱内留置(腹圧等で脱落率高い、膀胱炎の発生率も高い)、その他(濃度の高いヨードを腟に入れる→腟壁を瘢痕化)
意見:尿腟ひどい場合はお灸をすえる。
CIDRを入れた牛は尿腟少ない感じがする。
黄体期に直る傾向がある。
牛の発情周期
周期の長さに影響する要因
経産牛>未経産:3waves>2waves
性成熟後の分娩後初回発情周期、卵巣静止後の初回発情周期は短い。
→プロジェステロンの前感さがないからPGが早く産生される。
発情周期における卵巣の変化
乳牛で多排卵が多くなっている。高泌乳牛で多く、未経産で少ない。
発情周期における性ホルモンの変化
waveの間隔は9日ぐらい。
1時間に1回程度のLHで卵胞発育する。
黄体ホルモンの影響でLHは4時間に1回程度のパルス。
発情にともなう行動の変化
真の発情はスタンディング発情であるが、最近スタンディングしない牛が増えている。
二次的発情徴候として、他の牛に乗駕する、あるいは、乗駕を試みる。外陰部のにおいをかぐ、顎を乗せる、歩数が増えるなど。
外部生殖器の変化としては、外陰部の充血腫脹、粘液の漏出。
雌牛の性行動をスコア化することが試みられている。
発情持続時間が短くなってきている。
リバプールのヒラリー先生の話題(国際酪農シンポジウムinやまぐちより)
乳量が少なかった頃は80%がスタンディングを示していたが、現在は40%程度である。
スタンディング発情だけの発情持続時間は14時間→5時間程度と明らかに短くなってきている。全体の発情持続時間は替わっていないことから、発情が弱くなってきていると考えられる。また、発情を見つける人員が少なくなってきている。
受胎率低下に悪影響を及ぼす影響
帝王切開、跛行、内膜炎などがあり、跛行は発情行動が抑制され、マウンティング、スタンディングは少なくなる。しかし、あごのせなどは影響を受けない。また、乳房炎において体細胞数が高い牛は、様々な要因で受胎率が低い。乳房炎、跛行の発生率は徐々に増加している。
持続可能な農業のためには、早急で現実的な対策が必要である。家畜改良は正しい方向に向かっているのだろうか?分娩の回数が多くなれば診療回数も増加する、3年に2産というサイクルはどうだろうか?結論として飼養管理は産乳能力の遺伝的改良に追いついていない。人工授精をより有効に活用するためには(臨床的な)ストレスの影響を回避するために、交配、給餌、飼育を適切に行う必要がある。
適期の受精
卵子は排卵後10-12時間までは授精能保有しており、最も受精能が高いのは排卵後2時間である。精子は雌生殖道内での受精能保有時間は24時間で、受精能獲得に5〜6時間かかる。よって、発情時間12時間の牛における授精適期は、発情終了の前後6−8時間である。
発情・排卵の同期化
AABP(アメリカ牛病学会)推奨の肉牛の発情・排卵同期化プロトコール
1.発情発見併用
1) One Shot PG:PG投与後6日間発情観察
2) CIDR−PG:CIDR7日間+PG 6日間発情観察
2.定時AI
1) Co-Synch+CIDR:GnRH+CIDR7日間、PG、2日後GnRH+AI
3.発情発見AI+クリーンアップAI
1) Select Synch+CIDR+Clean up AI
推奨できる発情・排卵同期化法
→CIDR−Heat Synch:GnRH+CIDR7日間、PG、1日後EB、発情時AI+クリーンアップAI
授精後のホルモン剤投与による受胎率向上は期待できるか?
1Gestagen
・胚移植時のCIDR挿入(13日間:発情後6-8日から19-21日)とPGF2?合成抑制剤の投与が肉牛の胚移植後における妊娠率、再同期化に及ぼす効果
→必ずしも受胎率は向上しない。
→再発情率は高く、再発情時AI受胎率は高い。
・1回、2回使用後のCIDRの腟内挿入後における血中プロジェステロン濃度
→2回目は、濃度は低いが、発情は抑制できる。
・CIDR2回投与(CIDRHeatSynch+Resynchronization)による繁殖プログラム
→受胎率には効果なかった。
→牛群12000kgぐらいしぼっているので黄体がなかなか退行せず、再発が集中しなかったのではないか。和牛ではうまくいった報告がある。原因はよく分からない。
・黄体期のHalf PRID投与による乳牛の発情明瞭効果およびAI後受胎率向上効果
背景 黄体期であればそんなに多くP4を投与しなくてもよいのではないか。
試験1 Half PRID挿入後の血漿中プロジェステロン濃度の変動
→Halfだとやはり半分のプロジェステロン濃度でずっと1ng/mlは維持する。
2 鈍性発情に対するHalf PRID投与の効果
→70%以上で発情が明瞭化した。受胎率に明瞭な差は無かった。
3 AI後のHalf PRD投与が受胎率および発情再発に及ぼす影響
→投与群で高い受胎率になった。再発には明らかな効果は無かった。
まとめ 鈍性発情牛の黄体期におけるHalf PRID投与により抜去後の発情が明瞭化することが示唆された。
→鈍性発情の簡便な治療法の一つとして応用できる
AI後の黄体期における投与により受胎率が向上することが示唆された。
発情再発は例数が少なく、HalfPRIDの効果を明らかに出来なかった。
→今後更なる調査を行う必要がある。
Q PRIDを半分にするならCIDRを2回、3回使うのと一緒ではないか?
A 3回以降使うのは難しいだろう。AI後CIDRで受胎率が上がらなかったのは黄体ホルモン量が多かったからではないだろうか。
2.hCG
・AI後5日目のhCG投与による高泌乳牛の受胎率向上効果
→86%の牛で副黄体形成され、血中P4濃度も高かった。
→泌乳中の高泌乳牛で、BCSが低下しているような例(血中P4濃度が低い)のみで期待できる。
→受胎率が上昇する、もしくは有意差ないとの両方の報告がある。
受胎率向上のための飼養管理上の課題
1、分娩後何日ごろから胚移植を行うか?
2、牛にストレスを与えないためには?牛の扱い、移植操作
3、胚の発育ステージと受胚牛の性周期をいかに同調させるか?発情発見の重要性
ホルモン剤の投与による受胎率向上はあまり期待できないのではないか、ETの受胎率に影響する要因は多く、受胚牛の管理が重要である。
受胎率を高めるための受胚牛の管理
1、栄養:分娩後体重増加期がよい。経産牛、育成牛とも体重減少状態では受胎率が低い。
2、飼育環境:厚い時期、寒い時期は受胎率が低い。ストレスのない快適な飼育環境。
3、分娩後の生殖器の回復状況:卵巣、子宮の回復異常例ではET実施を遅らせる。
4、胚の日齢と発情後日数の同調:発情の正確な発見。ホルモンによる発情・排卵同期化の応用。
毛つや、肉付きのいい牛は卵巣機能も高い。乾乳期のDMI不足は特に要注意である。
質疑応答
Q AI前に卵巣を触りすぎると卵管采がずれ、受胎率は低下するのか?
A 経験ある人が1回やるだけでは影響はないだろう。
過排卵のときは触ってはいけないとアメリカ、カナダで言われている。
卵管采は結構可動性があるためすぐ戻ると考えられる。
北海道の試験では差は無かった。
Q 卵胞?腫の破砕と卵巣癒着の関係性について
A 卵胞?腫を破砕するとかなり出血がある、黄体除去を行うと出血多量で死んだという報告もある。一度内視鏡で見たことがあるが、すごい出血していた。相当の確率で癒着するだろう。
Q 種牛の造精子機能低下の報告はあるか。
A そういう報告はあまりない、アメリカのある調査ではオス側の影響はなかった。
Q 長期胎在といわれ、PGを投与したら、分娩予定日を農家が間違えていた、しかしちゃんと正確な分娩予定日近くで分娩した、ホルモン安定期というのがあるのか
A 250日ぐらいには胎盤からもプロジェステロン分泌されているため流産しない
流産させるときは副腎ホルモンも投与するべき
Q 乳房炎のときデキサ2mg動注するが流産するか?
A 妊娠120〜130日までならデキサ2mgでは流産はしないのではないか
Q 妊娠鑑定後の胚死滅の割合は?
A 28日から39日で約5%前後だろう(サッチャー氏)。
今日の時点では妊娠してますよと農家さんに説明したらよいと思う。
Q 共済の診療は分娩後40日からなのだが、30日からの子宮内膜炎の積極的治療は必要か?
A 25日以降で、中、重度の内膜炎の治療は行うべきだろう。
正常、オロは2週間くらいまで出る。それに外れたものがいたら、治療したほうがいいと思う。30日前後で治療したほうが予後がよいだろう。
Q 蓄膿のときE2とPGはどちらがよいか。
A 黄体遺残を伴うのでPGのほうがよいだろう。黄体が無いときはE2、黄体があればPGという使い方をしている。
Q 発情期に膿汁が出ているときはPGは効果ないのか。
A PGは子宮に直接収縮作用もあるので全く効果ないとはいえない。
Q PG投与後に発情回帰した場合、再び膿汁がでたら治療法は変えたほうがいいのか。
A 発情を繰り返すたびに子宮の状態はよくなると考えられるという見識を持っていたほうがよい。
Q 直検で?腫の壁が厚いのは黄体?腫でよいのか。
?腫の治療は何をどのくらの間隔で使えばよいのか。
A ?腫はプロジェステロン濃度が低いことが問題であるのでPRID、CIDRを用いるのが一般的ではないか。
卵巣実質内注射はしっかりと技術があれば癒着を防げるかもしれない。
スタンダードはホルモン製剤による治療だろう。
Q 直腸検査で卵胞?腫、黄体?腫の診断基準は破れそうか、破れなさそうかでよいか。
A 基本的にそんなことをしなくていい。陰部のしまり具合、粘液で判断したほうが理にかなっている。破砕はよくない。
Q 繁殖障害の治療には卵巣に受容体がないと駄目だといわれるが、受容体を増やすという方法はないのか。
A 直接受容体を増やす方法は無い。若い卵胞ほど受容体が存在するので、若い卵胞を新たに作り出すことが大切。
Q ホルモン剤ではなく、ビタミン等で黄体機能強化、ホルモン増加等の報告はないのか。
A パントテンサンCa試験では卵巣の回復はやや早くなった。黄体ホルモン産生量についてはわからない。?カロチンは黄体機能を高めるという古い報告もある。自身が試験したときは効果なかった。ビタミンEが繁殖に影響するのは反芻類以外で当てはまることだろう。エネルギーの不足はホルモンのアンバランスを起こす。
Q 和牛で発情後7、8日でPG投与したとき、発情がうまくこなかったのだが。
A PG投与時の卵胞waveによるのではないだろうか。
NPO法人 人間関係アプローチ“きらきら” 辰身 信子
・アイスブレイク(リラックス法)
目をとじて、呼吸をゆっくりにして、吸気が冷たく、呼気が温かいとイメージする。全身の力をぬく。体のなかの違和感のある部位に意識を集中して、そこへ酸素を送り込むイメージをする。手をゆっくりとじて開くをくりかえす。ゆっくりと目を開ける。
→忙しく疲れている時は、体内に酸素が不足している。寝る前など空いた時間でリラックスできる方法
・価値観について
赤ちゃんも2〜3歳になると親と価値観(好み)が対立してくる
皆、好みの世界を確立して、それを使って人間関係を築く
以下のゲームは価値観について理解を深めるためのものです。
『メアリー17歳のボーイフレンドのトムが遠くへ引っ越した。寂しい日々を送っていたが、ある日、親に内緒で会いに行こうと決心する。が、旅費がなく自分の力だけでは、どうにもできない。そこで、先輩のアンに相談すると、貸せるお金をアン自身は持っていないと裕福な家で生まれ育ったローラを紹介される。ローラは裕福であったが、親にかまってもらえず、友達をつくるときにお金でつる(プレゼントやパーティや食事をおごるなど)クセがある。散財をとがめられるが、親のお金を金庫から盗んで使うようになった。メアリーが相談に行くと、メアリーの目の前で親の金庫からお金をだすが、借りるだけならまた戻せばいいというローラの話に納得し、メアリーはお金を受け取る。そのお金でトムに会いに行くが、はるばる会いにきたメアリーにその話を聞いたトムは、メアリーを罵倒した。すべてを知った幼馴染のジョンは、トムに激怒し、暴行した。それに対してメアリーは「ありがとう」と礼を言った。』
一番許せない人は?選んだひとによって、その人の価値観がわかる
メアリー:愛情
アン:信頼、友情
トム:思いやり、誠意
ジョン:人権感覚、暴力
ローラ:倫理感、道徳観
を重んじる傾向がある。
価値観は、育ってきた環境などに影響を受けるため、選ぶときに何を基準とするかは自分が体験したことが基準となる。
・ 価値観の違いについて
人間関係の対立、ギクシャク感は、価値観の対立に起因する。
↓そこで
・ 価値観の対立をとく方法
“伝えて”、“聞く”ことが基本
“伝える”=自分のことをしっかり伝える
”聞く“=相手の思いをしっかり聞く
わたしも大事・ひとも大事という考えが大切。自分を大切にしないとヒトを大切にできない。なんとなく落ち込んだり、イライラしやすいときは気づかないうちに、自分を大事にできていないときが多い。
・対立を解く3つのパターン
自分が勝つ(相手を説き伏せる)
相手が勝つ(自分がおれる)
第3法 自分も相手も力を使わず勝つ=自分の考えを伝える!相手の話をしっかり聞く!
・ 自己表現(アサーティブ)とは?
表現する内容が、相手にとって明確である
自分の欲求や価値を大切にもつ
自分の感情に気づいていること
・自己表現の練習:指導者やリーダーは、相手を主語にして語ることは多いけど、自分を主語に語ることは少ない。私を主語に自分のことを相手に伝える練習をしましょう。
練習1
@ 2人1組で、「私が大切にしているものはOOです」を1分間伝え続ける。
A 交代する
B @の感想を言い合う。
練習2
@ A私は農家さんが〜ふうになるといいと思います。
Bなぜそう思うのですか?
A 返ってきた返事に対して、また質問を繰り返す
B 交代
C 感想を言い合う
現在、農家も情報を持てる時代になってきた。インフォームドコンセントの時代。
だから、治療、診断に根拠を伝えたほうが、これからの関係がうまくいく。農家さんは心のなかで疑問を感じていても、あまり質問しない場合もある。だから自分がそれを踏まえて先をよんで説明していくことで、その先起こるであろうトラブルが防げる。練習2は、そのための練習。
コミュニケーションは、注意・アドバイスが人格の否定にまで触れることでゆがむ。よって、その行動だけに焦点を絞るべき。
↓
練習3
@ 気になっている農家さんの行動(対応)を書き出す。
A 自分より相手の方が困っているという項目にしるしをつける。
例 挨拶したのに返事がない
相手が挨拶を返す余裕がない悩みがあるのかも→しるし
=自分と相手のどちらがより困っているか整理することで、どちらがおれるべきか分かる。
相手の悩みを解決するには…
・ 解決法を直接伝える→一見いいようだが、相手の可能性を削いでいる場合も。
・ 相手が自力で解決できるようサポートをする→できればこれを心がけるとよい。
練習4
「これをやった方がいいですよ」
「いやあ〜、そうは言っても無理ですよ・・」
と、自分が大切な情報を伝えたにも関わらず、相手が反発してきた場合。これに対して、・命令・脅迫・説教・提案・理詰め・非難・同意・はずかしめる・解釈・同情・尋問・ごまかす
の12の障害になる言い方のクセがある。
その実演のなかで、自分の気持ちの変化(やる気になるか?、今後この相手に相談する気になるか?etc)を考える。→結果:どれも前向きな解決は望めないようだ
では、どうすればよいか?
↓
負の要素で頭がいっぱいのときには、どんなに情報を与えても入る余裕がない。そこに上記の12パターンの言い方などで無理に伝えようとしてもシャットダウンされ、関係性が壊れる可能性がある。頭の中を占めている負の要素を減らしてあげて、そのできた隙間に情報を入れてやるしかない。
負の要素を減らす方法は、聴くことでしかできない。
↓
コミュニケーションのうち96%をしめる非言語をそのまま素直に受け取る。(共感)
・コミュニケーション概論
初対面での適切な距離感は、握手・名刺交換の距離である。
沈黙もコミュニケーションの道具である。
人のコミュニケーションは、言語3〜4%、非言語(表情、身振り手振り、距離感)が96〜97%
共感(相手が伝えたことの確認)することが信頼関係を築くうえで大事
・ 話しやすさをつくるもの
笑顔(相手の不往生に合わせる)
うなづき
あいづち 共感を非言語で表現すること
目線が合う
Q 相手の愚痴に、あいづちや同意などを繰り返すとどんどん暗くなるのではないか?
A 受け入れて同意を繰り返していると、本人が愚痴をはいていることに気づきだす。本人がつらさを出せる場をつくることが大切。そのうち、本当は自分が最初にアドバイスとして言いたかったことが、相手の口からでてくる。これが狙い。聞いている途中でしんどくなったら、自分も解決策が見つからなくてつらいということを伝えるとよい。
佐藤玲史 開業
@ミイラ胎児と生存胎児の双子
予定日より約10日ほど早産
雄同姓子牛
生存子も乳のみが悪く、カテーテル通しミルクを飲ませるが発育不良となり、3ヶ月時に廃用となる。
ミイラ胎児は毛も生えてなく、おそらく胎齢8ヶ月ぐらいで死亡か
普通胎盤融合あるので両方死ぬことが多い
意見
・ 同じ様な症例で、ミイラが雄で、生存子が雌の場合があれば、生存子はフリーマーチンでない可能性がおおいにあるのではないか。→雌雄双胎でフリーマーチンでない確立は10%以下
・ 雌単体で生まれたとき、フリーマーチンであるものがいる。それは双子妊娠で雄側が胎子死、胚死が起こったと思われる。
・ 一子の場合
ミイラ胎子は、母牛の卵巣に黄体があると思われるので、死亡した段階での排出はないだろう⇔死産胎児の状態により、胎児死が先か黄体退行が先か推測できる。(黄体退行が先だと数日で出て、胎児死が先だと約1ヶ月で出てくる)
A原因不明、長期病日かかり死亡した一例
初診 生後24日で下痢の訴え
とりあえず黒色軟便なのでOTCで様子見るが、便は泥状となり体温上がらない。第6病日目に、便が固まり始めたとともに多量の漿液(粘液でなく、透明・水様の漿液)が口からごぼごぼとこぼれる。第8病日から脱水、起立不能となり、第12病日目に衰弱から死亡。漿液の排出は続いた。
剖検すると軽度の肺炎、肝臓の白色・硬化、腎臓の脆弱化、腎盂拡張、第4胃から潰瘍らしき穴が認められた。
有意な菌は得られず。
意見
・ 第4胃穿孔で腹膜炎を呈した例が2例あったが、脱水ひどく、予後不良であった。
・ 下痢(白痢状)のような嘔吐の例があった。第4胃幽門部の内容物が詰まっていた。
@バイコックスの限界
28日齢 黒毛 血便・下痢 全治まで14日
バイコックス投与後、翌日固まった便を確認。その後血便・水様便を繰り返す。6病日目偽膜性腸炎か。虫卵の確認はしていない。等張リンゲル1L、OTC、ダイメトンを併用。
バイコックスによる治療は1回だけでよいのか?併用はするなと書いてあるが?
意見
・初診〜3日目くらいまでサルファ剤併用する。サルファ剤の併用が悪いことでなく、バイコックスだけで十分効果があるからしないという意味では?
・併用の必要性を感じない。むしろ抗生剤、消炎剤、補液を選ぶべき。
・バイコックスで駆虫はできているはず。血便には対症療法が必要。
Aてんかん症状を示し死亡した三例
・保定をすると倒れててんかん様症状を示し、翌日補液中に死亡。剖検時、第4胃に出血・潰瘍がみられた
・てんかん症状しめした後に、急激に痩せはじめ死亡した。(24カ月齢・導入牛)
・ 自家生産牛1頭も同様な症状を示し死亡
血液検査なし、他に臨床症状なし
B骨に達する中手部の傷の経過
傷が融解して筋肉が出ていたため、縫合しキトサン使用。約1週間食欲なく食べていなかったが、その後、採食等正常になり回復
平成21年中央畜産会主催の産業動物獣医師就業研修 鹿大コースの報告 小島 鹿児島大学
往復交通費、上限5000円/日の宿泊費 を中央畜産会が負担
8名募集に対して、1〜5年生60名の応募あり
実習内容
・ 軽種馬センター
・ 食検
・ そお共済
・ 家畜市場
・ ブロイラー農場
・ 家保
・ 肉用牛農場・繁殖センター の見学・手術など
鹿大コースの目玉・目的
鹿児島の畜産の現状の見学と獣医師の役割を実感してもらう
入院畜等の診療実習がメインの他大学と比べて、公衆衛生面にふれられる
超音波診断装置による顆粒膜細胞腫の診断と摘出後の繁殖性 北原 宮崎大学
顆粒膜細胞腫とは…通常一側性、悪性になることはまれだが、反対側の卵巣は萎縮していることが多く不妊の原因となるため、淘汰の対象となる。
3症例において、けん部切開により卵巣摘出。組織学的検査により卵巣顆粒膜細胞腫と診断。その後、AIがおこなわれ、日数の差はあるが、3例すべてで受胎が確認された。
Q 7cmくらいであれば卵巣のう腫と診断してしまいそうだが?
A 経過をみていて、その部位のみが異常な成長をしていたため、顆粒膜細胞腫を疑った。
Q 卵注器でついてしまうと播種の危険あるか?
A 顆粒膜細胞腫が破砕すると、腹膜へ播種する可能性がある。
傷治療
・ 傷が汚染創のときは縫合せず、水道水で十分に洗浄し、開放創にする
・ 鎮静、剃毛後、デブリドマンできるだけする。汚染がひどいときは、ブロメライン軟膏をぬる。ウエットドレッシング療法(余分な浸出液は吸い取り、なおかつ乾燥を防ぐ)でべトラップを使い、その上から包帯で巻く。最初3日間くらいは毎日取り替える。抗生剤(マイシリン)の全身投与を3日間ほど。
・ 新鮮創のときは縫合も考えるが、中手骨周囲は縫合難しい。
・ キトサン液を傷面にかける
・ キトサンはパッドでも液でも、肉芽形成が早く手ごたえあり
・ イソジンでキトサン希釈し、マイシリン全身投与を併用する方法も。
フレグモーネのウシで抗生剤投与も効果なく起立困難になり廃用になるのだがよい治療はないか?
血便・偽膜性腸炎
・ バイコックス、カナマイシン、デキサメサゾンを使う。
・ ノイエル初診から使えば、いい印象。治癒するまで50kgのウシに対し0.5gを他の経口投与薬と混ぜて与えるとよい。
・ 初診でデキサ使うと治癒までの期間が短くなるという文献あり
・ オーシストはいなくても血便はつづくものもいる。1週間くらいで偽膜排出後も治らない。毎日輸液するも(胃汁投与も)治癒せず死亡→剖検:腸の非薄化はあるが、腹膜炎はなしという例あり。
・ 1ヶ月補液したが、ダメだった。解剖しても腹膜炎等は見られなかった。抗生物質はどれくらいどの期間投与したらよいのか
・ 治癒傾向からまた悪くなったら最終兵器として輸血する。200cc。状態によっては500cc強いれることも。
・ 3週間で治らなかったらあきらめたほうがいい。
クリプトスポリジウムの分布・治療
・ 南九州にもけっこう出るようだ(下痢の治りが悪い農家で衛生検査の結果判明することも)
・ ネッカリッチ、ネッカミルク使用
・ ネッカリッチ粉剤をあたえていると、便が黒くなるため、血便の発見が遅れる
・ 石灰消毒、ネッカミルク、バイコックス、アイボメックやっても出るときは出る。
・ 北海道のような単独感染で主因となることはないが、いることはいるだろう。
卵注・のう腫治療
・ 卵胞のう腫の卵胞液を抜き、その後hCG3000IU入れる(10日間隔で3回まで)。黄体化したらhCG3000筋注し、イソジン薬注と併用する。
・ 卵胞液抜いてhCG3000IU投与、治らなければhCG10000IU筋注
・ 卵注器のかわりに、18G針にエクステンションチューブつなぎ使う。
乳房炎に対する動脈注射
・ 50%ブドウ糖+抗生剤(テラマイシン、カナマイシンなど)経直腸
・ 外陰部動脈へ18G翼状針+エクステンションチューブで経膣
真菌性乳房炎
・ ナイスタチンを溶かし、乳房内注入
・ イソジン&リンゲル 50ccを静脈注射
・ サニタ君はよかった。カビもよく分かるため、農家への説明もしやすい。
体細胞数高いウシに対して
・ 乳房炎治療
・ ビタミン200ccを5日間
・ 前絞り30回
・ キトサン(あまり効かない)
・ ビムロン 5gを3日間
PG抑制物質とは?
・ リノール酸(前駆物質)はPGF2?作用を抑制する。よって、脂肪酸CaはPGF2?作用を抑制する。
・ 胚はPGレセプターをもっている。それを抑制することで採卵成績をあげる報告もある。
AIではつくのにETでは受胎しない農家(多頭飼い・連続スタンチョン)があるのだが
・ 多頭飼いのストレスからか?
・ よくあるのは逆のパターン(ETで受胎するがAIではつかない)
・ F1より黒でETもたない印象
・ 環境かえてもそのウシだけもたないことから、原因はウシ側にあるのでは?
・ 受精卵=全異種抗原であるので、免疫機能下がって妊娠認識ができないことが関係するのでは?
産業動物獣医研修をうけた学生で実際の就職状況は?
・受講者がまだ最終学年でないので、実際的な数字は分からないが、それをきっかけに興味をもっている実感はある